日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
伊能忠敬居住200年 第27回完全復元伊能図全国巡回フロア展 を見てきた
私がこれまで住んできた町の地名が3つとも江戸の地図に、今と変わらぬ名前で掲載されていた。
なかなか、感動ものである。


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更に、祖母の家がある三宿も、三宿村御料所として登場。
渋谷~目黒~世田谷をカバーするこの地図は、江戸時代、伊能忠敬による測量図いわゆる伊能図(大)の一部。
中央区中央区立総合スポーツセンターの体育館一面に広げられている光景は壮観だ。


この催しの案内は以下:
http://www.city.chuo.lg.jp/event/culture/ino2014.html

上記サイトから引用するとー

今年は江戸時代の測量家「伊能忠敬」の中央区居住200年にあたります。
伊能忠敬が作り上げた日本地図(伊能地図)の副本や模写図を集め、畳約250枚大の大きさで再現しました。中央区総合スポーツセンターの体育館フロアにこの地図を広げ、地図の上を自分の足で歩くことができます。


とまあ、こんな催し。


先般トーハクで見た小・中の地図も並べて置かれていたけれど、↓

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サイズ{大}の方は、体育館面積いっぱいいっぱいだ。
(写真には一部しか写り込んでいない。)

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江戸城の面積の広さもビジュアルで実感。
東海道に沿って品川だの、なじみの町が並ぶ。

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富士山は、先頭の壁の絵よろしくきちんと図柄になっている。
地名を並べた白地図なのに、富士山だけは別格扱いだ。

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区画に分けられた日本。屋久島、種子島もカバーされている。

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単なる地図と言ってもその裏に、伊能氏及び仲間の苦労と地道な努力があり、
それがこのサイズで目の前にズラリと披露されて、迫力がある。

密な場所あり、書き込みのあまりないスペースあり。
今へと通じる町名も多々。


伊能忠敬を研究しておられる有志の方のトークも興味深かった。
単に史実を並べるのでなく、どういう経緯で弟子入りしたか、など、周辺資料から推測してみたり。
本当に好きでとことん調べました感が漂って。


伊能氏の資料が国宝指定されたこともあり、伊能忠敬の人生を大河ドラマ化する署名運動も行われていた。
ユニークな人生なので、マンネリ化打破に、よい素材なのでは?

p.s.
なかなか地味に開催されていたので、教えてもらわなかったら気づかずに過ごしていたハズ。
誰かさんに感謝!
2014.08.31 Sun | 国内探索| 0 track backs,
鶴太郎さんの眼差し / 「片岡鶴太郎展 還暦紅」展にて
水中を優雅に遊泳する金魚たちの一瞬を金色の世界に閉じ込めた2曲の屏風と、
その両端で、ゆらゆらと行き交う金魚たちを壁の海に投影したプロジェクター。


静と動、点過去と現在形という2つの異なる状態・時間軸の中で生きる金魚の世界が、
贅沢に1部屋を使って演出されていた「片岡鶴太郎展 還暦紅」展。


水をまさぐる尾ひれは絶妙な淡いグラデーション。
儚げで、やがてそのまま溶け入ってしまいそう。

隣の部屋ではVTRが上映され、屏風制作時の鶴太郎さんが映し出される。
細い筆先を立て、黒い瞳が入り、そして縁どるようにアイシャドーがつけられていく。
ひとつずつ命を吹き込まれ、ゴールドの海に解き放たれた金魚たち。
1匹を描くのに1時間を要するという。


何部屋かに仕切られた会場には、鶴太郎さんの作品がどっさり詰め込まれていて、同じ魚の絵でも、友人が“カラフルな魚拓”と称した青魚のシリーズは、趣きが全く異なって、ポップな色使いとどこかユーモラスな魚の表情が印象的。
あちこちから、「独特」、「ステキな絵」などという声が聞こえてきた。


滲みを多用した色により輪郭をつけられた生物たちは素朴で
気負いや衒いなく画布に向かっている様子がしのばれる。


相田みつをさんの書画のごとく、文字が書かれている作品も多く、
その中には、椿への感謝が記してあるものも。


後半のビデオでそのワケが判明する。
人生に行き詰まったある寒い朝、ふと見ると椿が真っ赤な花を咲かせていた。
見る人もいないのに・・
それに感動し、絵を描くきっかけになったという。

人の視線とは関係なく美しい使命をまっとうした椿。
鶴太郎さん、やはり見られる職業の人なのだ。
役者としてどう見られるか、という評判に一喜一憂することなく、自分の道を行けばいい、椿にそう教えてもらったのでは?


花魁のように見られる存在である金魚に、ある種の儚さを感じる、とコメントされていた。
ここでも金魚を、「他人から視線を受ける存在」としてとらえている。
見られる人、鶴太郎さんは、椿や金魚に自分に重ね合わせているように感じた。


カラフルな姿で描かれつつ、どこか飄々としたトンボの姿、
「たたかれても干されても味を出す」なんて添え書きがされたたユーモラスな鰹、
お茶目な江戸前寿司、
癒される童子たちの屏風、
「京の四季」の中のそれぞれ描き分けられた植物たち(春の桜のきらびやかさ、色が躍る夏のひょうたん、大きな月の配置が絶妙な秋、雪に負けない竹のフシの武骨さが光る冬)、
棟方志功的な力強さのあるもの、
セクシーな源氏、
筆でなく手そのもので形づくられた動物や事物たち、
黒柳徹子さんも着用した淡いパステルのグラデーションが心に沁みる花々の着物、
何気ないのに色の置き方がセンス抜群の器たち、などなど。
いずれも優しい眼差しさで満たされていた。

* * *

展覧会名:画業20周年 片岡鶴太郎展 還暦紅(かんれきくれない)
期間:2014年8月27日(水)-9月8日(月) <最終日17:00閉場・入場は閉場の30分前まで>
会場:松屋銀座 8Fイベントスクエア
詳細:http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20140827_kataoka_8es.html
2014.08.30 Sat | Art| 0 track backs,
市川猿之助 さん語録
9月13日(土)から上野の森美術館で開催される「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」の 開催を記念し、
同展のナビゲーターで歌舞伎役者の市川猿之助 さんのトークイベントが開催された。

聞き手はフクヘンこと編集者/美術ジャーナリストの鈴木芳雄さん。
相変わらずソフトで気負わない、場の空気感に馴染んだ語り口。

猿之助さん語録を以下に。


● 「役者の錦絵には要注意。そのまま参考にするのは危険。
   なぜなら、これらはいつも芝居前に描かれており、衣装などに想像が混じっている。
   特に新作の場合、誰も見たことのないものを描くわけで、台本をもとに空想することになる。」

● 「お茶席などで浮世絵が掛けられることはいまだになく、下に見られている。
   浮世絵はやはり突き詰めれば庶民のもの。」

● 「北斎や広重は、所詮風景画の人。(猿之助さん、当然風景画より役者絵派。)
   北斎の役者絵は平凡この上ない。
   大好きな絵師は勝川春章、三代目豊国襲名前の国貞。特に自分を描いてもらうとしたら後者。」


更に、先日國學院博物館のトークでもコレクターの方がおっしゃっていたように、
バレンの跡が残るような初刷の価値がここでも述べられた。
刷の回数が重なれば、文字まわりの細かい紋様などが失われていく、などと。


國學院のトークでは、増刷の際に刷師が変わることなどによる怠慢さも、図柄の価値低下の理由にあげられた。
繊細なかすれ模様が段々消失していくのみならず、
背景に描き込まれていたものまでが、時として省略されたりするという。
コレクターのトークには、買う人の視線が付加されて面白い。


「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」URL: http://ukiyoe.exhn.jp/
2014.08.30 Sat | Art| 0 track backs,
崖とシェリーと、南スペインの旅
現在行われているスペインのロードレース、ブエルタ・ア・エスパーニャ。
先日ヘレスデラフロンテーラとロンダを通過した。

2つとも、南スペインの中でもコルドバやグラナダとともに大好きな街。

特にロンダは、荒々しい岩肌がこれぞスペインと思わせる。


駅を出る。スペイン最古の最古の闘牛場が現れる。
道の端は一部手すりになっていて、崖の上に立っていることを自覚させられる。
下を覗くと、、、コワイ。


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道伝いに崖の下に行くこともできる。

下から橋を見上げる。橋の一部は小部屋になっており、一時期、ここは拷問部屋に転用されたと聞く。


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崖・・・

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そしてまた崖・・・

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でも家並みはいたってかわいらしい。

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コスタデルソルを彷彿とさせる白亜の家並みも見渡すことができ、
南国情緒、荒々しい自然、古い橋や最古の闘牛場などの歴史的重厚感が混ざり合ったハイブリッドな街、ロンダ。

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さて、お次はヘレス・デ・ラ・フロンテーラ。
シェリーのふるさと。
ヘレスが訛って英語でシェリーになったのだとか。

列車の駅を降りたら、甘いにおいがつーんと鼻を刺す。
それだけでいきなり気分は高揚し、いざ、シェリーの酒蔵ボデガ巡りへ。


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スペイン、ドイツ、フランス、日本からの観光客8名が参加。
ガイドさんは英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語、計4か国語を操った。

最後にはテイスティング。
ドライ、ミディアム、スイート、3種類を。

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街には乗馬学校もあり、ふらりとのぞいて白馬の競技練習風景をのんびりと眺めた。

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ヘレス、そしてロンダ、またいつの日か訪れたい。

ただ、私が訪れた時はまだ観光客もまばらだったけど、情報量の多い昨今、すっかり観光地化してしまったのでは、という危惧も。

それならば、俗化することなく普段着の街の風景を気ままに楽しんだあの日の記憶を 再訪によって上塗りすることなく
そのまま大切に取っておいた方がいいのかな、そんな気もする。

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2014.08.28 Thu | Travel-Spain| 0 track backs,
「ボヘミアン・グラス」展を、ワインとセットで味わう
スーパーで偶然こんなチラシを見つけた:
”「ボヘミアン・グラス」展とイタリアン・ワインの楽しみ方”


サントリー美術館「ボヘミアン・グラス」展鑑賞+美術展レクチャー+ワインセミナー+ワインテースティング(5種類)などなど、オマケがついた企画。


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本展は行きたいと思っていたので渡りに船、さっそく申し込み、先日行ってきた。

まずは展覧会レクチャー。見る前に基礎知識を浸透させることができた。
そしてワイン講座。イタリアワインの地域性の多様性など。

展覧会は今朝のエントリーで触れたとおり。
ボヘミアングラスの、繊細かつ煌びやかな歴史をたどることができた。


鑑賞後は、いよいよワインテースティング。
DUBLファランギーナ・スプマンテ、クマロコーネロ・リゼルヴァ、カンノナウリゼルヴァ、ソアーヴェセレオーレ、最後に微炭酸のデザートワイン。計5種類を、順にひとつずつ味わう。

ワインとともにオードブルプレートまで振舞われて、これはサプライズ。

・全粒粉、玄米など粉に拘った「浅野屋」自家製パン
・イタリア産のプロシュート生ハム、オリーブの実
・チリ産のスモークサーモンのヨーグルト添え
・イタリア産パルメジャーノ・レ・ジャーノ(24か月熟成)
・小岩井乳業「大人のチーズ」
・オーガニック「ドライフルーツ(フィグ、レーズン)
・グリッシーニ(イタリア)
・果物・・・シャインマスカット、長野パープル


写真 (49)


最後はお土産まで。
ワインの袋に入ったグリッシーニ。


写真 (48)


これらすべて込み込みで、お値段は正規の展覧会入場料を100円下回る1200円という太っ腹。

この企画、サントリー美術館があるミッドタウン内スーパーPrecceが、美術館とコラボで打ち上げたもの。
一緒にテースティングした人やスーパーのソムリエの方とフランス話に花が咲き、心地よい時を過ごした。

素敵な催しをしてくれたPrecceに感謝。
これからもせっせと買い物に行きます。


●サントリー美術館「耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」展
●「ボヘミアン・グラス」展を、ワインとセットで味わう
2014.08.27 Wed | Gourmet| 0 track backs,
サントリー美術館「耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」展
先日頂いたメールで評価が高かった「ボヘミアン・グラス」@サントリー美術館。
興味が湧いていたところに、天からの啓示が・・

行きつけのスーパーで、鑑賞券とワインテースティングがセットになった企画を発見。
なんたるグッドタイミング。
さっそく申し込み、行ってきた。


展覧会の方は、SSさんが教えてくれた通り、ボヘミアングラス=無色透明のカットグラスのイメージを裏切る内容だった。

技法の多様性もさることながら、色についていえば、完全に透明の器はごく少数。
表現の多様性を求め盛んに着色へと向かった姿勢も感じられた。

第3期には、完全に透明度を殺してしまい、陶器と見まごう作品も。
第4期には、ウラン(!)を使用したメロンソーダさながらの真緑の作品もあり、
無色からの脱却を図りつつも、透明度を極めることに精を出した痕跡も。


第3期となるバロック・ロココ時代はまだ技術的に発展途上とうかがわれるものの、
ガラスの間に金箔を入れて色を付ける(ゴールドのサンドイッチ)といったチャレンジ精神がふんだんに見られ、
瑞々しい感性に溢れていて円熟期よりも気に入った。

イエスと聖アントニウス、逆側に聖レオポルトをあしらった作品など
第2期(お茶目な絵付けもそれはそれで愛嬌があったが)に比べて格段に繊細となり、第4期には成熟の極みへと。


第4期では、最後の晩餐文蓋付ゴブレットに吸い寄せられた。
煌びやかな地に、薄く浮かび上がるレオナルド・ダヴィンチの最後の晩餐の構図が、
曲面を利用して奥行き感を伝えつつ佇んでいる。

目を凝らすと、イエスの背景の窓ガラス部分が一部貫通しているように見えた。
ゴブレットなので側面が穴あきということはなさそうだけど、どう見ても先が見通せる。
もしかしたら、この部分は薄手のため、欠損し、結果的に窓部分が開いたのだろうか?

精緻な技に裏打ちされ、この上なくはかないガラスという素材の上に再現されたマスターピース。
極上の宝石のような輝きを放っていた。


すぐそばには、見た途端、ラファエロの椅子の聖母とすぐにわかる作品も。
宗教画がガラスの世界にも盛んに反映されたらしいこの時代。
ルネサンスの巨匠たちの席巻ぶりがうかがわれる。


エミール・ガレを彷彿とさせるアールヌーボーの時代を経て、現代アートのオブジェとなると、
もはやボヘミアンのイメージを変形させることに向かっているかのよう。



冒頭行われた展覧会レクチャーでは、7つに区分された時代ごとの特徴の説明がなされた。
これも大いに鑑賞の一助となった。下記に要約。

1.中世後期(14~15世紀): 突起装飾(肉を素手で食べる時代ゆえ、滑り止めが必要だった)
2.ルネサンス&マニエリスム(1550~1650年頃):無色透明、エナメル絵付け、肖像画などのエングレーヴィング
3.バロック&ロココ(1650~1790年頃):基本無色透明、エングレーヴィングがベース
  ゴールドサンドイッチ、黒エナメル彩など
4.古典主義、帝政様式、ビーダーマイヤー様式、ロココ・リヴァイヴァル(1800~1865年頃):
  カラフル、どっしりとした形、カットやエングレーヴィング使用
5.歴史主義(1860~1890年頃):過去の様々なスタイルからインスピレーションを得てシンプルさへの回帰
6.アール・ヌーヴォー、アール・デコ、機能主義(1890年頃~第2次世界大戦):機能主義、曲線(ヌーヴォー)、直線(デコ)
7.1945年から現代まで:オブジェアートが多彩に


第1期、14-5世紀・中世後期の展示は、フルな形で残っているものはほとんどなく、
それより800年ほど前、古墳時代にザクザク出土した埴輪などと比べ、ガラスの繊細さを改めて痛感。


展示内容は意外性と多様性に富み、スッキリした構成ゆえ頭であれこれ考えずに済み、展示物に集中することができた。
好感が持てる内容だった。


*****

展覧会名: プラハ国立美術工芸博物館所蔵 耀きの静と動 ボヘミアン・グラス
会場 :サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
会期 :2014年8月2日(土)~9月28日(日)
開館時間 :10:00~18:00 (金・土は10:00~20:00)
※9月14日(日)、9月22日(月)は20時まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜
※9月23日(火・祝)は18時まで開館
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_4/display.html



●サントリー美術館「耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」展
●「ボヘミアン・グラス」展を、ワインとセットで味わう
2014.08.27 Wed | Art| 0 track backs,
有楽町の遺跡: 江戸時代、大岡越前守はここにいた
◆ 有楽町、誰も気づかないところに江戸時代の遺跡と大岡越前守がいた証
 

昨日参照した日比谷図書文化館で、その事実を初めて知った。

大岡越前守がかつてつとめた江戸南町奉行所の遺構の一部が都内に展示されていることを。
しかも、人通りの多いメトロ有楽町駅に。

これがその穴倉の木組み。
縦にして展示しているから、なかなかそれとは「気づかない。


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この場所に、大岡越前守が務めた南町奉行所があったというある種、記念碑なわけだ。

更にここからは、大岡越前守宛ての木札も発掘されたそう。


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同じくこのあたりから掘り起こされた水道管は、ベンチとして使用されている。

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そばにある石の椅子は、奉行所の石材を使用したそうで、

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子、卯、午などの彫文字が名残りを伝える。

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これが置かれているのは有楽町ということだったので、先日ルシャスリヨンでの友人との集まりの時、
通りがけに見物してくることにした。

具体的な場所は聞いていなかったし、”メトロ有楽町駅広場”というのがそもそもどのあたりを指すのか知らず、
見つかるかな?などという心配したが、それは無用だった。

JR有楽町駅イトシア側からメトロに下るあの大きな階段・エスカレーターを下って左手のところにあった。
事実を知りつつ見渡せば、すぐにわかるものだった。

日比谷線に行く際、よく通りかかる場所。
なのに気づかなかった、日比谷図書文化館でその話を知るまでは。

せっかくなので石と木材の椅子にちょいと腰かけて、歴史の肌触りを確かめてみた。

むろん普通の椅子の感触だったけれど、洒落た演出が心憎い。


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2014.08.26 Tue | 国内探索| 0 track backs,
江戸・東京の歴史博物館もある なかなか楽しい日比谷図書館
これまで無料で楽しめる博物館についていくつか書いた。


● 明治大学博物館(アカデミーコモン地階)
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2252.html
http://www.meiji.ac.jp/museum/

● 國學院大學博物館 
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2111.html
http://www.kokugakuin.ac.jp/oard/index9.html

● KITTE内 インターメディアテク 
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2145.html
http://www.intermediatheque.jp/

● 三田図書館の郷土資料館 (小粒だけど)
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2210.html
http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/muse/j/guide1.html


今日は、先日新たに見つけた日比谷の図書館(日比谷図書文化館)内の企画展示について。


日比谷図書文化館では、千代田区文化財担当(区民生活部文化スポーツ課)所管の常設展示
(および年2回程度の特別展示を開催することも)が鑑賞できる。

展示されていた江戸の地図を見ると、図書館の立地場所である千代田区が、江戸城を中心にかつて相当反映したさまがわかる。

江戸城を中心に、周囲ぐるりと町屋や武家屋敷が目白押し。
ゆえに発掘される陶器なども、武家屋敷から武家屋敷へ贈られた特注品など
名品が散見され、そうした展示もあった。


今なら企画展の方で、河鍋狂斎(暁斎) の「能画狸々図屏風(石橋)」の展示も。
河鍋狂斎は、きのくに屋の庇護を受け、本家の婚礼などにも出席したそうだ。

江戸や江戸城の地図、発掘土器、明治時代の写真、瓦のかけらなど
あれこれ見ていると、普段意識することのない東京の歴史が浮かび上がる。

出土された小さな土人形などは、土葬された人とともに埋めたと思われている。
死者が寂しかろうという発想。
エジプトでも日本でも、時代や場所を問わず人間の考えることは同じのようだ。


常設展は無料。
お茶をするなら1Fにあるプロント。
本棚に囲まれ、なかなかステキな空間。
http://hibiyal.jp/hibiya/guide_11.html
夜は平日・土曜19時まで(祝日・日曜は17時、図書スペースは22時まで)だそう。


企画展は以下の通り:

平成26年7月22日(火)~平成26年8月31日(日)
千代田区文化財保護条例施行30周年記念
「千代田の文化財で綴る江戸・東京の歴史」
無料

特別展「林忠彦写真展―日本の作家109人の顔」
平成26年9月26日(金)~平成26年11月25日(火)
(10月20日(月)、11月17日(月)は休館日)
一般300円、大学・高校生200円、千代田区民・中学生以下、障害者手帳をお持ちの方および付き添いの方1名は無料
2014.08.25 Mon | Art| 0 track backs,
ランチパスポート新橋・虎ノ門
土曜日、虎ノ門でランチタイムとなった。
ダメ元で書店に行ったところ、噂のランチパスポート 新橋・虎ノ門版が山積みになっているのを発見。

再入荷されたらしい。
いつでも売り切れ、入手困難で有名な一冊。
これは買うしかない。

価格は1000円。
所定の店で所定のランチを注文し、これを提示すれば、700-850円のランチが500円となる。
(中には1300円のランチが500円というパターンもあるけど、数量限定だったりしてハードルが高い。)

有効期限は9月30日まで。
更に土日使用不可の店も多い。
なので、元が取れるかどうかは微妙だけど、好奇心が勝った。

さっそく土曜日でも使用可能な店へ。
お刺身御膳がこれで500円。
(デザート=この日はスイカ=は、女性のみのサービス)。


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右も左もみなさんこれを注文。
見ればみなさん漏れなく、この一冊を持参している。
恐るべし普及率。

ツーレはこの本を買わなかったので(本は一名のみに有効)、
普通に850円の生姜焼きランチを注文していた。


虎ノ門界隈の手軽な店はとんと知らないので、店の新規開拓にも役立ちそう。


ランチパスポート 新橋・虎ノ門ランチパスポート 新橋・虎ノ門
(2014)
共同流通出版

商品詳細を見る
2014.08.25 Mon | Books| 0 track backs,
「ラジオ体操」、海外で受け継がれる
日系人を名乗る海外からの労働者の中に、なりすましがいることに気が付いた。
本物の日系人に取材せねばならないことになっており、
偽物=まったくの外国人ではまずい。
さあ、困った。みな言葉は片言、顔つきも似たり寄ったり、どうやって見分けるか?

そんな折、私こそ本物、と名乗り出る者がいた。
どんなに巧妙な申し立てよりも強い説得力があった。
決め手はこの一言:
「私はラジオ体操ができる」 ・・・・


2014/8/22付日本経済新聞 夕刊[プロムナード]
ノンフィクション作家 高橋秀実氏筆「ニッポン人の証し?」、の一コマだ。


君が代斉唱なら、誰だってモノマネできる。
柔道などの国技の場合は、日本人ですら習っていなければできない。

そんなものより、ラジオ体操を代々受け継いできたことこそ、
「ニッポン人っぽさを体現するような気がした」と筆者は記す。


読んで思わずうなった。言い得て妙。
普段地味なるも、意外な底力があり、なかなか空恐ろしい、ラジオ体操。

”夏休み中の子供”の身分を終えたら、プイと見向きもされないことも多々。
だけど身体に染みついたものは、完全に忘れ去られることなく
心の底部に地味に居座り続け、気が付けばいつの間にやら日本の魂的存在、、とは。


そういえば、7月頃、近所で7時になるとあの懐かしい音楽が遠くかすかに聞こえていた。
私の頃は6時台じゃなかったっけ、などといぶかしく思いつつ、
集まる子の数は少ないのでは、
最終日、ご褒美にお菓子とかもらえるのかな、
などとチラリと頭をかすめた。


だけどそれもいつの間にか聞くことがなくなった。
ラジオ体操週間が終わったらしい。
終わったことすら気づかず、音楽が聞こえなくなったなぁ、などと思うこともないまま過ごしていた。
先述の記事を読むまでは。

やっぱり日本人にとって普段見向きもされない、無意識に近い慣習なのらしい、ラジオ体操。

2014.08.24 Sun | Society| 0 track backs,
「世田谷区たまがわ花火大会」
外でパンパン、という花火の音。


14Fの外廊下から眺めてみたら、3方向で花火大会が開催されていた。
同じく見物に出ていた人の情報によると、一番華やかなそれは、世田谷区たまがわ花火大会との由。

10㎞以上先で行われている割に、遮るビルもなく、正面でよく見えた。

調整なくオートモードのままのコンデジで撮る写真は、まともに写るわけもないが。


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本当は、夜はBunkamuraのだまし絵展に行くつもりだった。
土曜は21時までオープンしている。

けれどクラブの総会に出たツーレの戻りが遅く、断念せざるを得なかった。
代わりに思いがけず遠目の花火が拝めたのだから、よしとしよう。


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満足して家に戻ってTVwつけたら、秋田大曲の花火大会の様子をやっていた。
ボレロなどの音楽に乗った演出も素晴らしい。
圧巻のスケールに唖然とする。

マンションの外廊下から見る小さな花火で満足している自分が可哀想に思えてくるほど。
いつか行ってみたい。秋田大曲の花火。

2014.08.23 Sat | 国内探索| 0 track backs,
お気に入りのビストロ 石川亭は、目下都内に増殖中
神田方面の本店、錦町店、恵比寿、室町コレドに続き 豊洲フォレシアにも間もなくオープンするという
ビストロ石川亭。

お気に入りで本店や恵比寿店には何度も行っているけれど、もっぱら週末のランチばかり。
けれど先日は、旧友たちとの再会で、夜、本店へ。

選べる【プリフィックス】ディナーコース 3,200円(税抜)3,456円(税込)と、相変わらずのコスパの良さ。


この日のチョイスは前菜盛り合わせ(キッシュ、ラタトゥイユなど)

写真 (45)


お魚のアメリケーヌ。(魚介ソース)

写真 (46)

デザートはフルーツのパテを選択。

写真 (47)


これにコーヒーor、紅茶or、ジュースのドリンクが付いている。

雰囲気はあたかもパリのビストロのようで、
お店の方も感じよく、
しっかり食べれて味も満足。
申し分ない。


このお店を発見したキッカケは、数年前、週末訪れた秋葉原。
ランチの店がなくて、探すうちに流れ流れて神田まで。

そのあたりで再度店の検索をして、よさそう、とここに決めた。
週末の秋葉原での用事は何度か続いたのでそのたびに数回訪問したけれど、
今ではその用事もなくなり、ちょっと足が遠のいていた。

今回、茗荷谷方面からくる友人が入っていたのでこの場所で集まりを設定した。
淡路町からも十分歩ける距離なのだった。

さらに、神田橋にもほど近いので大手町も目と鼻の先。
大手町合同庁舎へも5分程度だ。


***

石川亭本店
http://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13026224/
2014.08.23 Sat | Gourmet| 0 track backs,
ツール・ド・フランス ~ 私の好きな風景
今朝のエントリーでツール・ド・フランスのことに触れた。
今宵、再びツールの話題。

自転車ロードレースには1日で決着がつくクラシックレースの他に、ステージレースと呼ばれる数日間にわたる転戦レースがあって、
前者に比べ後者では、勝敗以外の周辺ストーリーを拾う機会が多く、その分味わいが増すことがある。

周辺ストーリーといってもそれは、現地取材に基づく詳細な報道でも、決して浮かび上がってくることのない、レースの片隅のごく小さな点景だったりする。

とはいえ、ああ、現地に来るというのは、こういうことなのだなぁ、としみじみ思う。


2年前のツール。
パリでの凱旋レース前日は、実質的最終決戦の場、ボヌヴィル。未知の町。
特に期待もせず行ったところが、中世の空気漂う珠玉の町だった。
単に街をさまよい歩くだけでも心が浮き立つような。

そんな折、1軒の可愛らしい家を見つけた。


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せり出した出窓が個性的で、
周囲の壁に後から貼り付けたのか、或いは古い櫓をそのまま生かして後付けの家に合体させたのか。
へんてこだけど愛嬌のある姿がもつ引力に引き寄せられるがごとく、しげしげ眺めていた。


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すると、すれ違いざまに、口をきいたこともないチームの監督が、声をかけてきた。
「It's nice, isn't it?」


選手を擁するチーム関係者たちは、連日転戦につぐ転戦。
いくら通過地点が風光明媚な場所であっても、それはある意味ビジネスの場所。
周囲の景色はもはや部屋の壁紙のごとく、“意識的な心の視界“から取り除かれるのでは、そんな漠然とした考えがあった。

けれどこうして風景の中に惹かれるものを見つけ、共感者からの相槌を求める人がいた。


まるで何事もない普通の日常生活のような1シーンが、結果を決定づける重要な場面において展開されるなんて。
ちょっと意外性を感じるとともに、ヒューマニスティックな心の余裕に出会え、ちょっと心がほんわかした。


その時のエントリー

2014.08.21 Thu | Cyclde Road Race| 0 track backs,
今夏ツールで無念のリタイアとなったアルベルト・コンタドール
今年のツール・ド・フランス。
大ケガでリタイアし、野心を果たせなかったアルベルト・コンタドールの記事などを、昨日発売の「サイクルスポーツ」(ツール別冊)に執筆しました。

***

コンタドールのことを初めて知ったのは03年。
当時の記事やロマンディ一周で見たコンタドールの様子をロードレースのページ(URLは以下)にて掘り起こしてみた。

http://masciclismo.blog.fc2.com/blog-entry-19.html


05年、生で見た時の感想は、スター性のある選手だなぁ、と。

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2014.08.21 Thu | Cyclde Road Race| 0 track backs,
資生堂ギャラリーで開催中の壮大なインスタレーション展覧会、要所ごとのトリックを押さえよう
美術館に興味がない人も、これはアミューズメントパーク的に楽しめる。
資生堂ギャラリーにて開催中の3人のユニット『目【め】』による「たよりない現実、この世界の在りか」展。
会期は残すところわずか。8月22日まで。

http://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/


いやはやなんとも大胆なインスタレーション。
だって、ギャラリーの中が、丸ごと、、、になっているのだから。

一部だけ写真撮影OKのポイントがあり、そこで撮影:

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ただ、その大きな枠組みの中で、チャーミングな仕掛けがある。
詳細は行ってのお楽しみ、ということで伏せるけれど、
抑えておきたい洒落たビューポイント(一種のトリック)が4つ。
これ、素通りする人も多々いたので、敢えて注意喚起。


まず、ギャラリーへは、エレベーターでなく1F「点検口」(これもインスタレーションの一部)から入るのがポイント。
(行は点検口から2Fへ、帰りはエレベーターで1Fに、と促される。)

この「点検口」は、まるで工事現場そのもの。
そして第一のビューポイントは、階段の途中にある踊り場。
ある2点の場所を覗くと、
最後の部屋に出てくる2つのもの(敢えて言ってしまおう、室内履きとミネラルウォーター)が見えるという演出あり。
これが最初のビューポイント。


次に、廊下を通って、角のところにある物体がキラリ。
その先の消火栓のようなスペースに体をもぐりこませると、やはり物体が仰ぎ見られる。
これがトリック2と3.


そして、最後の部屋。

余りにリアルなその部屋は、見えない人の気配があるかのよう。
細部までこだわって、リネンまで特注のようで、ネーム入り。
そしてほら、さっき覗き見た室内履きとミネラルウォーターが床に。

と、ここで、”1室”にだけ入って帰っていく人を見かけた。
ああもったいない。
その部屋は、そこで終わりではないので!?
ほら、よく見てみると・・・
これが4つ目。
手品のような大胆な大仕掛けだ。


すごく現実に忠実なインスタレーションでありつつ、そのリアルさが、圧倒的な虚構感を呼び覚ます、
という矛盾に満ちたスリリングな体験。
お見逃しなく!



ちなみに、インスタレーションのカーペットは専用の業者さんに頼んだようだけど、
あとの細部はすべてアーティストさんたちが共同作業で行った由。
資生堂ビルの管理用裏口か?と思える点検口の左官屋さん的領域まで!


最後に、今回フリークエントヴィジットで、これをゲット。
違うデザインのものがたくさんあるので、これからもまだ収集予定。バッジでなくてマグネットなのがよいです。

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■「たよりない現実、この世界の在りか」展 開催要項

主催: 株式会社 資生堂
会期: 2014年7月18日(金)~ 8月22日(金)
会場: 資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951
平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00
毎週月曜休(月曜日が休日にあたる場合も休館)
入場無料
2014.08.20 Wed | Art| 0 track backs,
頂いたメールから : ”大人の”夏休みの自由研究
夏休みの自由研究。
それも、”大人”の。
それぞれの夏休みの過ごし方があり、感じ方もさまざま。
興味深く拝見した。

以下、メインページ経由頂いたメールから(掲載許可受領済み)~

* Email from SSさん

件名: 夏休みの自由研究


横浜トリエンナーレの記事、興味深く読ませて頂きました。
面白そうだとは思っていたのですが、他県からだとちょっと遠いなぁと感じてしまって、パスしちゃいました。
このあと、時間を見つけて行こうと思います。

代わりに行った自由研究活動のご報告。

まずはサントリー美術館のボヘミアングラス展。
猛暑の日々にうんざりし、ガラスを見れば少しでも涼しい気分になれるかも、などといういい加減な動機。
で、どうだったかというと、整理された展示で14世紀からの変遷が良く判り、かつ予想外のものが沢山あり、見応え十分でした。

僕は、工芸ガラスというと、江戸や薩摩の切子しか思い浮かばなかったのですが、ボヘミアンのそれは、もっと幅の広いものでした。
考えてみれば当たり前の話で、現代の切子は回転工具あってこそ。何百年も前ににそんなものがあるはずもなく、主流は絵付け。

彫刻技法は16世紀後半からだそうですが、まだ回転工具は無く、(おそらく)彫刻刀の様なものによって彫り込まれたもの。
とはいっても木や石に彫るよりはるかに難しいはずで、そう考えるとなかなかに驚嘆すべき細密彫刻もありました。

意外だったのは、不透明な色ガラスの多さ。
正直、せっかくの美しい透明ガラスをなぜ陶器やプラスティックの様にしてしまうのか不可解でしたが、
会場出口にいたモーゼルガラス販売店の方の話では、一部には19世紀ヨーロッパで人気のあった日本の陶器の影響もあるのでは、との事でした。
なるほど、、ありそうな話ではあります。

他にも、共産主義時代の、筋肉隆々たる労働者の絵が彫られた作品や、器ではなく現代美術(オブジェ)も沢山あったりと、
僕の勝手な思い込み(=切子)を良い意味で裏切ってくれた展覧会でした。


もうひとつは、KITTEの上にある東大博物館。
ここは今まで何度も行っているのですが、いつも出張の合間などの駆け足だったので、今回はじっくり観ようと。

沢山ある剥製や骨格標本はパスして、一番観たい機構模型へ。
これは、たとえば、回転運動を上下運動に変換する様な「メカ」の様々なアイディアを形にしたものですが、
何となく見ただけでは、どう動くのか理解できないものが多くて、それを少しでも理解するのが、機械工学出身の僕の今回の課題。

結果、理解できたのか? まあ半分もできませんでした。

もうひとつは、数理曲面の立体模型(石膏製が多い)。
これはもう、何を意味するのか何の役に立つのか、さっぱり判りませんが、どれも不思議に美しい。
思わず、色々な方向から眺めたくて、キョロキョロ、ウロウロしてしまいます。不審者だ。

とまあこんな感じですが、両方の展覧会に共通して感じたのは、(陳腐ですが)手仕事の重み、でしょうか。
特に東大の展示物からは、当時の東大生たちの、頭の中のイメージと紙の上での理論を具体的な形で確認したい、という思いが伝わってきます。
今なら、どちらもPC上で簡単に計算できて、そのまま模型にすることも可能ですが、当時はどれだけ大変だった事か。

昔は良かったとは言いません。
世の中の仕組みがほとんど眼に見え、手で触れられた当時と、情報データで支えられた現代と、成り立ち方が違いすぎます。

でも、こういう知の系譜、蓄積を知っておく事は重要でしょう。
そう考えると、東大の展示には、もう少し説明がほしいと思いました。
そうすれば、もっといろいろな人に見てもらえるのでは?

p.s. ボヘミアングラス展、お薦めですよ。
詳しくは書きませんでしたが、現代オブジェ群もなかなか見応えあり、です。

以上



KITTEの東京大学総合研究博物館には、何度か行ったことがあるけれど、私は機構模型にはあまり興味を抱かず。

代わりに、行くたび驚くのは、剥製や動物骨格標本など。
小動物の繊細な肋骨の繊細な優美さや、グロテスク系動物の中に見出される到達地点ともいうべき機能性に感心したり。

突っ込みどころも満載で、丁寧に見て言ったらキリがない。
圧倒的なバリエーション・量で、これが一大学の所蔵だなんて、さすが東大。

大学独自の収集品だけでなく、寄贈品もあるようだ。
そういえば、東京国立博物館の展示も、「寄託品」のタグが目につく。
やはり一流のところには一流のものが集まるのだなぁ、などと下世話な私は納得するのだった。


サイトを見たら、今ならマリリン・モンロー旧蔵真珠ネックレスが出ているようだ。
また近いうちに、行ってみようかな。


KITTEの東京大学総合研究博物館:
http://www.intermediatheque.jp/
2014.08.19 Tue | Art| 0 track backs,
やきものとかごの芸術 @菊池寛実記念 智美術館
◆ 「陶の空間・草木の空間 ―川崎毅と関島寿子」展

先週末は、菊池寛実記念 智美術館へ。
今回の展示は、「陶の空間・草木の空間」。


写真 (43)


タイトルが物語る通り、“やきもの”と“かご”という異なる素材を扱う2人のアーティストの作品を、
“空間”という切り口で統一感をもたせつつ紹介している。

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川崎毅氏の作品は家々からなる街を表現したものがメイン。
小さな空間に、表情の違う街並みが次々現れる。

ギャラリートークによると、家という造詣を手掛けることになった理由は、単なる四角や丸といった形と違い、
雑音や縮尺度の実感など、鑑賞者側にプラスアルファの情報が加わるからだという。

確かに、実際の家という具体的イメージを、オーバーラップさせながら見ている自分がいる。


一口に街といっても造形はさまざま。

縦横に家の塊がひしめき合い、家の形を借りたぶつかりあいだったり、
バベルの塔よろしく上方へと延びる箱の集合体だったり、
四角い箱に街を閉じ込めて、穴や隙間やすりガラスから漏れこぼれる光が街頭・太陽・月の灯に見立てられるものや、
孤高な家を置いた荒削りな坂道の造形だったり、
ジオラマのような設定に、個性的な入道雲が湧き上がるもの、などなど。


次々に新しいフォルムが挑戦的に展開し、自由闊達な小宇宙が魅力的。

ゴテゴテとした装飾はそぎ落とされ、素っ気ない角ばった面体でありつつも、
人工的でない荒削りな表面に素朴な人肌を感じる。

『家のある所』では、かつて訪れたアッシジの長くゆるやかな坂(写真)を思い出し、

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『崖の上の建物』では、07年に行ったドーヴァーの白い崖(写真)が脳裏に浮かぶ。

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一方、もうひとりのアーティスト関島寿子氏のかごのシリーズは、
様々な編み方をされた草木たちが茶色い地味な色でありつつも、鈍い輝きを放っている。

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「なわの記録」では、縄に印を施したり、或いはところどころ編上げの方向を変化させつつ編み上げたりして、作家が記録という息吹を吹き込んでいる。

関島氏の作品は偶発的な完成品ではなく、確固たる頭の中の完成図をもとに忠実につくりあげていると聞いて驚く。

イメージに近づけるため素材をコントロールする意思がそこにはあって、
我々が眼にしているのは素材を気ままに編んだ結果ではなく、思考の結果ということ。


また、素材の草木は庭で採られた植物ということで、限りがある。
丹念な編み目からは、作家さんの慈しみが立ち昇っている気がする。


そんな思い入れは、タイトルの付け方からも感じられた。
「なわの記録 IIV」は、「Re-cord IIV」。
記録という”Record”と、なわ”Cord”の掛詞。
なわを依りなおしつつ記録されていく、そんなニュアンスを感じる。


細い茎のような素材が束ねられ、ところどころ記録のような印を施されつつ編まれている作品もあった。
形のいい曲線を描きつつ、こんもりと柔らかいこの作品のタイトルは、「束の間」。

「つかのま」、とも「たばのあいだ」とも読める。
英文タイトルを見ればどちらか判別つくかな?と思って確認。
すると --- 「Bound to continue」。

面白いことに、和文のみならず、英文でも2通りに読み取れる。
Bound to=決定づけられている、として、「連続する宿命になっている」と読むか、
Boundを、縛る=Bindの受動態として、「連続するために縛られている」と読むか。


4通りのニュアンス全てを当てはめてもいいような・・・
束ねられていく草木のように、作者の様々な思いが絡み合っている。


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ちなみに、この展覧会のことは以前からチェック済みで、
アーティストトークが開催される7/26(土)か8/30(土)にうかがうつもりでいた。
けれどたまたま両日とも都合がつかず、残念に思っていた。
制作者の生の声が聞かれるなんて、滅多ないチャンスだったのに。

ガッカリしていた矢先、ブロガー内覧会の機会があると知り、こちらに参加。
夫は普通にチケットで入場して、気ままに鑑賞していた。


一定のテーマをもとに様々な造形・見せ方に挑戦する様子が見られた今回の展覧会。

おふたりの作品はともにドカーンとした派手さはないのだけど、気持ちの入った作品ばかり。
そうした真摯な姿勢が心に響く展覧会だった。


*展覧会の写真については、ブロガー内覧会の機会に、写真撮影許可を受けています。

*****

展覧会名:陶の空間・草木の空間 ―川崎毅と関島寿子 展
場所:菊池寛実記念 智美術館
日程:7月12日(土)~ 9月28日(日)
休館日:毎週月曜日(但し7月21日、9月15日は開館)、7月22日(火)、9月16日(火)
URL: http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html


<今回の展覧会関連記事>
菊池寛実記念 智美術館併設のレストラン ヴォワ・ラクテの心地よいひととき(東京・神谷町)
やきものとかごの芸術 @菊池寛実記念 智美術館
2014.08.18 Mon | Art| 0 track backs,
菊池寛実記念 智美術館併設のレストラン ヴォワ・ラクテの心地よいひととき(東京・神谷町)
東京都神谷町。
ホテルオークラのそばに菊池寛実記念 智美術館がある。

1F入って右手にあるレストラン ヴォワ・ラクテは、知る人ぞ知る人気のレストラン。
大きく取られた窓ガラスから見える庭のみどりが瑞々しい。


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ヴォワ・ラクテ=Voie Lactee(英語だとMilky Way) とは、フランス語で天の川。
Lacté(e)は乳の、乳白の、といった形容詞。
乳を表すラテン語Lacの語幹は、英語にも名残があって、例えば乳酸は、lactic acidなどという。


このレストラン、夜はライティングで天上が天の川のようになるそうだ。
http://www.musee-tomo.or.jp/voielactee.html


美術館訪問の際にレストランを利用したことがあるけれど(一度は親と一緒の訪問。気に入ったようで、その後も利用したと聞く)、
いつもランチだったので、夜のこの趣向はこれまで知らなかった。


美術館利用なしでも食事は可能。

でも、折角行くなら入館がお勧めかな。
ステキな空間で、心地よさが倍増するので。


例えば、地下展示スペースへのアプローチ。

螺旋階段の壁面には和紙の書のコラージュがあり、 
ひとつ下った踊場スペースから見るガラスのまばゆい手すりが見事。


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ガラス作家の横山尚人氏に依頼したものだそう。
長さ30㎝のガラスの細長い円柱がつなげられ、螺旋となっている。
深さの異なる微細な彫りが、ゆるやかな螺旋のように展開。
それぞれの円柱ガラスは同じ型で作ったものでなく、ひとつずつ異なる微妙なカーブがつけられている。

手すりひとつとっても秀逸な芸術品なのだった。

写真 (42)



螺旋階段というと思い出すのがバチカン美術館。
踊場から見上げるこの螺旋とバチカンのそれを試しに比べてみる。


(以下は去年GWに訪れたバチカン美術館)
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階数が違うので、層の深さは異なれど、段差が低いバチカンに比べ、
智美術館の方は縦方向に広がりがあり、螺旋自体の形はよりしなやかで女性的。


更に上方部を比較してみる。

バチカン:
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色なしステンドグラス的なバチカンに対し

智美術館:
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こちらはトップに明り取りの窓のような小ぶりの円形を頂き、無限感が増長され。

周囲には、小さなキラキラしたライティング。
この小さな光はレストラン同様、天の川を表しているのではないか
などと勝手に想像した。


下り終えると手すりはノーマルなタイプに変わるものの、
そこから見上げるスパイラルも、エレガント。


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展示室の構成も、例えば今回はやはり天の川のような曲線使いがあるなど、見目麗しい。

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目下、2014年9月28日(日)まで、「陶の空間・草木の空間 ―川崎毅と関島寿子」展が開催中。
こちらの美術館、現代陶器の展示を中心に展開しており、馴染みのない向きもあろうけれど、
何かしら自分なりの発見があって、食事で味覚を、展覧会で視覚を刺激するそんなハーモニーが楽しめる。


ちなみにレストランはいつも混んでいるので、私は予約の上訪問している。

*バチカンの写真以外は全て「ブロガー向けの特別鑑賞会」において撮影許可を得ています。


*****

菊池寛実記念 智美術館併設レストラン 「ヴォワ・ラクテ」
http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130704/13015563/


菊池寛実記念 智美術館

「陶の空間・草木の空間  川崎毅と関島寿子」展
2014年9月28日(日)まで
休館情報などは下記URLにて:
http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html



<今回の展覧会関連記事>
菊池寛実記念 智美術館併設のレストラン ヴォワ・ラクテの心地よいひととき(東京・神谷町)
やきものとかごの芸術 @菊池寛実記念 智美術館
2014.08.17 Sun | Gourmet| 0 track backs,
暑~い夏に、クールな体験
恵比寿ガーデンプレイスに突如現れた白いドーム。
Love Letter Project '14なる企画だそう。

入場無料で自由に出入り可能の由。
中に入いると、ひんやりとした空間。
人々は寝転がり、頭上を仰いでいる。

花々とともに、書が次々と舞い降りてくる。


「時の華」とか、「上を向いて歩こう」とか。

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去年だったかソニープラザでやっていたのとちょっと似ている。
あの時はソニー自慢のハイレゾ音楽体験会と銘打って、プラネタリウムの星々を眺めつつ
良質の音楽を体中に感じる体験だった。
やっぱり寝転がったりして。

今回はサウンドでなく書で見せる、視覚バージョンか。


しばし猛暑を忘れ、文字の世界に身をゆだねる。

このあたり、丁度冬にはバカラのクリスマスツリーがあった場所。
買い物に、食事に、人々が行き交う中、ぽっかりとした癒し空間なのだった。
2014年8月17日まで。


*****

サウンド・プラネタリウム〜満天の星空の下で味わう、ソニーのハイレゾ音楽体験会〜」
http://home.ginza.kokosil.net/ja/2013/11/17/sonybuilding-6/

Love Letter Project '14
期間:
2014年08月02日~2014年08月17日
場所:
ひろば
書道家の紫舟とウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」のコラボレーションにより、最新のデジタル技術を駆使した美しい日本語の書が巨大なドームの中に降り注ぐ、世界初の「メディアアート」を公開。
http://gardenplace.jp/special/1407loveletter/index.html
2014.08.16 Sat | 国内探索| 0 track backs,
横浜トリエンナーレ2014 その3 教会の一室のような第3話の部屋
引き続き、「第3話:華氏451はいかに芸術にあらわれたか」の部屋で。

石造りの本の展示があり、近づいてみる。


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マイケル・ラコウィッツ
どんな塵が立ち上がるだろう?
2012年手作りのバーミヤン産大理石



タリバンにより石仏が破壊されたバーミヤン産の大理石でできているといい、
上部アクリルボードには、それぞれの書物の来歴が日本語・英語で書かれていた。


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向かって右から:

● ここで表現している書物は、1941年英軍によって爆撃されたドイツ・カッセルの図書館の本の複製だそう。
カッセルの図書館もバーミヤンのごとく、破壊という負の歴史を背負っている。
イギリス軍がドイツのヘッセ州立図書館を爆撃し、かろうじて残った蔵書も2度目の爆撃で全滅。
やがて、この図書館の目録は、ナチスが世界中の図書館を襲って不法に入手した書物で占められるようになった、そんな象徴的な場所。


● バーミヤンの鍛冶屋の石像彫刻用チゼル。
破壊されたソ連軍の戦車と、廃棄されたアメリカ軍車両の部品からつくられたもの。


● タリバンが攻撃を加えたカブール大学の本


● バーミヤン仏像破壊首謀者の告白文。不本意であったが、仏像を修復したいという申し出は、餓死しかけているアフガニスタン人より無機物に思いを寄せる人間がいるということであり、これが許せなかったと。



左手のモニターでは、バーミヤン石仏破壊の後、修復の様子をドキュメントしている。
太陽降り注ぐ中復旧にいそしむ人たち。
悲惨な映像では全くないものの、登場人物たちの何気ない言葉にも、鈍痛のような悲劇性を感じてしまう。


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マイケル・ラコウィッツ
どんな塵が立ち上がるだろう?
ビデオ


バーミヤン石仏破壊修復の際、破壊前と全く異なる足がつけられたという話を聞いたことがある。
オリジナルに関するドキュメントがなにも残っていないらしい。
「復元」というのは、もとの形が把握できてこそ。
ここにあるのは「想像」の対話ばかり。


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貴重なガンダーラ派美術の一部が木端微塵にされた。
それだけでも、むごたらしい。
更に、修復という救済措置はどこか手探りで、想像を駆使するしかない心もとない状況。
喪失感が増す。


この物理的な破壊行為はさらに、思想的背景を伴うので根が深い。

丁度先月読んだ旧約聖書「モーセの十戒」。
いかなるかたちでも、天上、地上、水中、地下、すなわちどんな場所においても偶像をつくってはいけない、とある:
Tu ne te feras pas d’idoler, ni rien qui ait la forme de ce qui se trouve au ciel la-haut, sur terre ici-bas ou dans les eaus sous la terre.


旧約聖書の偶像崇拝禁止はユダヤ教により厳格守られており、これだけ年月が経っても、現存するかたちでは皆無という話。

そうした流れを汲んだイスラム教。
石仏破壊は、単なる武力見せつけでなく、綿々と続く強固な宗教イデオロギーに基づいたものだけに厄介だ。
実際、石仏の目の部分を集中的につぶすなど、深い憎悪が感じられる破壊行為もあったと聞く。



そんな宗教という大義名分で正当化された戦争を糾弾するのがこの《ビッグ ・ダブル・クロス》。

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エドワード&ナンシー・キーンホルツ《ビッグ ・ダブル・クロス》


ダブル・クロスというと、横棒が2本になっている形を思い浮べるが、
こちらは1本。

その代り砲弾を内包している。
みぞおちのへんに重く響くような、静かな抵抗を感じる。


英熟語でDouble Crossといえば、裏切りの意味。
作家の、「宗教の名を借りた戦争は、大きな裏切りである」というメッセージが込められているそうだ。



十字架に向かい合って、書見台には、一見、祈祷書のような「Moe Nai Ko To Ba」も。


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その他、表現方法を求めて奮闘する人々の熱い魂が感じられる釜ヶ崎芸術大学のコーナーも印象的。
法廷の特設舞台では、実際に模擬裁判的パフォーマンスもあるという。


ヨコハマトリエンナーレ2014 「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」は、
ビジュアルと論理的思考、右脳と左脳が同時にフル回転するような、刺激的な海だった。


公式サイト:
http://www.yokohamatriennale.jp/2014/


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横浜トリエンナーレ2014 序章 : アートのゴミ箱に捨てられた一歩手前の美術品たち
横浜トリエンナーレ2014 : その2 鏡文字は頭がクラクラするのだった
横浜トリエンナーレ2014 : その3 教会の一室のような第3話の部屋

2014.08.15 Fri | Art| 0 track backs,
サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み
最後に、リミニからバスに揺られて行ったサンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャ(*)で見た風景を。
(*)先日珍しいボタンの博物館を紹介したあの町。
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2372.html

どことなく妙なアクセントがついた家が並ぶ。
中世の遺物をそのまま生かして住居をつくったらしい。


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古いものを残しつつ、実用として使う。
新旧ともに混ぜてしまう、ちょっと欲張りな発想の結果は、
お茶目なパッチワークのようなツギハギ模様。

ガイドブックに載るような見どころ満載の観光地ではないけれど、街の歴史を尊重するその心意気がステキ。
一見へんてこな中の真面目さが印象に残る町並みだった。


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* * * * *

◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.08.14 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
未知の逸品、ゆったり空間・・心地よかった ホテルオークラのアートコレクション展
もうずいぶん前のこと。
ホテルオークラで企業の名品アートコレクション展が開かれる、そんな話を絵画鑑賞好きの両親から聞き、
以来何度か足を運んでいる。
(ああそれから、同ホテルのもう一つのチャリティーイベント、「大使夫人によるガーデニング」展もお勧め、
とのことで幾度か見に行ったり。)

地道に続いた本企画も、既に20回を数えるという。
今年のテーマは、「日本の美を極める」。
今回もまた、一般の美術館以外からの貸し出しが多々。
新鮮味に心が躍った。


まず入口。
好みの絵が横一列にズラリと並び、テンションは一気に高まる。


右から高橋由一『墨水桜花輝耀の景』
川合玉堂『春雨』
東山魁夷の『晴れ行く朝霧』そして『渓音』

私的には秀逸な一角。

まず、『墨水桜花輝耀の景』のインパクト。
どこか古風なようで、斬新。
黒い影となったミニュスキュールな家並み続く背景に、斜めに走る桜の枝が力強い。

この対比によるダイナミズムには既視感を覚える。
つい先日國學院博物館の浮世絵特別列品で見た歌川広重「名所江戸百景 堀切の花菖蒲」。
構図は全然違うのだけど、前景と後景の極度な対比の妙を共有している。


*写真はブロガーナイトの機会に許可を得て撮影しています。
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高橋由一『墨水桜花輝耀の景』


やがて展覧会監修の熊澤弘先生のお話で、由一が江戸と明治が混然とした画家であり、浮世絵の影響も残っていると知る。

浮世絵を真似たゴッホらを考えれば油絵とのコラボは不自然ではないのだけど、
日本人洋画家の浮世絵手法というのに意外性を感じた。
彼らはもっぱら海外に留学して、印象派に傾倒したイメージがあったから。
そもそも由一が江戸時代生まれとは、知らなかった。
油彩画家ということで、勝手に明治の人と決め込んでいたみたいだ。


次に『春雨』
春がにおい立つような情景。
左上隅から三角形ので約半分を占める空間には、ごく薄く縦のリズムが描かれていて、
かたちのない雨が漂っている。

下部には傘をさす女性たちとともに、雨に煙る淡い風景がこじんまりと。
周囲の家々など雑多なものはない。
のどかで穏やかな心になれる一枚、いいなぁ。

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川合玉堂『春雨』



東山魁夷の『晴れ行く朝霧』の靄の美しさに感嘆し、そして『渓音』。
抑えた赤が滝の流れとともに渋みを増していく。
心にじわじわくる味わい深さがある。
花咲き誇る華やかな春に負けない秋の存在感。

高揚感を抱きつつ、次の部屋へ。


前田青邨の植物画は、相変わらず麗しい。
(この人が描く人物画となると、別の画家の作風のように思えてならないのだけど。)
『みやまの四季』は、4シーズンを欲張ってひとつに押し込めた。


横山大観の『四季の雨』と『山四趣』の掛け軸が縦に並べられるという離れ業には驚いた。
空間対応のための苦肉の策との由。

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横山大観の『四季の雨』と『山四趣』


縦に見てみると、
溌剌としたタケノコが印象的な夏の絵(着色)の下には、
墨の濃淡によって表される霧と連なる山並の絵。
その画風のギャップを楽しむやり方もあろうけれど、私はスタンダードに横に見ていくスタイルをチョイスした。
(ちょっと気を許すと、視線があちこち飛んでしまうのだった。)


大広間に足を踏み入れて目を奪われるのは、竹内栖鳳の『河畔群鷺』と横山大観の『夜桜』。
ともに各々近代美術館、横浜美術館の特別展で対面しており、
大作ということもあり細部をしげしげ眺め回したのを思い出す。
ただこちらの展示では、スペースの贅沢な広がりのせいで、ずいぶん威風堂々と。
(そしてカーペットがゴージャス感を添えているような。)


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竹内栖鳳の『河畔群鷺』と横山大観の『夜桜』


美人画が10点以上ズラリと横並びする様も壮観だった。

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このほか様々な和の絵が、広いスペースに並ぶことその数81点。
見ごたえがある。


本展のテーマは四季、花鳥、風情。
時代は江戸から現代まで。
所蔵先はさまざま(収益金の一部を寄付する先、日本赤十字社所蔵のものも)。


こんなのもある、あんなのもある、バリエーションを楽しみつつ、
最後は結局お気に入りの絵の前でしばし佇み、
さらに(作品によっては)もう目にする機会はないかもなぁ(『みやまの四季』とか)、などと別れを惜しんだ。


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『第20回 記念特別展 の名品 アートコレクション展』
【 日本の美を極める -近代絵画が彩る四季・花鳥・風情-】
場所 ホテルオークラ
会場 別館地下2階 アスコットホール
開催期間 2014年8月8日(金)~8月31日(日) 24日間
時間 9:30~18:30(最終入場は 18:00まで)

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/special/art2014/
2014.08.13 Wed | Art| 0 track backs,
横浜トリエンナーレ2014 : その2 鏡文字は頭がクラクラするのだった
ヨコハマトリエンナーレ2014のタイトルは、「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」。
レイ・ブラッドベリのSF小説『華氏451度(Fahrenheit 451)』から着想を得ているという。


華氏451=摂氏232.8度。
紙が自然発火する温度を題名にもつ本小説は、“焚書”を暗示しているかのよう。
実際、近未来において書物は非生産的なものとみなされ、燃やされる、というストーリーだそう。

そんな書物虐待を暗示するような作品が、展示室第三話の部屋にあった。

山積みになったペーパーバック。(これ全体が作品)
表紙にはFahrenheit 451の文字。



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ドラ・ガルシア/『華氏451度』


元に戻すこと前提で、テーブルの上の本は、自由に手に取って開いていいという。
めくってみる。
何語だろう?読めない。


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上下逆だったか?と思わず逆さにしてみたり。
なんだか気分が悪くなる文字だ、、と思ってふと気が付いた。
左右逆、つまり鏡文字なのだ。

撮影可能だったので本を写真に収め、自宅でPC上に画像を出し、左右反転することに。


こうやってPC画面の脇に鏡を直角に当ててみる。
表紙がノーマルになった。


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中の文章。鏡を当てると英語と判別できた。

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鏡を通すと確かに読める。
「鏡」文字を実感する。


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読んでみる。

“Why, it was at –“
She stopped.
“I don’t know” she said.
H was cold. “Can’t you remember?”
“It’s been so long.”


これらの本、作品タイトルは『華氏451度』だけど、作者はドラ・ガルシアになっている。
つまり、これは、ブラッドベリの書をもとにした別のアートのかたちだったのだ。

表紙には燃え盛る炎。
読むことを禁じられた近未来、読むことが禁じられ、読めないようにしてしまう発想。
鏡文字の奇妙さもあいまって、強い反逆精神を感じる。


この第三話の部屋は、足を踏み入れた途端、教会の様相を呈していて、戦争がらみのものが多く見られた。

忘れてはならない事実を突き付けるかのごとくヘビーな空気に包まれており、
忘却の海から拾い出さなければいけないものたちで満たされていた。


例えば、画家・松本竣介の妻禎子宛書面。

ガラスケースに入った地味な展示だけれど、その手紙の日付を見た途端、
足を止めずにはいられなかった。

几帳面な字で綴られた3通の手紙、
日付はそれぞれ、1945年8月14、8月15日、9月4日。
終戦記念日とその前後という劇的な瞬間のものだった。

もうこの手書きの日付だけでも、強いメッセージ性がある。
悲惨な歴史の証言が、生々しいぬくもりで胸に迫る。


写真撮影禁止だったので、手紙のさわりを一部書き写してみた。
終戦前後の心境の変化を追ってみたくて。
誤記もあるだろうけれど、以下。


1945年8月14日
「戦争は実につまらぬものになってしもうた。少しでも人々の生活に美しい物を残していくような仕事のできるような者にしなければならない(以下略)・・・」


1945年8月15日
「痛恨やるかたなし 事ここに至ってはもっとも正しい道であろう(以下略)・・・」


1945年9月4日
「マケタマケタニホンハアメリカニマケタ オトコノコハミナメニナミダヲタメ
ゲンコツヲニギリテ ザンエンダザンエンダト イッテイルヨ」


文面からは、戦争から距離を置く姿勢が感じられるけれど、それでも敗戦後、意気揚々といった感じでもなく、
あらゆる思想を持った者にとり、この戦争はなんらかのかたちで禍根を残したことがうかがえる。

彼自身戦争には行かずに済んだものの、当時の画家たちの宿命だった戦争画家の道を拒んだと聞く。
NHK「日曜美術館」でも彼の絵は紹介されている。


対面の壁にはバーミヤンの仏像破壊を取り上げた一連の作品。
この問題は深い。一筋縄ではいかない・・・
じっくり見ないといけない作品だ。


(続く)

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横浜トリエンナーレ2014 序章 : アートのゴミ箱に捨てられた一歩手前の美術品たち
横浜トリエンナーレ2014 : その2 鏡文字は頭がクラクラするのだった
横浜トリエンナーレ2014 : その3 教会の一室のような第3話の部屋

2014.08.11 Mon | Art| 0 track backs,
パルテノペの取り分けコース
先日帰宅時、ツーレと至近距離にいることがわかり、そのまま一緒に外食することに。
友人らとの集まりの下見も兼ねて、品川で下車し、パルテノぺへ。

取り分けコース(2人以上)がなにやら豪華だったのでチョイス。


まず青のりのフリットのアミューズ。

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前菜冷製。

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ピザ生地にボロネギを挟んだもの。

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マルゲリータピザ。小サイズ。

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パスタ2種のうちボンゴレ。

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パスタ2品目、ショートパスタ。

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メインお魚グリル。

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メインお肉ロースト。

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デザート盛り合わせ。

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コーヒー。

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以上しめて、一人税込4,320円。

味は全体的に塩気がやや強めかなぁ、という感じもあるが、
ガッツリ食べたい人にはお勧め。


パルテノペURL:http://www.partenope.jp/shop/shinagawa.html
2014.08.11 Mon | Gourmet| 0 track backs,
「水の音―広重から千住博まで―」展(@山種美術館)
今、山種美術館で、水の音をテーマに、涼しげな展覧会が行われている。


波、滝、川、雨 ・・様々な水の顔が楽しめる中、あの作品もあった。
奥村土牛の『鳴門』。

ある時、といっても本美術館がまだ九段にあった頃、
「今日見た絵の中で一番お気に入りはコレダ!」と“指名”したのがこの絵だった。

ウグイス色とも呼べる微妙な緑の色合い、白濁する渦潮の勢い。
絵の題材としての”渦潮”に当時馴染みがなく、斬新に感じたのを覚えている。
吸い込まれてしまいそうな荒々しい水の勢いを絵筆でここまで表現できるんだなぁ、
と何度も絵の前に戻って繰り返し見入った。

以来、『鳴門』は『醍醐』とともに、私の中の土牛作品双璧。


なつかしい絵といえば、奥田元宋さんの『奥入瀬(秋)』もあった。
奥様の奥田小由女さんが講演会でおっしゃっていたのを覚えている。
画家は「自分が水・流れになったかのよう」にこの絵を描かれた、と。
だからこその水と木々の一体感。
(8月17日の日曜美術館アートシーンで「奥田元宋・小由女美術館」が取り上げられるようだ)

赤の表情が実に多彩。
力強さも感じ、渾身の力で描いたことがしのばれる。


*以下、写真はブロガー内覧会の機会に許可を得て撮影しています。

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●奥田元宋/『奥入瀬(秋)』



今回は、これまでの酷暑もあいまってか、千住博さんの
『ウォーターフォール』や『松風荘襖絵習作』の滝の、ツララのような鋭利な冷たさが心地よかった。
耳で聴くというより、肌で涼を感じるといった触感先行型で。

前者は、水面から立ち昇るミクロな水しぶきが眼前に広がって、大迫力でありつつ繊細。

後者は闇に浮かぶ水の層が、まるでオーロラのよう。

音で表現するとどうなるだろう:
様々な表情をもつ水の紋様が奏でるのは荘厳なリズム、
水のほとばしりは大胆なのに、どこか相反した静けさも感じる不思議な世界。

暗い背景と滝だけの組み合わせ。
和の絵が集う会場内で、シャープなモダンさが際立っていた。


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●千住博/『ウォーターフォール』


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●千住博/『松風荘襖絵習作』



会場には、千住さんの立体作品もあった。
木目風の渓流、と思って見ていた『水 渓谷』が、よく見たら陰影がついていて、木片を置いてつくられたものだと知った。
しなやかな発想。
いい感じで木の紋様が川のように流れていた。
流れが変わる中洲のような部分には一羽の鳥という趣向。


一方、趣きはガラリと異なって、横山大観『夏の海』は、右上から左下へと流れる男性的なリズムが小気味よい。

浮世絵のような手前の波と、おおらかな うねりが全く違う筆致で描き分けられ、
2種類の波とギザギザ岩が、三つ巴にがっつりぶつかり合う。
元気がもらえるようで、この作品も好き。

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●横山大観/『夏の海』

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●横山大観/『夏の海』(部分)


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●横山大観/『夏の海』(部分)



その他、素晴らしい着想、細やかな技法で心に残ったのは、『水花火(螺)』(宮廻正明氏)。
点描のコバルトブルーの水を背に広げられた花火のようなまっ白い網が鮮やか。
網が咲かせた大輪の花のインパクト。


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宮廻正明/『水花火(螺)』



「波のイメージ」、「躍動する波」、「きらめく水面」で川、滝、海を見た後は、第4章に「雨の情景」が待っている。

雨の情景といって浮かぶのは、国立近代美術館の『小雨ふる吉野』(菊池芳文)。
奥の雨に煙る風景に対し、手前の桜を打つ雨は水滴としてではなく、空気として描かれている。

そんなしっとりとした空気感を、川合玉堂の『水声雨声』の中にも見た。
背景はうっすらと霞み、幻想的でそこはかとなく美しい。
縦に広がる空間の中、傘を差したふたりの女性の小粒さ加減が愛らしく。


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●川合玉堂/『水声雨声』



前半に展示されていた同じ川合玉堂の『鵜飼』も、濃淡で魅せる作品。
奥の人物たちは霞んで、手前と違う空気感。
浮世絵のように線で表された波。

鈍く光る金色が美しく、ふと思い出した、山崎館長の言葉。
炎を金泥で描いていると。

船の上のおじさんの表情が柔和で心が和む。
この絵だけではない。
いつもどこかしら“癒し”を感じる、川合玉堂の絵に。


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●川合玉堂/『鵜飼』

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●川合玉堂/『鵜飼』(部分)



ちなみに雨霞といえば、最後の展示室にあった小茂田青樹『春雨』にも、雨交じりの湿潤な空気が描かれていた。

Cafe椿では、毎回いくつかの作品をもとにつくられた菊家さんの和菓子が用意されるのだけど、
今回私が選んだのはこの『春雨』にちなんだ「花の露」。
雨を含んだ淡い桃色のカイドウの佇まいを思い出しつつ、舌つづみ。


写真 (41)


事前に「青い日記帳」のTakさん、山崎妙子館長のお話もあり、充実の時。
今回も感謝です、「青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会 第4弾」。


展覧会名: 「水の音―広重から千住博まで―」展
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
会期: 2014年7月19日(土)~9月15日(月・祝)
休館日: 月曜日(但し、7/21, 9/15は開館)
会場: 山種美術館
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
2014.08.10 Sun | Art| 0 track backs,
横浜トリエンナーレ2014 序章 : アートのゴミ箱に捨てられた一歩手前の美術品たち
サッカーボールには「HI BI NO」の文字。
日比野克彦さん制作のサッカーボールだ。
横浜トリエンナーレ2014会場特設の”ゴミ箱”に、これが埋もれていたワケとは・・・

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* * * * * *

8月1日から、約3ヶ月ほど続く横浜トリエンナーレ2014が始まった。

ビエンナーレやトリエンナーレというと、現代芸術がどさっと集合し、全体感が捕えがたいイメージもある。
けれど実際に行ってみて、全く難解という感じではなく、想像以上に心の中にぐいぐい響いてくるので驚いた。


本トリエンナーレのタイトルは「華氏 451 の芸術:世界の中心には忘却の海がある」。

「忘却」というメインテーマを軸に見ていくせいか、散漫にならず、作品同士が有機的に結びついているのを感じた。
そんな一つの大きなまとまりの中で、個々の作品から様々な感情が湧いてくる。


◆ ヴェネチアの風景

ここでまず、このトリエンナーレという言葉について。
triathlon=トライアスロン(3種類競技)、triangle=三角形、triple=3倍に見られるように、
「トリ=Tri」というのは数字の「3」を表す接頭辞。
つまり、Triennale(トリエンナーレ)は3年に1回の開催だ。


ちなみに、二輪車=bicycle同様、2を表す接頭辞「bi」がつくビエンナーレ(biennale)は2年に1度の美術祭。

ヴェネチア・ビエンナーレ会場の前を、水上船ヴァポレットで通りかかったことがある。
(ジロ・ディタリアのプレスセンターが、この近くだったのだ。)
その時は会期外で、専用の公園のようになっていた。


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場所は、島の端っこの方だけど、サンマルコ広場までそう遠くはない。

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ヴァポレットの駅名もズバリ、ビエンナーレだ。

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◆ アート・ビンに埋もれていた森村泰昌さんの着衣のマハ!


昨年10-12月、原美術館で「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」展を見た際、
次の(つまり今回2014年)横浜トリエンナーレのアーティスティックディレクターが森村氏であることを知り、楽しみにしていた。


もっともいざ行ってみると、会場で森村さんが黒子にならず、あからさまかたちで登場(?)するのは序章に置かれている<アート・ビン>だけ。
<アート・ビン>=芸術のごみ箱は、忘却の容器という位置づけだそう。

つまり、失敗作、未完成作など、名作になる途中で日の目を見なかった作品たちを、このビン(ゴミ箱)に投入することで、
完成品に到達するまでの道程で、地となり肉となったであろう試行錯誤の形跡を掘り起こそう、といった試み。


会場のひとつ横浜美術館内、写真右手の階段踊り場から、作品をひょいと投げ捨てる儀式が先に行われた。
但し投棄可能なのは、芸術品と見なしてもいいよね、といった作品のみ。
(また、生ものその他、NGのものについては事前に規定あり。)


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森村さんによると、「心の眼」で見るものが芸術品という定義なので(いい言葉だな)
アート・ビンの中には、まあちょっと微妙な物体も多々。

そして冒頭のサッカーボールはこちらの左隅に。
つまり、芸術品としてこれ自体は大成しなかったけれど、その過程が別の形として結実される、
そんな証言者が廃棄箱にあるこのボールであるのだろう。

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なによりド派手にアート・ビンの一角を占めるこれこそ、ザッツ森村さん。

原美では、裸のマハ(森村さんがなりきってゴヤが描いたマハを演じ、それを写真と絵画で表現したもの)を見たことがある。

こちらは、着衣のマハが上下につらなる作品。
完成品とその一歩手前を分けるものがどこなのか私にはわからないけど、
なにしろ、おさらばすべき作品のようだ。


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さて、いよいよメイン会場へ。

(続く)

公式サイト:
http://www.yokohamatriennale.jp/2014/index.html

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横浜トリエンナーレ2014 序章 : アートのゴミ箱に捨てられた一歩手前の美術品たち
横浜トリエンナーレ2014 : その2 鏡文字は頭がクラクラするのだった
横浜トリエンナーレ2014 : その3 教会の一室のような第3話の部屋

2014.08.10 Sun | Art| 0 track backs,
いわさきちひろ×佐藤卓=展(ちひろ美術館)
練馬区にあるちひろ美術館で、グラフィックデザイナー佐藤卓さん
とのコラボ展示があると聞き、興味をそそられた。

佐藤さんが手がけた“文化庁メディア芸術祭のロゴ”などは、こんにち、至る所で目にする。


でもどうしてちひろ美術館に佐藤卓さん?
謎はほどなく解けた。会場の作品を見てな。

本美術館のシンボルマークを手がけられたのが佐藤さんだったのだ。
「ひとみ」をモチーフにしたこのマーク。
上下の形に支えられ、守られつつも、下界と左右で繋がっているつぶらな瞳が印象的。
*写真は許可を得て撮影したものです。


写真 (31)

『ちひろ美術館のグラフィックデザイン』


展示室1は、「佐藤 卓のデザイン採集」と題して、お馴染みの商品が並ぶ。
これも佐藤さんのデザインだったのか。


写真 (30)

『明治おいしい牛乳』

普段の生活に溶け込むように配慮されたデザインでありながら、強烈なインパクトをもっているこの不思議な牛乳パッケージ。
自然体であるがゆえに他のものとは一線を画し、逆に個性を放つとは。
事実、ほかの牛乳のロゴは、パッと頭に浮かばない。

そしてこれも。


写真 (38)

『チロリアン』

同じ部屋にはチロリアンの立体作品が置かれている。
これが人間大で、なかなか壮観。


写真 (29)


その他、ヱスビー食品のスパイスシリーズも。
容器が前より丸いフォルムになり、スパイスごとにきれいな図柄が入っている。
確かに以前の容器は丸い蓋ではあったけど、胴体は円柱形だった。
新型はかわいらしくて、インテリアの一部のように、コレクションして並べたくなるフォルム・ビジュアルになった。
これも佐藤さんの発案・お仕事。


展示室2は、「ちひろの線」と題して佐藤さんが選んだ線画の展示。
ローマの風景や波など、速いタッチのスケッチが並ぶ。
鋭い線使いも多く、絵の風合いが変わる。

以下の写真『空と家並』みは、夜空が画面いっぱいに広がって、その下の家々が、
小さいながらも微妙に違う個性として書き分けられている。
広い宇宙の中にあるささやかな家庭の中で、それぞれの暮らしが展開する。
子の作品、展示室4で、実験作品として別のかたちで登場する。


写真 (33)


展示室3の「ちひろの描く子どもたち」では、赤青白の帽子がハイセンスな『青いつば帽子を持つ少女』など、ちひろさん独特の、さわやかな作品群。

そして展示室4「ちひろx佐藤 卓の実験室」では、今回もまた面白い試み。

上述の『空と家並』その他の作品の部分が取り出され、パターンとして新たな作品になっている。
(下の写真右側の襷)


写真 (36)


また、ちひろさんの『ブランコと子どもたち』の複製画は、
佐藤さんにより石と組み合わされて特製の箱に納められ新たな美術品として生まれ変わり -


写真 (34)


ふと見上げれば、この作品のパターン画も頭上でなびいている。
不動で無人だったブランコの鎖部分が、四方八方に広がる動きのある図形として再現されている。


写真 (35)



オリジナルの絵のどの部分が、パターン作品にどのように使われているか、
絵を見比べて必死で探し、対比しながら眺める楽しさに、しばし浸ってしまった。


既存のちひろさんの作品を通して、四方八方に展開させる工夫が体験できた。
五感があれこれ刺激され、こじんまりとしながらも好感のもてる美術館。


以上、ブロガー特別内覧会にて。


はじめてみる、ちひろの世界。
いわさきちひろ×佐藤卓=展
期 間 : 2014年8月6日(水)~11月3日(月・祝)
場 所 : 展示室1~4(全館)
主 催 : ちひろ美術館
開館時間:   10:00~17:00(最終入館16:30)
休館日 : 
月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)
本展会期中の臨時休館 : 9/16(火)、10/14(火)
海外の評価によって教えられる価値 浮世絵
展覧会のURL :http://www.chihiro.jp/tokyo/museum/schedule/2014/0107_1836.html
2014.08.09 Sat | Art| 0 track backs,
原田マハ『総理の夫』
友人の勧めで読み始めた。
まだあと少し残っているけれど、サービス精神旺盛なエンターテイメント。
ガンガン読み進む。

1つの章が前の章の重複になっていたりするので、どこかに連載されたのだろうと思って最後のページを見てみれば
月刊「ジェイノベル」に2年間連載された由。

そうした掲載の仕方だと、ひと月ごとに一気に引き込む必要があるので、こういうスタイルはピッタリなのだろう。

実際の企業名、媒体名が面白おかしく歪曲されている。

『貴婦人画報』
『レディー公論』
『角友商事』
(デパート)『五越』
『トヨツ自動車』

などなど。

ただし『糸尾忠商事』(私の贋作)は出てこない。
ご自身の出身企業はやはり料理しにくいのでしょう。

最後どういう締めになるの?と謎解き感覚で只今終盤に突入中。



総理の夫総理の夫
(2013/07/11)
原田 マハ

商品詳細を見る
2014.08.09 Sat | Books| 0 track backs,
京橋・ペン・ステーション ミュージアム&カフェがお気に入り
● 注)このハイティーセットは2015年夏の時点で終了しており、現在はパンとドリンクといった軽食の提供のみとなりました。


ブリヂストン美術館の帰り、ちょっとお茶をするのにうってつけの店がある。
万年筆のパイロットが運営するペン・ステーション ミュージアム&カフェ。

ひとりひとりの席がソファのように大き目で、窓側の席は採光もバッチリで明るく、
奥の席はクーラーがバッチリ効いて落ち着ける。
メニューもバリエーションがあり、この店ならではのハイティーセットなどもある。

チェーンのコーヒーショップに飽きたむきにはこの個性がありがたい。

前から気になっていたのは上述のハイティーセット。

(写真左奥のピンクのケーキは友人が頼んだケーキセット。)


写真 (39)



サンドイッチ、スコーン、紅茶かコーヒーがついて750円という良心的な価格設定。
スコーンをケーキに変えても950円。

このお値段でプチリッチな気分。

銀座と日本橋の間で、場所的にもちょっと穴場。
大混雑の銀座界隈のカフェを避け、ゆったりできるのも優越感。


帰り際、2Fの万年筆ミュージアムに寄れば、1粒で2度のおいしさが味わえる。

http://www.pilot.co.jp/service/museum/
2014.08.07 Thu | Gourmet| 0 track backs,
ルアーブルで指をくわえて通り過ぎた美術館の作品が来日する!印象派のふるさと ノルマンディー展 ~近代風景画のはじまり~(損保ジャパン日本興亜美術館)
出張でル・アーヴルに行った時のこと。
会議の後、相手側の人が港周辺~ビストロと案内してくれ有意義だったのだけど、
ひとつ心残りがあった。


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港歩きの途中、突如現れた、なにやらモダンで惹きつけられる建物。
何かと聞けば、アンドレ・マルロー美術館だという。
うわ、寄りたいなぁ、と思いつつも、パリに帰らねばならず、寄ることは叶わなかった。


ところがこのほど収蔵品が向こうからやってくるというので驚いた。下記の要領で:


◆ 印象派のふるさと ノルマンディー展 ~近代風景画のはじまり~ 
2014年9月6日(土)~11月9日(日)
/ 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館


先日キネティック展で損保ジャパン美術館を訪れた際に”ノルマンディー展”の言葉に魅せられ、フライヤーを取ってきた。

その時は知らなかったのだが、展覧会の全貌が徐々に明らかになり、
アンドレ・マルロー美術館の協力のもと開催されることに気づいた。


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”ノルマンディーの魅力をとらえた油彩、素描、版画、写真など約80点”との由。

マルロー美術館は、ル・アーブルという場所柄、ノルマンディー地方の風景画を多く所蔵しているようだ。

下の写真は、美術館からすぐそばの風景。
印象派という名称のもとになった『印象:日の出』 が描かれたのもこのル・アーブル。


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また、モネの名作『サンタドレスのテラス』でおなじみサンタドレス(Sainte-Adresse)は数km北西に位置し、
ル・アーブルの浜辺にはこの絵が描かれた場所の位置関係を示すパネルも。
本物の絵の方は、メトロポリタン美術館所蔵。


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フランス歴代文化相というとマルローとジャック・ラングが有名だけど、マルローにまつわる話の中では
2008年サントリー美術館のピカソ展ギャラリートークで聴いた話が印象的。

ピカソの作品が国の所有となり、散逸を免れたのはマルローの功績。
というのも、相続税が払えず作品を手放す自体を避けるべく、代物弁済(物納)を変則的に認めることにしたと。

そんな彼のお墓はパリ・パンテオンにある。
(去年の夏休みの写真)

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損保ジャパンの本展覧会では、先日のBunkamuraに続き、再びラウル・デュフィの絵にも会えそうだ。

デュフィは、プランタン銀座でかなり前に幾つかの作品を展示していたのを見た。
2003年には、鎌倉大谷記念美術館でデュフィ展があり、学生時代の友人と一緒に訪れた。
子供の頃、カレンダーの図柄に一目ぼれして以来好きな画家。
その時見たのは、大きな窓からヨットハーバーを眺める構図だった。


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ルーアンそばにある港町オンフルールも数々の印象派画家たちがイーゼルを置いた場所。

あの有名なヨットハーバーの景色を一目見たくて、パリから列車とバスを乗継ぎ行ったことがある。
思っていたより土地の広がりがなく、
なんだ、みんなこぞってこの狭い範囲内をピンポイントでキャンバスや写真に収めたのか、とヘンに感心した。

風光明媚な海の町ではあるけれど観光の目玉は多いわけではなく、たまたま見つけたブーダン美術館に入った。
これほどまとめて見たのは初めて。
改めて感心する。
小ぶりの絵がズラリと並ぶ中、どれも極小・繊細、そして速い筆さばきで、よくもまあ的確に対象物をとらえられるものだと。
昔の人たちは、そんなにしょっちゅう正装して海辺に集合したのだろうか、などというプリミティブな疑問も。

サティの生家もあったけれど、その時は閉まっていたように記憶している。
以下は、普通のプリント写真(デジカメ写真でない)。時を経て全体の色調がくすみ、ちょっと情感が増しているような(笑)。


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モンサンミッシェルはブルターニュ寄りだけど、ギリギリでノルマンディー。
この写真も、銀塩カメラで撮影。劣化・色褪せのせいで、ちょっと水彩画のようにも見えるけど、実写です。

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南仏の紺青の海ともまた違う、ボルドーそばアルカションあたりの大衆海水浴場ともまた違う。
ノルマンディーには、なぜかノスタルジーを感じる空気がある。


画布の上でこれらの街々が、どんな輝きを放つのか。

展覧会が楽しみだ。


* * * * *

・展覧会名:  印象派のふるさと ノルマンディー展 ~近代風景画のはじまり~
・会場: 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
・会期: 2014年9月6日(土)~11月9日(日)
月曜休館(ただし祝日は開館、翌火曜日も開館)
・公式サイトURL: http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index_normandy.html
2014.08.06 Wed | Art| 0 track backs,
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