● サン・ロック教会は、須賀敦子さんの訳書「マンゾーニ家の人々」にも登場
国立西洋美術館で開催中の「シャセリオー」展では、
”サン・ロック聖堂の洗礼盤礼拝堂壁画<エチオピアの女王宦官に洗礼を施す聖フィリポ>、<インド人に洗礼を施す聖ザビエル>、<二人の天使>の模型”
が展示されている。
見つけた時は、あっ、と驚いた。
この教会、行ったことがある、
この壁画、見たことがある!
4年前のパリ一人旅。
最終日空港に行くまでに時間があり、手軽に楽しめる場所を見て回ることにした。
滞在7日のうち、最初の6日間は、
6日間のミュージアムパスを買ってルーブルなどに通い詰めたので、
最終日は美術館以外の場所(アーケードや教会)を散策した。
ルーブルにほど近い場所に、外観がなかなか立派な教会があり、
ちらりと覗いてみた。
すると、「この教会で、著名なイタリア人作家アレッサンドロ・マンゾーニが改宗した。
1810年4月2日」
という碑が目に飛び込んできた。
これは見どころある教会に違いない、と思い入ることに。
ちなみに、マンゾーニの「改宗」というのは、
ある意味伝承として語り継がれている話で、
やや比喩的な意味合いのようだ。
その辺は、須賀敦子さんの訳書「マンゾーニ家の人々」(ナタリア・ギンズブルグ著)に詳しい。
同書によると概要は:
1810年4月2日、にアレッサンドロ・マンゾーニは女性とともに群衆の中にいたものの、女性を見失い、やがて気分が悪くなる。慌ててサン・ロック教会に入ると、やがて女性は見つかった。言い伝えによると、生まれて初め彼はこの時神に祈ったという。
そして:
「サン・ロック教会にはマンゾーニの改宗がその時間に、その場所でおこったとする碑がつくられた。」(原文のまま)
(白水ブックス 「マンゾーニ家の人々」 ナタリア・ギンズブルグ著・須賀敦子訳から抜粋)
このサン・ロック教会、他にピエール・コルネイユの墓碑もあった。
著名な劇作家はここに眠っているらしい。
天井画もステキだし、
浮彫もドラマチック。
このユダの接吻のユダの挑発的な表情が現代的な印象だったけど、
1805年の作というので、思ったほど新しいものではなかった。
作者はLouis Pierre Deseine。
下は部分。
そしてここで思いがけず見つけたのが、
シャセリオーの壁画。
<エチオピアの女王宦官に洗礼を施す聖フィリポ>
<インド人に洗礼を施す聖ザビエル>
そばにはこの壁画の説明パネルもあって便利。
1850-53年の作品だそう。
それまでほかの教会や政府関係の建物の仕事を引き受けている。
解説曰く、「伝統と近代性が溶け合った作品」と。
ステンドグラスはなかなかデコラティブだった。
この教会、おすすめです。
見どころたっぷり。
なお、そう簡単にパリには行けないので、
まずはシャセリオー展をどうぞ。
開催要領は以下の通り:
****
シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才 展
場所: 国立西洋美術館
会期: 2017年2月28日(火)~2017年5月28日(日)
開館時間: 午前9時30分~午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
※シャセリオー展は土曜日の夜間開館はありません。
休館日: 月曜日(ただし、3月20日、3月27日、5月1日は開館)、3月21日(火)
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/chasseriau-ten/
http://ameblo.jp/art-masciclismo/entry-12251867384.html (関連エントリー)
http://ameblo.jp/art-masciclismo/entry-12253496223.html (関連エントリー)
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