日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
ツール・ド・フランスの風景 <4>キャラバン隊も体力勝負
3週間、ツールに帯同し、グッズなどを沿道のファンにばらまいていく
キャラバン隊。

ある意味ツールの目玉だ。
待ち時間の退屈しのぎではなく、結構レース同様メインイベントになっていたりする。


雨の日も、炎天下でも、改造車に乗り、笑顔を振りまく彼女、彼たち。
楽な仕事ではない。

中にはこんな感じで宙づりになる仕掛けもあって、
単に座って手を振る選挙応援カーとは大違い。

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ほとんど連日200㎞に及ぶ行脚。笑顔で行進を続ける彼らには敬意を感じる。
ただ、沿道のファンの笑顔に後押しされている部分もあるのではないかな、とも思う。


なにしろ、放り投げられた たかだか1本のボールペンをめぐって
老若男女が争奪戦を繰り広げる。
ランランと目を輝かせ、はしゃいぎまわる姿は恐らく滑稽に違いなく、
その熱気とパワーがあるから、キャラバンもやりがいがあるというものだろう。

2015.03.31 Tue | Cyclde Road Race| 0 track backs,
ツール・ド・フランスの風景 <3>そしてまたまたお巡りさんたち
(<2>の続き)
いやだがしかし、ふと周りを見回すと、カメラを携行しているお巡りさんは、ひとりだけではなかった。
あちらにも、こちらにも。

警備の時もこんな表情なのかわからないけど、
かなり真剣な表情で、撮影しているのだった。

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このとき、ツールがバルセロナを訪れるのは、44年ぶりとか言われ(前回は1965年第11,12ステージに登場)
この人たちは、前回の時はまだ生まれていなかったでしょうから、
物珍しさ加減が半端ないのはわかるけど。


エントリー<2>同様、バルセロナのスタート地点、2009年ツールにて。
2015.03.30 Mon | Cyclde Road Race| 0 track backs,
ピカソの秘密
週末、ブリヂストン美術館で行われたピカソに関する講演会。
同美術館が所蔵する比較的前期の作品についてまとめられていた。

アフリカなどのプリミティブアートに触発され、従来の奥へ消えるような一点消失遠近法から
手前にせり出す立体感を出そうと努力し、結果キュビズムの発展へとつながった由。

ピカソは生涯画風を変えたが、これは発展とか試みではなく、
対象物に一番合った画風をつねに考えた結果、多様となったということ、なのだとか。

前半は、画家ブラックとかなり密接に創作活動をしたと聞き、ちょっと安心。
ブリヂストン美術館にある茶色い瓶のコラージュは、見るたびにいつも
ブラックの作品と勘違いするのだが、この時期は、作品によって両者の絵は酷似しているようだ。

5月に美術館が改装となるため、
同館の土曜講座も終了に向け、いよいよ秒読み。
もっともっと頻繁に足を運べばよかった、と今更ながら後悔。
2015.03.30 Mon | Art| 0 track backs,
本日の桜と、「あをによし ならのみやこは咲く花の にほふがごとく いまさかりなり」
「あをによし寧楽の京師は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり」


春の季節にぴったりなこの歌は、万葉集に収録されている
大宰少弐小野老朝臣(だざいのせうにおののをゆのあそみ)という人の一首だ。

週末の万葉集講座で、こんなお話があった。


ここでいう「花」は、何の花か、特定しなくてもいいのではないか。
例えば桜、などと特定すると、では品種はなにか、といった話に陥りやすい。
花のままの方が、イメージを膨らませられ、より豊かな風情がある。

ちなみに万葉集では、登場回数上位は、萩、梅、桜の順だそうだ。
これはよく知られた話で、当時(奈良時代)は、好んで愛でられたのは桜より梅だったというのが定説。

とはいえ、この登場回数のみで人気や重視の程度を測れるとも言いきれない。
萩が多いのは、秋の歌として歌う機会が多かったせいかもしれない、さらに、
1日で散るから桜は素晴らしい、といった桜を称える歌がすでに登場しているという。

なので、従来の説=奈良時代は梅>桜、という説が必ずしも正しいとは言い切れないのではないか、と。

歴史上の定説というのは生き物のように変わるもの。
積み重なる研究により、従来の説が変化を遂げる様はなかなか面白い。


この話で思い出すのは清少納言の、「濃きも薄きも紅梅」というあの一節だ。(枕草子)
彼女は、木の花は、なんといっても紅梅をNo.1と見なしていた。

その後無常観の漂いと共に桜断然優位に立つのだが、
いつか読んだ、桜で辿る日本史(本のタイトル忘れた)にそうした流れがまとめられていて、面白かった。


さて、今回の万葉集講座では、
改めて当時の人たちの繊細さ、情感の豊かさに驚いた。


成人男性が、自然を愛で、花に自分の人生を重ね合わせている、
(むろん昨今のサラリーマン川柳とは大違いの内容で、)
そんな風流なマインドが、昔は老若男女を問わずあった、
それは極めて貴重で稀なことではなかったか。


世界中を概観しても、そのような繊細さを持ち合わせた民族は数少なかったのではないだろうか。

実にためになる3時間だった。
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で、本日の都心の桜。


日銀前
写真 2 (35)

三井本店
写真 3 (21)

山梨物産展前の写真に映った桜
写真 1 (36)

日銀前の通り
写真 4 (5)
2015.03.29 Sun | Language| 0 track backs,
ツール・ド・フランスの風景 <2>お巡りさんも
カメラをのぞき込んで、撮った写真の確認をしているのは、
ツールの警備にあたるお巡りさん。


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ここはスペイン。
国境をまたがってカタルーニャ地方までやってきた。

この緩い雰囲気は、国民性に起因するとは言いきれないかもしれない。

ツールは自国主催のレースではないから、
どこかお客さん気分があるのかも。

実際、スペイン主催のブエルタは、これほどのんびりした雰囲気ではなかったと
記憶している。

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2015.03.29 Sun | Cyclde Road Race| 0 track backs,
桜開花: 本日見頃のスポット
混雑で昨今余り近づきたくない目黒川。
8時台ならまだ許容範囲ということで、ベストスポットを探してみた。

駅そばもかなり満開に近くなってきたものの、中間あたりは5分咲き程度の場所もある。
そんな中、やはりコナミ裏の柳橋あたりは丁度見頃。

このスポットは、橋のたもとまで枝が伸びているので、上から超アップで眺められるのがいい。


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こんな感じで橋の欄干まで木々が迫っているのだ。

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提灯を眺めるのも、たまに面白い。
よくわからない広告が載っていたりする。

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駅から柳橋までの中間地点、まだ満開とはいえない。

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駅そばでは鴨を見かけた。

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少し川からはずれて代官山方面に少し行くと、ジェファムというフレンチのお店があった。
桜をあしらっていて可愛い。
まだ入店したことはないが、この店のランチは桜価格(花見便乗値上げ)ではなさそう。

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週末のランチは、あちこちで価格が2倍になっていた。
1700円で食べられる店は、花見の時期だけ3800円。
かなり強気。
桜が見られる席はごく限られているのだけど。


さて、代官山に抜けて、8時から開店しているベーカリー、メゾンイチへ。
マンゴーのブリオッシュ、マンゴーのソフトハード系パン、ナッツ入り、ロースポークサンド、サーモンサンドを購入。


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2015.03.28 Sat | 国内探索| 0 track backs,
ツール・ド・フランスの風景 <1> レストラン従業員たちも
今年のツール・ド・フランスは、7月4日開幕。

今日から数えて99日目に開幕となる。
それを記念して?、ツールの風景をカウントダウン的にぼちぼちと入れてみる。


2007年シャブリのスタート地点。
白ワイン「シャブリ」の産地とあって、レストランも充実しているのだろうな、等と思いつつ
ふと沿道を見れば、従業員さんたちの姿。
仕込みの合間に?見物らしい。


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2015.03.28 Sat | Cyclde Road Race| 0 track backs,
目黒川花見 仮設トイレと食事処 2015年版
◆ 目黒川沿いの店は、軒並み高騰中


すっかり花見の名所になった目黒川。
中目黒周辺の川沿いは3月中旬から、突如突貫工事的に店が増殖。

3月23日の週にオープンした、いかにも花見客を見込んだ飲食店が目につく。

数年前にはオープンしたばかりなのにいきなり、「中目黒名物」と銘打っている店もあり、
試食した人の話では、がっかりの味だったという。

この時期、川沿いの店はランチすら一斉に花見価格になってしまった。
平日の1000円ランチは期間中廃止。

値段が3割以上増しに高騰している店ばかりだ。

結局、花見のために滑り込みでできた店も、昔からある店も、こぞって商魂丸出しということだ。

ならば、いっそう堂々と花見目当てをアピールしている出店を利用する方がモヤモヤ感がないというもの。

中目黒駅を出て川向こうに行き、左折して川沿いに歩くとちょっとしたスペースにこんな
出店広場もできている。

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川から離れた通常営業・通常価格の店に行く手もある。
コスパ抜群の名店アゴスティーニが閉店になったのは残念だが、
超庶民的なそば屋、喜道庵中目黒店などは、価格は変わらず、
中は狭くていかにも街のそば屋風で長居はまったく無理だけど、地味に人気あり。

中目黒GTプラザ1Fには、イタリアンのデルソーレ(六本木のと姉妹店)もある。


一方、川と線路(高架)が交差するあたりには、仮設トイレが用意された。

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もっともこの目黒川、景観がいいとは決して言えず、
配電盤の落書きも目立つし、整備状況はx。

都内には、もっといい穴場があると思うのだが(都立大の緑道や東工大など)。
ちょっと加熱しすぎ。

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⇒ 目黒川の桜 開花状況 1 :今なら柳橋が満開
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2015.03.27 Fri | 国内探索| 0 track backs,
フィレンツェの富と美
先週末、「フィレンツェ・ルネサンス美術と近代的経済システムの誕生」という
美術史家ルドヴィカ・セブレゴンディ氏の講演会があった。

Bunkamuraで開催中の「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」展に関連した催しだった。

美術収集の底力となったのは、高利貸というキリスト教の教えと反目する商売で財を成した富裕層であった。
彼らは贖罪のために市民に美を還元しようと努めた、そんな内容で語られた。

拝聴して、ふと思った。
とはいえ、こうした経済活動と美術が直結した例はフィレンツェだけではないはず。
以前のエントリーで触れたとおり、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂も、
金貸し業の個人が奉納したものだった。
結局、フィレンツェが豊かな街だったためズバ抜けてそうした例で埋め尽くされているわけだけれど
それ以外の都市でも行われた慣習だったと言える。
特にパドヴァの例ではジョットが絡んでいるので、フィレンツェ・ルネサンス期よりも早い時代の好例だ。


寄進者本人の姿を画家に描かせるスタイルもフィレンツェだけの慣習ではなく、
スクロヴェーニ礼拝堂においても、ジョットの手でフレスコ画に寄進者スクロヴェーニ氏が描かれている。

具体的には、6年前の本ブログ・下記のエントリーで触れた。
スクロヴェーニ氏の絵が登場するのは最後の審判の場面。
むろん、天国側(中央よりやや左の下)なのだった。

http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-840.html


講演会では、13世紀以降、フィレンツェ(イタリア)の富の豊かさを示すのに、こんな紹介もあった。

現在のBank=銀行は、イタリア語のBanca(カウンター、ベンチ)からきていると。
当時両替商は外でカウンターを並べて業務を行ったことからだという。


また講演では、富の象徴として、当時の婚礼儀式の華美な様子を描いた絵画の紹介も。

また、死産が多かった当時、出産は命がけであり、それだからこそ、
無事出産・誕生の際の贈答品は派手であった、それが絵画に反映されている、
そんなお話も。
2015.03.26 Thu | Art| 0 track backs,
目黒川の桜 開花状況 1 :今なら柳橋が満開
中目黒周辺の目黒川。
桜が徐々に見頃になってきた。

3月26日段階では、かなりムラがあり、山の手通りのコナミの裏手にある
柳橋が一番見頃だった。

温度が上がり、一斉に開花しつつあるので、このムラも均されているかとは思うけれど、
柳橋、みどり橋あたりが開花が早く、見頃と思われる。

同じ日でも、咲き始めではこんなに開花に差があった。
(3月26日)

柳橋
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宿山橋
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桜橋
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目黒川橋マップ


目黒川花見 仮設トイレと食事処 2015年版
2015.03.26 Thu | 国内探索| 0 track backs,
六本木ミッドタウン ストリートミュージアム
六本木のミッドタウン。
ふと見渡すと、見慣れないオブジェなどがあって、いつの間に?と思っていたら、
現在ストリートミュージアムという企画が開催中のようだった。


たとえばこんなの:
写真 1 (35)


ほかにも。ついでに行った先で、いくつか見つけられた。
愉しいストリートミュージアム。
副題はミッドタウンブロッサム。
芽吹きを意識したタイトルだ。


桜の花も、日当りのいい場所では一気に開花して、
なんかソワソワする今日この頃。

写真 2 (34)


ストリートミュージアム|Midtown Blossom
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2015.03.25 Wed | 国内探索| 0 track backs,
東大名誉教授 月尾嘉男氏 x 画家 平松礼二氏
◆ とあるフランスの美術館で開催された個展で、美術館始まって以来の入場者数を記録した日本人


1ヶ月ほどまえの日経新聞に、東大名誉教授 月尾嘉男氏と画家の平松礼二さんの交流の話が掲載されていた。
夕刊の「こころの玉手箱」欄だ。

2人は高校の同級生なのだという。

その記事にはこうも記されていた。
平松氏は、ジヴェルニー印象派美術館で日本人初の個展を開催し、美術館始まって以来の入場者数を記録した、と。


2年前のフランス旅行関連記事でも触れたけ記憶があるけれど、
パリのメトロの壁に、Hiramatsuという人の美術展開催の告知がでかでかと出ているのを目撃し、
知らない画家がパリでもてはやされている、と驚いた。
それが平松礼二氏だった。

hiramatsu)


独学に近いかたちで学ばれた人だという。
美術界において、主流派でないせいか、国内ではあちこちで宣伝されることが余りない。
日曜美術館で特集は見たことがあるけれど(パリ旅行から帰国後暫くして、録画放送分で偶然見る機会を得た)、
そのぐらいだ。

派閥によってアーティストの認知度がいびつになるのは昔からの現象だろうけれど、
ツイッターやFBなどで刷り込み効果を狙った発信がせっせとなされる昨今、
自然に耳に入ってくる芸術家名に、かなりムラがあるのを感じている。

美術鑑賞初心者であれば、そうしたある種意図的な声が導入として役に立つとは思うけれど、
長年の美術好きを名乗る者であれば、自身のアンテナを完備しておきたいものだ。
2015.03.24 Tue | Art| 0 track backs,
日本橋・春・桜ウィークス
ただいま、日本橋・春・桜ウィークスが開催中。

4月12日まで、日本橋界隈では、花見気分を盛り上げる企画が満載だ。

夜ともなると、夜桜のごとくライティングが点灯する。


こちらは、コレド室町1,2の間の仲通り。

写真 1 (33)


三井ビルには花びらが舞う。

写真 3 (20)

写真 3 (19)

写真 4 (4)


写真 1 (32)

大通りには、桜灯篭。

写真 2 (31)

三越までもが桜色。

写真 2 (30)


日本橋三越のはす向かいにある交番そばの桜はちらほら開花。

写真 2 (33)


京橋トラストタワー の河津桜は、まだ持ちこたえて満開に近い様子を保っている。

写真 1 (34)


東京駅から垂直に伸びる桜通りは、開花を今か今かと待っている。

来週には、更に華やかな花の競演が見られそう。
2015.03.23 Mon | 国内探索| 0 track backs,
ちひろ美術館・東京<企画展>聖コージズキンの誘惑展
先日のエントリー、ちひろ美術館・東京 絵本になった!『窓ぎわのトットちゃん』展 の続き。
(●以下写真は、ブロガー特別鑑賞週間の折りに許可を得て撮影しています。)

ちひろ美術館では、いま同時に<企画展>聖コージズキンの誘惑展も開催されている。

実は聖コージズキンなる人物のことは知らなかった私。
先入観をもたず、作品に向き合うべく、事前に資料を読まずに展示室へ。
足を踏み入れてびっくり、鮮烈な色とかたちが躍っていた。

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陽気な音楽隊やら獣たち、旅をにおわせるファンキーな小物達・・

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ラテンの乗りで充たされていたので、この作者はメキシコ人だろう、などと考えつつ
略歴表を見てびっくり。
スズキコージさんという日本人なのだった。


しかもその経歴は、(展示室2に掲げられているのでここでは触れないけれど)、かなりお茶目だ。

絵本も手掛けていらっしゃると知り、ちひろ美術館との結びつきがやっとわかった次第。

展示室4に広がる独特の世界は、色もかたちも迫力があり、
人生楽しく生きようぜ、と語り掛けてくる。


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一方で、喝采の中、くるくる円を描いて踊る白い娘たちの姿などは
陽気な中にもどこかペーソスを感じさせる。

5月24日まで。

http://www.chihiro.jp/tokyo/museum/schedule/2015/0119_1603.html
◆ <企画展>聖コージズキンの誘惑展

期 間 : 2015年3月1日(日)~5月24日(日)
主 催 : ちひろ美術館
展覧会名:   絵本になった!『窓ぎわのトットちゃん』展
場 所 : 展示室1・3
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展覧会名:   <企画展>聖コージズキンの誘惑展
場 所 : 展示室2・4
2015.03.22 Sun | Art| 0 track backs,
「アマゾン」のビジネスモデル By池上彰の経済教室

テレビ東京の番組「池上彰の経済教室」で放映されたアマゾンのビジネスモデルの解説が興味深かった。
さすが、世界を席巻した背景には理由がある。


★本販売というビジネスの狙い

あらゆる商品のネット販売を目指しつつ、まず最初に本に目をつけたのは、
本の販売形態においては入金と取次店への支払いの間に期間のギャップがあり、
キャッシュが常に手元にあるというメリットがあるから。


★画一化によるコスト削減

郵送用の箱は規格を統一し、冊数によってあらゆるサイズをそろえるといったことはせず
煩雑さ、コスト増から解放。


★ロングテール

ベストセラー以外は在庫を置きにくい書店とは異なり、巨大倉庫に様々な本を取りそろえることで、
売れ筋ででない本でも注文に応じることができ、そうした少数販売の本を地道に重ねることで
売り上げを伸ばすビジネスモデルが効いている。
いわゆるロングテールと呼ばれる手法だ。この現象を図式化するとロングテール=長いしっぽのように、
細々売れているものが細く長く伸びることから。


ただし、アマゾンの進出は街の本屋さんをつぶす結果を生んだため、
フランスではアマゾンの配送料無料サービスを法律で禁じたという。
流通構造のいびつ化を避けるための大英断。
日本では無料配送を享受してきた人たちからの非難の声もあがるだろうし
ここまでやる勇気はないだろう。
弱肉強食のまま、自然に任せる流れになるような気がしてならない。


それにしても、アマゾンの臭覚の鋭さに、感じ入った。

企業トップや幹部の講演会などに行くと、目の付け所がやはり凡人とは違う、と痛感させられる。
とある企業オーナーは、価格を引き上げる代わりに、顧客制度を確立し、顧客への末永いフォローアップを叶え、
経営を立て直したという。
価格競争から脱却するための手段として、価格を上げるという逆の発想。
勇気のいる決断だったはず。

凡人の私はそうしたサクセスストーリーにただただ感服するばかりなのだが、
人はそれぞれ臭覚の効く分野が異なるのだと思う。

ビジネスセンスがなくとも、人にはなにかしら、どこかしら
周囲より勘が冴えているポイントがある。

それが大したことのない分野であって、立身出世位に役に立たないことであっても
どこか先を読める分野を自分自身で見つけ、
それを何らかの形で楽しめる・そのご利益を享受できればいいと思う。
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2015.03.21 Sat | Society| 0 track backs,
グエルチーノ展 <感想2 展覧会前に頭に入れておくバロック芸術の予習>
「グエルチーノ展 <感想・混雑具合>」のエントリーで鑑賞のコツを述べたけれど、さらに
当時のバロック芸術のイメージを展覧会鑑賞前に捉えておくといいかと思う。


まずバロック芸術の特徴とは何か?
バロックの旗手として浮かぶのは、まず彫刻家ベルニーニあたりだろうか。


ローマのサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会にある「聖テレジアの法悦」や
ボルゲーゼ美術館の「プロセルピナの掠奪」、「アポロ と ダフネ」 が有名だが、
やはりローマにある、サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会の「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」に見られる
死に際において発散される恍惚感は聖テレジアに勝るとも劣らない。


(ちなみにこの教会、写真撮影は禁止。この日通りかかったら偶然ドアが開いていて、
外から望遠で撮ってもOKか中の人に聞いたらOKと言われ撮影。
でも、その時によって外からでもNGと言われることもあるようだ。
ボローニャのドメニコ教会などでも、管理人さんと仲良しになると、ツーショット写真を始め、内部で撮影を許可されたりした。)

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このように、バロック芸術というとドラマチックで、ダイナミック。
よくバランスを崩した動的な点が特徴と言われる。

当時も今も絶賛されているという点で、グエルチーノとは一線を画している。

グエルチーノは、ボローニャ派バロックにあって、
一種のアカデミー的施設を設立したカラッチ一族ほどの知名度はなく
画風も大人しく、伝統的で、構図や表情のインパクトはそれほどでもない。

けれど、後期は闊達な筆遣いでじわっと心にしみるものも多々あり、
じっくり見るとなかなか侮れないことを今回の展示で知った。

何より、教会でしか見られないような大型の宗教画が、
チェント市立博物館の被害という痛ましい事情を経て、
これだけ多く見られる機会は貴重。
今後訪れるであろうイタリアの教会にかかっている絵が身近に感じることだろう。


さてこのバロック派、画家として有名どころは誰か?
やはり言わずと知れたカラヴァッジョ。
いまだにカリスマティック。


ローマのサンタ・マリア・デル・ポポロ教会には、素晴らしいバロック作品3連作がある。

カラヴァッジョの「聖ペテロの磔刑」(左) Crocifissione di San Pietro,
アンニーバレ・カラッチ 「聖母被昇天」(中央) Assunzione della Vergine
カラヴァッジョ 「聖パウロの回心」(右) la Conversione di San Paolo
がズラリと並んでいるのだ。


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左から
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カラッチの折り重なる構図もさることながら、
やはりカラヴァッジョの光のダイナミズム、斬新さは圧巻。
暗闇に浮かび上がるペテロやパウロは圧巻で、当時の衝撃やいかに、と思う。


アンニーバレ・カラッチの方はマニエリズムを押さえつけたバロック期にあっては一流とみなされ人気を博したが、
その後その存在は薄くなってしまった。
今回の展示には、アンニーバレの従兄、ルドヴィーコの作品が来ている。

一流といわれたアンニーバレですらボローニャ以外では存在感が薄れ、
ましてグエルチーノにおいては名前すら忘却のかなたといった様相だ。

けれど、今回のグエルチーノ展では
凛とした風情が印象的なキリストの復活などの意欲作をなかなか好ましい環境で見ることができる。


(つづく)
* * * * * *

会期:2015年3月3日(火)~5月31日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、3月30日、5月4日、5月18日は開館)


http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2015guercino.html
2015.03.20 Fri | Art| 0 track backs,
グエルチーノ展 <感想・混雑具合>
◆ 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』 @国立西洋美術館 

(5/17 下の方に混雑情報追記)


国立西洋美術館で開催中のグエルチーノ展は、普通に印象派絵画やモダンアートなどを見る感覚で出かけると、
違和感があるだろう。

それらの絵の設置場所としてもともと意図された教会をイメージするとよいのでは、と思う。


もちろん、キリスト、聖母マリアの表情や空の色など
絵そのものの表情を愉しむ手もあるのだけど、
マニエリズムが終わり、バロックに差し掛かった当時の時代背景を考慮すると、絵により近づける。


当時はといえば、信仰の手段として偶像を禁止した宗教改革に対抗すべくるカトリック教会が立ち上がった時代。
トレント公会議の開催を機に、カトリック側は対抗案として、
偶像・絵画で市民の心を掴む方向性を鮮明にする。

聖書の物語を一般市民に分かりやすく知らしめるべく、親しみやすい絵を描いた
アンニーバル・カラッチなどカラッチ一族やグエルチーノらのもとには、教会画の注文がくる。。。

そうした時代の色が投影されて描かれた絵たちなので、
漠然と見るよりも、聖書の内容やカトリック教会の存在を意識して見ると、絵とより対話ができる。


聖書の該当部分が不案内でも、教会内部をイメージするだけでもいい。
例えば、カラヴァッジョやA・カラッチの絵で知られるローマのサンタ・マリア・デル・ポポロ教会
を思い浮かべてみる。
(*以下の写真はグエルチーノが描いた絵でなく、ローマのポポロ教会で撮影した参考用の他の画家の絵)

これは同教会チェラージ礼拝堂のマラッティの聖母被昇天。 
Carlo Maratti “Immacolata concezione con santi”

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通常の教会画は、柱などの建築と一体化している。

下の絵の画家は不明なるも、題材は「東方三博士」だろう。
上部が半円形に切り取られ、円天井と呼応している。

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教会で見るバロック絵画は、単体で切り離して見るというより、こうした
もろもろのセッティングの中でおごそかに見ることになる。

聖書の当該部分、当時の様子、教会の雰囲気、信仰に対する人々の熱い思い
などを浮かべつつ、私は鑑賞した。


さて、具体的な個々の絵に関する感想は明日にでも書くつもり。



*** 混雑状況について ***

週末、講演会を聞いたついでに鑑賞しようと思ってやや驚いたことがある。
週末にしては、意外に混雑がひどくない。
絵が大きく、やや上部に掲げられており、近づいて見るわけでないし、広い空間に絵が散らばっているので、
1列に並んで見る種類の展示ではない。

チケット売り場にも列がない。
ただやはり波があるので、突然人が増えたなぁ、といったタイミングもあり、
そうなると、絵の下部が見えず、ちょっと体をあれこれ動かして見る感じ。

混雑状況につい、インフォメーションでうかがったところ、
平日はもっと空いていると。
具体的には、平日の閉館1時間前ぐらいだと、1枚の絵に数人といったところのよう。
(ただし閉館1時間前だと、気持ちの面で、やや慌ただしいかも。私は鑑賞に1時間半かけてゆっくり見た。)

2年前、会社の半休を取って行った展覧会が大混雑だったことがあり、
意外に平日昼間は主婦などで休日に負けぬぐらいごったがえしていると知ったが、
この展覧会に関しては平日の方が空いている、というタイプらしい。
主婦層に人気の源氏物語・・展とかいうのに比べれば、主婦層より会社員層が多いのかもしれぬ。
 

絵の点数は44点で、それほど多くない、
グエルチーノの知名度がそれほどでもないことも、この状況の一因だろうか。

(かくいう私もバロック画家ではカラヴァッジョやカラッチ一族の方が好みで、
グエルチーノの絵は光の効果もさほど劇的でなく、大人しい絵、という印象が強かった。
でも今回、よさを発見。とくに後半の絵が気に入った。
グイード・レーニの未見の絵に出会えたのも嬉しかった。)

ということで、結論としては、会期前半はこれまでの展覧会に比べると混雑はひどくない。
また、金曜日は20時までなので、ゆっくり見られること間違いなし。
後半にいくにつれ混雑が進むのは間違いないので、前半がお勧めだ。



なお、これらの絵は、所蔵されていたチェントにおける地震被害を受け、
絵画館から運び出されたもので、震災復興事業の一環として、収益の一部が絵画館の復興に充てられるそう。


(5/17 混雑情報追記)

やはり今回のグエルチーノ展、どうやら最終日近くなっても空いている。
週末日中だというのに、チケット売り場、入口の解説に混雑なし。
関係者の人に聞くと、やはり稀に見る空き具合らしい。
タイミングさえうまくいけば、絵を独り占めできることもあった。
なにしろ大半の絵が大きいので、数人群がっていても気にならない。
ぞろぞろ1枚ずつ行列して、待ちながら見るという事態は発生しない。
ひとえに知名度の問題らしいが、有名人でなくともバロックの重要人物。
なにより教会画がくるという滅多ない機会。お勧め。

* * * * * *

会期:2015年3月3日(火)~5月31日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、3月30日、5月4日、5月18日は開館)


http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2015guercino.html
2015.03.19 Thu | Art| 0 track backs,
フランス人画家ジャック・ジョセフ・ティソが描いた徳川昭武
マルセル・プルーストの大著「失われた時を求めて」は、
プルーストの自伝的要素を包含しつつも、様々な近親者たちの気質が混ざり合い
さらに当時の一般的傾向も吸い取りつつ展開していて、
厳密に登場人物と実在人物のリンクは成立していない。

しかしただ一人、明確にモデルがいたと思われるのが、本書の中でも重要な役割を果たすスワン氏だ。

プルーストと同時代、文学サロンに出入りしていたインテリのシャルル・アース(Charles Haas)が
スワンに投影されていると見られている。

一般人のアース氏についてはそれほど知られているわけでなく、
資料も少ないのだけれど、そんな中、フランス人画家ジャック・ジョセフ・ティソが描いた群像の中に
彼の姿が認められると知った。

オルセー美術館にあるジャック・ジョセフ・ティソ画の「Le Cercle de la rue Royale」という絵の右端の人がそれ。


ティソといえばいわゆるジャポニズムの画家だが、どんな絵があったっけ?とチェックしたところ、
こんなのがヒットした。
徳川昭武肖像画。
日本の徳川ミュージアムが所蔵している。
http://tokugawa.gr.jp/collection/shozou.htmlで、その絵が見られる。


徳川昭武は第15代将軍徳川慶喜の異母弟の由。
1867年にフランスに留学し、パリ万博に赴いたり、ナポレオン三世に謁見したり。
その間大政奉還があり世情は一変。翌年に帰国したという。



というわけで、最近プルーストの「A la recherche du temps perdu」をちびりちびり読んでいる。

といっても難解極まりないのは言うまでもなく。

先週実家に帰った際、本棚に鈴木道彦先生の「失われた時を求めて」を見つけ
父から譲り受けてきた。

写真 (81)


これは7篇ある書のうち重要なものを抜粋した上下2巻の抄訳版。
それでもそれぞれ550頁以上ある。

いざとなったら、せめてこちらの和訳版だけでも完読したい。


失われた時を求めて〈上〉失われた時を求めて〈上〉
(1992/06)
マルセル プルースト、鈴木 道彦 他

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2015.03.18 Wed | Art| 0 track backs,
松濤美術館の建築をチェック
渋谷区にある松濤美術館は、建築好きには人気のスポットだ。

白井晟一氏の(晩年=最後から3番目の)設計で、請負は竹中工務店。

石は当時韓国から切り出された。
重いので、ヨーロッパなどからだと高くつくから、というのがその理由。

IMG_4267.jpg


模型で見ても分かる通り、曲線使いが美しい。
入口玄関天井部分はオニックスの光天井なので要チェック。

IMG_4254.jpg


見落としがちだけど、入口手前には蛇口がある。

まずは噴水で身を清めて美術館へ、というコンセプトなのだとか。
つまり、神社の手水場に相当するようだ。

IMG_4259.jpg


PVRO DE FONTEの文字。
昔のVはUに置き換えられるので、PURO DE FONTEとなる。
真実の泉と読ませたいそうだ。
PUROはPUREと関連していると思われ、純粋の意味が真実に転じたのだろうか。

IMG_4260.jpg


中に入って、噴水のある内側(屋外)に出る。
エンブレムには楽器がついている。美術館で音楽も、といった多様性を表現している。
白石氏がわざわざ輸入した品だ。

IMG_4255.jpg


先の改築による変更点は、マイナー部分のみ。
照明はLEDに。トイレ。空調なども入れ替えた。

IMG_4249.jpg


もう少し照明は落とすべく建てられたようだが、足元が危ないので、
一部明るめにしているそうだ。

IMG_4245.jpg


窓ガラスが微妙な角度で林立しているため、窓ふきは困難らしい。
熟練でないと無理とのこと。
ガラス窓は直角の組み合わせならいいが、こうした微妙な角度のものを拭くのは、高層ビルより怖いそう。

IMG_4258.jpg


以上、以前学芸員さんに伺った建築関連のお話から。

【参考】
松濤美術館
2015.03.17 Tue | Art| 0 track backs,
マースヤー(塩屋) 麻布十番店
先日高校の同級生と麻布十番の「たき下」でランチをした後、
塩の専門店を教えてもらった。

その名も、マースヤー(塩屋) 麻布十番店

塩も奥が深い、と思わず唸るほど、夥しい種類の塩が並んでいた。
食事ごとにお勧めの塩がある。

お店の人に相談するのもいいだろう。

料理次第で塩を変えて、その微妙な味わいの違いを愉しむ、
そんなささやかだけど深い贅沢に憧れて、
買い求める人は多そうだ。

寒い日だったので食さなかったけれど、雪塩ソフトクリームもいつかトライしてみたい。


〒106-0045
東京都港区麻布十番1-7-3
藤原ビル1F(麻布十番稲荷神社向かい)

2015.03.15 Sun | Gourmet| 0 track backs,
絲山 秋子「北緯14度」 感想
講談社文庫では、「北緯14度 セネガルでの2ヵ月」というタイトルになったらしいこの本。

太鼓を聞くため、という大義名分のもと、
セネガルに行った著者の冒険譚、のはずだったが、
現地到着早々、ガイド手配などすっかりされていて、
いきなり編集者お抱え旅行と判明し、
そんなお仕着せはもはや冒険ではありえない。
ハッキリ言ってセネガルまで行く必要はなかった。


お膳立ての上に乗っかって敢えて危険な場所に行って、デンジャラス!と叫んでも
その後の展開がスリリングになればなるほど、白けてしまう。


フランス語が徐々に通じるようになり、
コミュニケーションができるようになりました、なんていうのは威張れることではなく、
若い頃、フランス語を習っていたハズの著者が、最初から喋れなかったことが、むしろガッカリだ。

イタリア語を習ったことのない私ですら、イタリアに行けば喋るよう努力する。
言葉が通じて喜ぶさまに、感動はない。


むろん、現地の人との気安いつながりぶりは絲山さんならでは、と思う。

東京の下町の長屋での2ヵ月(例えば)であれば、
どんなに痛快な物語になっただっただろう。



北緯14度 (100周年書き下ろし)北緯14度 (100周年書き下ろし)
(2008/11/21)
絲山 秋子

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2015.03.15 Sun | Books| 0 track backs,
長谷川利行作 「岸田國士像」
◆ 女優のあの人に似ている・・・そんな肖像画


長谷川利行が描いた脚本家の「岸田國士像」。
今、竹橋の近代美術館の常設展に久々にお目見えしている。

これ、誰かに似ている、
正確にはあの女優さんに。

写真 2 (29)


故岸田今日子さんだ。

岸田國士は今日子さんの父なのだ。
.
2015.03.14 Sat | Private| 0 track backs,
絲山 秋子「沖で待つ」読後感
友人お勧めの1冊。
絲山秋子著「沖で待つ」。
2005年の芥川賞受賞作。


入社・新人・同僚・失敗・団結・・・
会社1年目の凝縮した日々が思い起こされた。

会社独特の専門用語も散りばめられて、
業種が違うからもちろんそれらの用語は初耳だったりするのだけど、
私にも、会社に入った頃、初めて遭遇した言葉が、ざくざくあった。

「ご査収下さい」、「ASAP (As soon as possible) 」、「LC(Letter of Credit信用状」、「Letter of Intent」「B/L」・・
もっともっと、たくさんあった。

人生最大のとまどいを感じた時期だから、
周囲の光景や仲間意識や仕事内容が微細に心に刻まれている。

数年すると、それらはルーティンとなり、新鮮味を失うとともに思い出は希釈されていく。
その前の、うんと濃い、太枠で囲まれたような一時期が
まざまざと蘇った。
この小説を読んで。


冒頭の友人のメールには、新聞で読んだ記事のことも書かれていた。

「元カレ」「元カノ」「元同僚」とかの言葉はあるけれど、「元友人」という言葉はない。
お互いの関係はそのままだから、間隔が空いても、すっとその頃に戻れるのだ。
そんな内容だったそう。

深く頷いた。
友達は廃れない。
そして、特殊な絆で結ばれた1年目の同期は、「同僚」でなく「友人」の部類に入ると思う。


ちなみにその彼女、課は違ったけど、会社の同じ部の同期で、共にもがいた仲間なのだった。



沖で待つ (文春文庫)沖で待つ (文春文庫)
(2009/02)
絲山 秋子

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2015.03.13 Fri | Books| 0 track backs,
ちひろ美術館・東京 絵本になった!『窓ぎわのトットちゃん』展
◆ 秘話: 故人となっていたちひろさんの絵が『窓ぎわのトットちゃん』の挿絵で蘇ったワケと、黒柳徹子さんの想い


ちひろ美術館は、柔らかなちひろさんの絵にいつも癒されるだけでなく、
行くたびに発見がある。

先日拝見した展示では、当美術館の館長さんである黒柳徹子さんとちひろさんの
フシギな巡りあわせについて秘話が明かされる。


そもそも、あの大ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』の挿絵を描いたちひろさんは、
本書執筆当時、既に故人となっていた。
(この話は、当館初来訪の折りに知り、驚いた。
余りにストーリーと絵が醸し出す雰囲気がマッチしていたから。)

ではなぜ、本文とぴったり合った挿絵が使われるに至ったか、
その秘密が展示室にある。


同ストーリーが「若い女性」の連載としてスタートしたのが1979年。
(その「若い女性」の第一回連載など、レアな展示もあり。)
その5年前、不幸にもちひろさんは帰らぬ人となっていた。

けれど、以前から自伝を書くなら ちひろさんの絵を添えたい、
と漠然と思っていた黒柳さん。
遺された息子さんの協力で、文章に合った絵の発掘に成功したそう。

ちひろさんが、生前いかに多くの子供の心象風景を描き込んできたかが偲ばれる。


さらに、1974年、黒柳さんが悲報を知ったときの状況が、摩訶不思議。

ちひろさんの絵をまさに携えて玄関先に出たまさにその時、
新聞で訃報を見つけたのだという。

その絵はあの有名人へ、お誕生日祝い返しとして贈ろうとしていたものだった。
(その“有名人”の名前は、展示室で明かされている。)


叶わなかった出会いは切ないけれど、その後の2人の結びつきがそれにより
弱まることなく、返って強固なものに感じられる。


●以下写真は、ブロガー特別鑑賞週間の折りに許可を得て撮影しています。

これが連載当初の雑誌の当該ページ。

P1670766.jpg



それぞれの絵に添えられた黒柳さんのコメントからは、その想いが伝わる。

IMG_4230.jpg



トモエ学園時代の黒柳さんや(足が長くて、あの時代の人とは思えない!)、
トモエ学園の様子などの写真もある。

IMG_4215.jpg



各国語に翻訳された書も並ぶ。

IMG_4227.jpg



書と挿絵の融合は、おふたりの視線の融合でもある、
それを強く感じる展示だった。


期 間 : 2015年3月1日(日)~5月24日(日)
主 催 : ちひろ美術館
展覧会名:   絵本になった!『窓ぎわのトットちゃん』展
場 所 : 展示室1・3
http://www.chihiro.jp/tokyo/
http://www.chihiro.jp/tokyo/museum/schedule/2015/0119_1600.html

2015.03.12 Thu | Art| 0 track backs,
大洗 かあちゃんの店と大震災
東日本大震災から4年。

2011年3月11日、15時より少し前、オフィスビルの30F。
地震のイメージをはるかに超えたグワン・グワンという旋回のような揺れは
怖いというより非現実的に感じられた。

歩いてたどり着いた我が家では、本棚から本が転がり落ち、
食器棚の中では、とっておきの急須のフタが割れていた。

その後暫く余震が続いたため、瀬戸物やワイングラスをを段ボール詰めし
殺風景な中で暮らしたのを思い出す。

こんな微細なダメージですら一喜一憂したわけだから、
被害の中心部の破壊力は想像の域を超え、
その地の人々のご苦労やいかばかりかと思う。

上記のような私自身のちっぽけな体験は、実は口にするのも憚られるほどなのだ。


仕事で縁があった大洗では海岸がただならぬ風情になっていて、
かつて昼食で訪れたかあちゃんの店が閉鎖になっていて愕然とした。

しかしその後、復活したと聞き、そのパワーを喜んだ。

海の幸のかき揚がいっぱいつまったかあちゃん定食は今も健在!


地殻が二度とあのような猛威を振るわぬよう、祈るとともに、
緊急時の備えを地味に考える2015年3月11日。
2015.03.11 Wed | Gourmet| 0 track backs,
「JFK-その生涯と遺産」展 @国立公文書館
【小見出し】
◆ 「JFK-その生涯と遺産」展 @国立公文書館、手書きの校正文が生々しかった
◆ すぐそばの国立東京近代美術館で見られる、川合玉堂の「行く春」の中で拮抗する桜と新緑の季節


前回のエントリーの通り、皇居東御苑の梅は終わりかけだけれど、まだ十分見られる感じで、
北桔橋門を出て道を隔てた場所にある国立公文書館では、現在「JFK ー その生涯遺産展」が開催中。

首相官邸のHPには、テープカットをする安倍首相とケネディ米大使の姿。)

IMG_4366.jpg


週末行われた「ジョン・F・ケネディ展記念講演会~日米の架け橋としての記録~」では、
JFK-池田総理・船内キャビン密室会談の様子も伝えられ、
極秘の中、通訳として帯同が許されたのは、かの故宮澤喜一氏だった由。

また、本展に全面的に協力した米国国立公文書記録院院長氏の基調講演では、
米国中枢の資料の公開を積極的に行っている姿、その膨大な量が数字で示された。
首相がやりとりしたEmailまでがその対象となっている。

資料によっては解禁の年が定められていて、暗殺関連の機密資料は
あと数年で解禁となる。

講演会では、JFKの美化に疑問を投げかける話も出て、
(イニシャチブをとったのでなくフォロワーだった、女性好き、実は病弱で薬を服用、反拡と言われつつも在任中軍備は13%増強など)
それに対する反論も出るなど、アクセントがつくことで
JFKという人となりを浮き彫りにするのに成功していた。


米国国立公文書記録院は画像データもふんだんに有しており、
展覧会では写真、ビデオ(家族ビデオ含む)も用意されていた。

いつもは公文書の展示が主だけど、今回はそうしたビジュアルの資料が多いのが目を引いた。


さらにこんなものも:

● JFKから妻に贈られたキューバ危機回避成功記念の金属製カレンダー。
キューバ危機が続いた期間が太字になっていて、ティファニー製。

● JFケネディが演説の草稿を手書きで校正している資料が光った。
「all men」 (人々にとってというのに男性Menで代表させている)部分に
「and women」を挿入し、男女平等の精神を見せているのだ。
生々しい肉筆なだけに力強い。


***
「JFK-その生涯と遺産」展
会期 平成27年3月6日(金)~5月10日(日)
会期中無休
開館時間 午前10時~午後5時30分
(金曜日のみ午後8時まで)
会場 国立公文書館 本館
入場料 無料


なお、そばの国立東京近代美術館では、常設展が春の装い。

恒例の、川合玉堂画伯の名高い屏風「行く春」も。

IMG_4333.jpg


行く春ということで、水面には落ちた桜の花びらが風情を添える。

IMG_4337.jpg


人物をちょこっと入れて、ほのぼのと愛らしさが加わる玉堂さんらしく、
人物の姿も。
風に吹かれる花びらの中にたたずんでいる。
よく見れば、眉毛が白い翁なのだった。

IMG_4339_20150310092419d9d.jpg


水の流れる音が聞こえそう。

IMG_4340.jpg


後方にはすでに青葉も見えて、新緑の季節が混じった清涼感溢れる景色だ。

IMG_4336.jpg
2015.03.10 Tue | Art| 0 track backs,
今なら梅と桜の競演が見られる 皇居東御苑
◆ 東御苑とJFケネディ特別展(無料)をセットで訪れるというのはどうでしょう?

日曜日、小雨降る中、近代美術館と公文書館に行くついでに、東御苑に足を運んだ。

梅は終わりかな、と思ったけど、寒い日々が多いせいか
まだまだOKなのだった。

IMG_4288.jpg


さらにー
東御苑名物の早咲き桜が満開。
10月桜だったか寒桜だったか、品種は失念。

IMG_4324.jpg


さらに、河津桜もー

IMG_4329.jpg


梅林坂で梅を、広場で桜を。
花の少ないこの時期、両方見物できるから、東御苑お勧めです。

さらに、すぐそばの公文書館では、力の入ったJFK特別展が開催中。
これについては別途アップ。
2015.03.09 Mon | 国内探索| 0 track backs,
パラティーノの丘(ローマ) その1
◆ パラティーノの丘は、ローマ建国の象徴


ローマ観光で、一般的にはやや地味だけど象徴的な場所というとパラティーノの丘だろう。

なにしろローマ建国の源泉とも言える場所なのだ。


建国伝説は、こんな感じ:

テヴェレ川に捨てられ、メス狼とキツツキに育てられたロムルスとレムスという双子の兄弟は、
捨てられた場所のそばに建国することを思いつく。
兄ロムルスはパラティヌスの丘、レムスはアウェンティヌスの丘を、その地に選ぶことを主張。

占いの結果、兄に軍配が上がりいさかいが起こる。
兄が弟を殺害する結果を生むが、無事にパラティヌスの丘(パラティーノの丘)に立国とあいなり、
これがローマの起源となった・・・

(2013年、Bunkamuraミュージアムで「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」展が開催され、
ルーベンスの「ロムルスとレムスの発見」という絵が来ていた。)


だからローマ市内のあちこちで、
ロムルスとレムスがらみの図柄を目にするわけだ。

こちらは、コロッセオそばで見かけたごみ箱。


P1320495_20150308085816aa1.jpg

しっかりオオカミ+双子の兄弟の浮彫が。

P1320494_20150308085817516.jpg


むろんあくまで伝説なわけだけど、
それでもかなり古くから(紀元前1000年とか)人が住んでいた形跡はある。


さて、この丘の風景はというと、
おおらかな草むらが広がり、のどかな風情。

P1320047.jpg



植物相が違うので、たかだか木ひとつをとっても
古代を想起させ、心が弾む。

P1320027.jpg


かなり形をとどめているものもある。

P1320045.jpg


庭園跡と思しき姿も。
でも最初の写真のように、茫漠たる景色の方が圧倒的で、遺跡はポツリ・ポツリだ。

P1320034.jpg


1)コロッセオとフォロロマーノ2つの遺跡が偉大すぎる、
2)パラティーノには原形をとどめている建物が少ない、
3)更に広大で周るのに時間がかかる、
そんな理由から、観光時間に余裕がないと、なかなかこちらまでは足を延ばせない。


在りし日の面影をチラ見しながら空気を満喫しつつひたすら歩く、
そんなのんびりとしたゆとりが必要ということで、
ここで目にする観光客は(時間と闘い殺気立つというより)自然と大らかなオーラを発散しているように思う。


P1310975.jpg
(ふと見ると、こんなヨーロッパ人観光客の姿も)

*****

観光メモ:
随分間があいてしまったけれど、ローマ旅の記録の続き。
ローマの遺跡観光で外せないコロッセオとフォロロマーノを見る際、
チケットは共通になっていて、この2ヶ所とパラティーノの丘がついてくる。


2015.03.08 Sun | Travel-Italy| 0 track backs,
シナモンがインフルエンザ予防に効果 但し経口よりも吸引!
先日新聞に、「シナモンがインフルエンザ予防に効果」という記事が出ていた。

読めば 「シナモンは漢方薬では「桂皮」と呼ばれる生薬」だそう。
なるほど信憑性のある話。

千葉大医学部付属病院では、シナモン成分入りマスクを開発したと聞く。
ただし市販には時間がかかりそうなので、自前で作ってみようかと。
今年は流行ピークも過ぎたので、次の冬あたり?

但し私の場合、ダストアレルギーがあるので、吸引のハードルは高いかもしれない。
さらに今あるシナモンは砂糖入りなので、これじゃあだめ。

丁度今朝つくったフレンチトーストにシナモンをせっせとふりかけたばかり。
経口による摂取でも、身体になんとなくよさそうな気がしてきた。

小瓶でなく、どかーんと大瓶で買っておくかな。
(大瓶が市販されているのかどうかはさだかでないが。)
2015.03.07 Sat | Society| 0 track backs,
目下ベストセラー:「フランス人は10着しか服を持たない」の秘密と真理
大和書房から出ているエッセー「フランス人は10着しか服を持たない」がベストセラーなのだという。

著者はアメリカ人。
原題は、「Lessons from Madame Chic(マダム・シックの教え)」。
これを具体的事例である「フランス人は10着しか服を持たない」というタイトルに変えて
翻訳本としてリリースしたのも大ヒットに寄与しているようだ。

一瞬で人の目を引くかどうか、タイトルは大事。(*)

出版社のセンスはさすがだ。


また、発売いきさつについても、秘話がある。

編集者は、別のフランスものの作品に目を付けていたのだが、
他社に負けて翻訳出版権利取得ならず、
代わりに勧められたのが本書だったそう。

一発大逆転だったのだ。
(以上3/4付け日経新聞夕刊から見つけたお話)


さて、フランス人は本当に10着しか服を持っていないのか?

私自身、学生時代、実際にそれを感じたことがある。
数日間の語学クラスの旅行に参加した時の事。

うら若き女性フランス人教師が、滞在中(4日間)、ずっと同じ洋服を着ていた。
フランス人のイメージ、お美しい概観と、着替えを持参しない/着たきりスズメというギャップに
愕然としたのを思い出す。


飛幡祐規さんのエッセーでも、堅実さ、蚤の市の活用法など
フランス人の反金満思想的な逸話が処々に出てくる。


堅実にして、工夫次第で美しく、という発想には、憧れる。
タンスの中にぎゅうぎゅうに押し込められ
衣替えの際、ワンシーズン一度も袖を通さなかった服を見るたび、
自己嫌悪の私なのだった。


フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~
(2014/10/23)
ジェニファー・L・スコット

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(*)海堂尊の「チームバチスタの栄光」も、作品発表時には「チームバチスタの崩壊」だったと聞く。
確かに「崩壊」を描いているものの、その転落ぶりをシニカルに表す「栄光」の方が
ダントツに訴えるものがある。
2015.03.06 Fri | Society| 0 track backs,
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