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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
未知の逸品、ゆったり空間・・心地よかった ホテルオークラのアートコレクション展
もうずいぶん前のこと。
ホテルオークラで企業の名品アートコレクション展が開かれる、そんな話を絵画鑑賞好きの両親から聞き、
以来何度か足を運んでいる。
(ああそれから、同ホテルのもう一つのチャリティーイベント、「大使夫人によるガーデニング」展もお勧め、
とのことで幾度か見に行ったり。)

地道に続いた本企画も、既に20回を数えるという。
今年のテーマは、「日本の美を極める」。
今回もまた、一般の美術館以外からの貸し出しが多々。
新鮮味に心が躍った。


まず入口。
好みの絵が横一列にズラリと並び、テンションは一気に高まる。


右から高橋由一『墨水桜花輝耀の景』
川合玉堂『春雨』
東山魁夷の『晴れ行く朝霧』そして『渓音』

私的には秀逸な一角。

まず、『墨水桜花輝耀の景』のインパクト。
どこか古風なようで、斬新。
黒い影となったミニュスキュールな家並み続く背景に、斜めに走る桜の枝が力強い。

この対比によるダイナミズムには既視感を覚える。
つい先日國學院博物館の浮世絵特別列品で見た歌川広重「名所江戸百景 堀切の花菖蒲」。
構図は全然違うのだけど、前景と後景の極度な対比の妙を共有している。


*写真はブロガーナイトの機会に許可を得て撮影しています。
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高橋由一『墨水桜花輝耀の景』


やがて展覧会監修の熊澤弘先生のお話で、由一が江戸と明治が混然とした画家であり、浮世絵の影響も残っていると知る。

浮世絵を真似たゴッホらを考えれば油絵とのコラボは不自然ではないのだけど、
日本人洋画家の浮世絵手法というのに意外性を感じた。
彼らはもっぱら海外に留学して、印象派に傾倒したイメージがあったから。
そもそも由一が江戸時代生まれとは、知らなかった。
油彩画家ということで、勝手に明治の人と決め込んでいたみたいだ。


次に『春雨』
春がにおい立つような情景。
左上隅から三角形ので約半分を占める空間には、ごく薄く縦のリズムが描かれていて、
かたちのない雨が漂っている。

下部には傘をさす女性たちとともに、雨に煙る淡い風景がこじんまりと。
周囲の家々など雑多なものはない。
のどかで穏やかな心になれる一枚、いいなぁ。

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川合玉堂『春雨』



東山魁夷の『晴れ行く朝霧』の靄の美しさに感嘆し、そして『渓音』。
抑えた赤が滝の流れとともに渋みを増していく。
心にじわじわくる味わい深さがある。
花咲き誇る華やかな春に負けない秋の存在感。

高揚感を抱きつつ、次の部屋へ。


前田青邨の植物画は、相変わらず麗しい。
(この人が描く人物画となると、別の画家の作風のように思えてならないのだけど。)
『みやまの四季』は、4シーズンを欲張ってひとつに押し込めた。


横山大観の『四季の雨』と『山四趣』の掛け軸が縦に並べられるという離れ業には驚いた。
空間対応のための苦肉の策との由。

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横山大観の『四季の雨』と『山四趣』


縦に見てみると、
溌剌としたタケノコが印象的な夏の絵(着色)の下には、
墨の濃淡によって表される霧と連なる山並の絵。
その画風のギャップを楽しむやり方もあろうけれど、私はスタンダードに横に見ていくスタイルをチョイスした。
(ちょっと気を許すと、視線があちこち飛んでしまうのだった。)


大広間に足を踏み入れて目を奪われるのは、竹内栖鳳の『河畔群鷺』と横山大観の『夜桜』。
ともに各々近代美術館、横浜美術館の特別展で対面しており、
大作ということもあり細部をしげしげ眺め回したのを思い出す。
ただこちらの展示では、スペースの贅沢な広がりのせいで、ずいぶん威風堂々と。
(そしてカーペットがゴージャス感を添えているような。)


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竹内栖鳳の『河畔群鷺』と横山大観の『夜桜』


美人画が10点以上ズラリと横並びする様も壮観だった。

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このほか様々な和の絵が、広いスペースに並ぶことその数81点。
見ごたえがある。


本展のテーマは四季、花鳥、風情。
時代は江戸から現代まで。
所蔵先はさまざま(収益金の一部を寄付する先、日本赤十字社所蔵のものも)。


こんなのもある、あんなのもある、バリエーションを楽しみつつ、
最後は結局お気に入りの絵の前でしばし佇み、
さらに(作品によっては)もう目にする機会はないかもなぁ(『みやまの四季』とか)、などと別れを惜しんだ。


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『第20回 記念特別展 の名品 アートコレクション展』
【 日本の美を極める -近代絵画が彩る四季・花鳥・風情-】
場所 ホテルオークラ
会場 別館地下2階 アスコットホール
開催期間 2014年8月8日(金)~8月31日(日) 24日間
時間 9:30~18:30(最終入場は 18:00まで)

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/special/art2014/
2014.08.13 Wed | Art| 0 track backs,
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