日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション 展」@智美術館にて
映画「トップガン」と現代陶芸


現代陶芸の収集家として知られ、
メセナ活動を通じて現代陶芸家たちを支えてきた菊池智さんが、
昨年夏、93歳で亡くなった。


その智さんみずから2003年に開館させた菊池寛実記念 智美術館では現在、

珠玉のコレクションの中からさらに選りすぐりの名品が集められた
「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション 展」が開催されており、

現代陶芸のために尽力した故菊池智さんの功績を偲ぶ機会となっている。



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今回、本展内覧会の機会を得て、ギャラリートークを拝聴。

中でも印象的だったのは、智さんが陶芸の中でも現代に拘った理由。
歴史をなぞる作業が伴う昔の陶芸作品とは異なり、現代工芸には、

「何に出会えるかわからない面白さがあったから」、というくだり。


リアルタイムだからこそサプライズがあり、共感できる。
ああわかるなぁ、と思った。
私自身、それをつい最近実感した。

といっても、全然違うコンテキストで。



それは週末BS NHKで放映されたトム・クルーズ主演「トップガン」を見たときのこと。

最高潮のシーンで、シラけている自分がいた。

かっこいい音楽を流し、さっそうとした戦闘機の場面で若者たちが盛り上がっている。


この映画って、ただそれだけ?
もっと起承転結、ドラマ性、練られたシナリオはなかったっけ?

でもそうなのだ。どうやら、ただかっこいいだけの映画だったらしい。


でもなんだろう、昔、リアルタイムで見た時のあの感激、興奮。

音楽やスタイルが時代性に合っていた、トム・クルーズという新星にインパクトがあった、
そして自分自身の珍しい映画体験とか、
そういうのがすべて合致したからこその感動。

DVDなどでなく、リアルタイムで見ないとあの感動はもう再現できない。
新作には新作しか持ちえないパワーがあるのだなぁ・・。



この感覚は菊池智さんの言葉とほんの少しだけつながるのでは?


現代芸術の新作には、古いカタログに出てくる桃山時代の逸品にはない
時代の勢いや同時代だからこそ感じ取れる微細な空気感が備わっていて、
既視感がないだけに、
瑞々しい感動をもたらしてくれることがある。


古いものはいくら名作でも新作にかなわないものがある、
それはきっと映画も現代陶芸も変わらない。
映画だって芸術作品の一部なのだから。



さらに智さんは、高級ブランド、シャネルのピグマリオンプログラム
(若手芸術家支援プログラム)と共通する活動もされてきた。

作家さんたちともじかにふれあい(これも現代芸術ならでは)、
若い作家さんに目を付けたりもしていたそうで、さらにビエンナーレ活動もされていた。

なによりこうした発表の場としての美術館が存在するだけで、
現代陶芸家にとってモチベーションになってきたことだろう。


そして今回の展覧会で、菊池智さんがおっしゃっていた
「何に出会えるかわからない面白さ」を感じる作品に
出会ったのだった。


(つづく)

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「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション 展」
菊池寛実記念 智美術館
会期 :  2017年6月10日(土)~ 9月3日(日)
休館日 :  月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
 開館時間 :  11:00~18:00  ※入館は17:30までになります
観覧料 :  一般1000円、大学生800円、小・中・高生500円

その他ナイトミュージアム、ギャラリートークあり



2017.06.13 Tue | Private| 0 track backs,
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