◆ 屏風絵を見るときの お勧めの角度
春、お花見の季節に合わせ、美術館でも
季節にぴったりの桜の絵などをこの時期展示している。
東京国立博物館しかり。
そして今回写真の東京国立近代美術館(東近美)しかり。
(本ブログではアート系以外のネタを入れる方針だけど、
お花見ネタとして、こちらの方に。)
東近美の場合、今年は目玉の屏風が2双、出そろった。
そのひとつがこちら:
行く春 / 川合玉堂
桜散る長瀞の渓流の様子が情感たっぷりに描かれている。
壮大な自然を背に、はらはらと散りゆく桜。
宙を舞い、水面へと落ちていく様子が切ない。
春を惜しむ気持ちが自然と沸き上がる。
ただ、この屏風、真正面からだけ見るのではもったいない。
実は折り畳み式の立体感ある屏風ならではの工夫が凝らされていて
渓流の勢いはこの右斜めから見るのがお勧めなのだ。
左奥の岩山から手前へと続く水の流れが感じられ、
躍動感が一層増していく。
そしてこちらは雨にけぶる吉野の桜。
これも大好きな作品なのだけど、
川合玉堂さんの屏風は春にはほとんどと言っていいほど出品されるものの、
こちらは毎年出るわけではない。
行ってみて、ああ今年はない、あ、今年は出た、などと一喜一憂するのが
恒例行事となっている。
だから今年この作品を見たときは、
やったー、と歓喜した。
小雨ふる吉野 / 菊池芳文
この屏風の 私的好きな角度はこちら。
手前には生い茂る桜。
遠くなるにつれ、徐々に雨にけぶっていく。
桜も景色も雨に霞む画面右奥の湿潤な空気感が絶妙だ。
花びらをよく見ると、顔料がたっぷりと滴るように盛られている箇所があり、
以前からその立体感が気に入っていた。
このほど解説を読んだら、雨のしずくが花びら下方に溜まっていく様子を
そういう手法で表した、とのこと。
黄金色に淡いピンクが上品な味わい。
本所蔵作品展(常設展)は、5月21日まで。
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2017.03.11 Sat | Art|
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