日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
 「画業20周年 片岡鶴太郎展 還暦紅」 
草津ホテルの隣接施設として、草津片岡鶴太郎美術館というのがあるそうだ。
開館は平成10年。
絵筆をとっていらっしゃる、というのは知っていたけれど、これは知らなかった。

FBによると、来年度の氏の手によるカレンダーも販売開始されたそう。


そんな片岡さんが、都内で「画業20周年 片岡鶴太郎展 還暦紅」を開催される。


還暦「紅」というタイトルどおり、ご本人のサイトには、和のテーストの上品な紅色の作品例の数々。
こだわりの色なのらしい。


例えば、「椿に金魚」

ヒレが淡くフェードアウトしていくさまが可憐で、
静けさに包まれ、紅色で結ばれた地上と水中の生き物が二次元の世界で合流する不思議な世界。

そのほか紅ではないけれど、鰹がアートになった色合いの妙「土佐鰹」にはPC上で見入ってしまった。


上記は作品例なので展覧会に含まれるかどうかは不明だけれど、
展示されるのは、初期の作品から最新作50点まで、未公開作品を含め約150点が並ぶという。

屏風もあるそうで、渾身のお披露目会。
ドラマの刑事役などで見せる顔とはまた全然違う一面が見られそう。


p.s.画像を見たところ、もしかして落款は 「つ」?



■□■ 「画業20周年 片岡鶴太郎展 還暦紅」 の開催概要 ■□■

会期:2014年8月27日(水)~9月8日(月)※会期中無休
開場時間:午前10時~午後8時※最終日は午後5時閉場(入場は閉場の30分前まで)
会場:松屋銀座8階イベントスクエア(中央区銀座3-6-1) 
    http://www.matsuya.com/m_ginza/info/access.html
主催:片岡鶴太郎展 還暦紅 実行委員会
観覧料:≪当日券≫一般1000円 、高大生700円 、中学生500円(小学生以下無料)
公式HP: http://www.kataoka-tsurutaro.com/
2014.07.31 Thu | Art| 0 track backs,
携帯電話がなかったからこそ結ばれた恋
調べものをしていて、昔のDiaryのアーカイブを漁った。

以前Diary用に使っていたプロバイダーがサービス終了したので
基本的に2005年以前のDiaryはWeb上からは消滅したけれど、ハードに保存してある。


と、記憶に残るなつかしいエントリーを見つけた。

2005.11.23 (Wed)

1週間前の朝日新聞夕刊・文化欄の記事だった。小檜山博という名前の作家のショートエッセーに目が留まった。

40年ほど前のこと。彼はある女性と初めて会社帰りに待ち合わせをした。床屋に行ってめかしこむ彼。待ち合わせの喫茶店「田園」に出向いた。

彼女は来ない。1時間経っても、2時間経っても彼女は来ない。遂に待ちきれなくなって、彼は店を出ようとする。ふと気付いた。自分が待ち合わせした喫茶店は、「田園」ではなく、「上高地」だったのではないかと。

真っ青になって、彼は「上高地」に向かう。息せき切って駆けつけた彼。店内を見ると、彼女が涙ながらに待っていた。待ち合わせの時間から3時間ほどが経っていた。。。

そして、その彼女は、今やその作家の妻。

結びの言葉:あの頃もしも携帯電話があって、簡単に2人が会えていたら、2人は今頃結婚していなかったかもしれない。



「君の名は」「冬のソナタ」に見(といって実は両方とも見ていないけど)るもどかしいすれ違いは
携帯電話の時代には成り立たなかった。

そのせいか、TVドラマの純愛ものもヒットが出ない世の中だと聞く。


ちょっとしたすれ違いみたいな情感が、便利さの陰に消えていくのはどこか寂しい。
2014.07.30 Wed | Books| 0 track backs,
世界遺産をめぐって
近頃世界遺産の話を聞く機会が増えた。
富士山の登録や、世界遺産登録xx年記念の講演などがあるせいだ。

その中でバーミヤンの大仏破壊の実態に関する話があった。
破壊前の状況が不明で、折角修復されても不恰好な足がついてしまったりしている。

消失した法隆寺金堂壁画もしかりだけれど、記録を残すことの重要さを痛感する。

その時は悲惨という思いで見ただけだったけれど、今旧約聖書を読みながら、
大仏破壊の根の深さを思い知らされた。

旧約聖書の「金の牛」という章には、金で造られた牛の偶像を見たモーゼが怒るシーンが出てくる。

この偶像崇拝禁止の教えはイスラムに受け継がれ、大仏破壊もそこにつながる。
モーゼが怒って石版を壊すくだりを読むにつけ、すりこまれた教えは
世界遺産などという歴史的価値を軽く超えてしまう。
この一冊の中身が世界を様々なかたちで支配しているのだ。

それにしてもバーミヤンの遺跡は素晴らしく、その分、破壊行為の無残さが
際立っている。


一方世界遺産のもう一つの側面として、こんな現実も紹介された。

歴史的遺跡を有する街が、必ずしも世界遺産登録を歓迎してはいないという事実。

観光客は増え、歴史に裏打ちされた鄙びた様が情緒を失い俗化する。
反対のプラカードの映像もあった。


世界遺産登録イコール保護では必ずしもない。
それぞれの自治体のありかたに合わせて初めて保護となる。

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2014.07.29 Tue | Society| 0 track backs,
発掘調査
週末、古墳時代の発掘調査関連のトークに出席。
本日の目から鱗の発見:


1.地味な破片や土器は、説明あってこそ生きる

壺の破片などは、それにまつわる話を聞くと聞かないでは大違い。
なかなかじっくり見る気がしない(いやハッキリ言おう、大体すーっと通り過ぎるのが常の)ガラクタのような(失礼)カケラも、
時代背景や意義を聞いた途端、この上なくありがたい存在となる。
それを本日痛感した。

例)奈良・纏向遺跡で出土した土器の破片に見る紋様が、名古屋で流行ったものだと判明。
(カケラの表面には、よく見るとうっすら幾何学模様)
これは纏向が外部の土地と交流があった事を示し、即ち日本初の都市形成があった可能性がある。

そんな歴史的発見につながるかもしれない事実を聞けば、表面の模様をそれこそ惚れ惚れと眺めることになる。



2.文化財専用CT

発掘された壺の中味のCT画像をスライドで見た。
通常の医療器具とは別に、文化財専用のCTがあるという。

日本でこれを所有している国立博物館は九州国立博物館だけ。
奈良の壺も、調査の際は九博に持ち込むのだという。
トーハク(東京国立博物館)は、リッチなのに持っていない謎。



遺跡のスライドも多数。
春に巡った飛鳥などを思い出しつつ、鄙びた景色にうっとり。
いつか歩いたローマやアクイレイアもそうだけど、私は、街の空気に時間の幅が感じられる瞬間が好きみたいだ。

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2014.07.28 Mon | Art| 0 track backs,
大原美術館 続き
大原美術館に関する昨日のエントリーに関連してメールを頂戴。
掲載OKとのことでしたので以下に。

文中 遊心亭のことに触れられている。
それで思い出したのだけど、大原家別邸となる有隣荘が春秋公開されるとも聞く。
その時期に合わせて訪問するのもよいかしら。

大原美術館のツイッターをフォローしているので、その辺の情報は入るものの、いかんせん
リードタイムが短いので、すぐに旅行手配できないのが玉に瑕。


数年前念願だった大原美術館を訪ねました。
実はどういう作品が所蔵されているかうろ覚えでしかなかったのですが、
エル・グレコの受胎告知の絵の前に来て、そうだこれがあったと思ったのです。

実は私が初めてエル・グレコの絵の実物を見たのがそれでした。

私の大好きな作曲家のひとりにトマス・ルイス・デ・ヴィクトリアという人がいます。
ほぼエル・グレコと同時代にスペインで活躍した人で、スペイン・カトリックのほの暗い
情念を感じさせるその曲は、まさにエル・グレコの絵の雰囲気そのままなのです。
実物を見てその思いを新たにし、深く感じたことを思い出します。

さてあの時は大原美術館のある美観地区の近くに泊まったのですが、前日のうちに
旅館で前売りを購入しておきました。大原美術館は開館前から行列ができるほど人気
ですが、前売りを購入しておけば開館と同時に展示室の方へ直行できます。

またちょうど紅葉の季節だったのですがちょうど訪ねた日の前夜、大原美術館の
すぐ裏手にある遊心亭が庭のライトアップを行っており、これもまた見事でした。
どちらも是非また見たいものです。

私が絵を見るとき、その時代その地域の音楽がどういうものだったかも興味の
対象になります。エル・グレコとヴィクトリアはスペインの「黄金の世紀」と呼ばれた
時代の空気を共有しており、とりわけ興味深い組み合わせなのです。




上記に書かれている音楽と絵画の件、そういえばブリヂストン美術館のドゥビッシー展でも、
音楽と絵画のコラボが見られたのを思い出した。
ドゥビッシーが印象派/象徴派である、と。

そうそう、本日聞いた建築家ピエール・シャローの研究家の話に、
”建造物的な椅子”の話が出てきた。

絵、音楽、建築、家具、それぞれのカテゴリーを超えて
様々に交差するというのはこれまであまり考えたことがなく、
そういう視点を持つと世界はまたひとつ広がる。
2014.07.26 Sat | Art| 0 track backs,
思い出深い美術館
再訪したい美術館がある。
中学生、或いは高校1年の時に家族旅行で訪れた大原美術館。

本物を見みることの大切さを説く祖母に連れられて、デパートの印象派展には小学生の時から足を運んでいた。
セザンヌが描くテーブルがひしゃげているのが不可思議でありつつ、何故か心惹かれたのを覚えている。
東京美術学校・日本画の第一期卒業生を曽祖父をもつ父は絵がヘタなくせに日本画が好きで
家族で時折茅場町時代の山種美術館を訪れることもあった。

ひとりで美術館歩きするようになってからは、ブリヂストン美術館のサントヴィクトワール(セザンヌ)にときめき、
国立西洋美術館のモネの舟遊びの前で不動になった。
上方に描かれた人物がどこか不安定で水の上のゆらぎを感じさせ、
水の青さとパステルカラーの洋服の爽やかさが若い心に心地よく響いた。


でも、なんといっても鮮やかな印象をもって思い出されるのは大原美術館。

絵の具が山のように盛り上がったルオーの道化師。
堂々たる力強さの中に寂しさを感じたのは盗難された履歴を持つと聞いたせいだったのか。

長細い人物、まばゆいばかりの光に満ちたエルグレコ。
受胎告知といったテーマやマニエリスムなどという言葉は知らずとも、
デフォルメされた造形にたじろぎつつ吸い寄せられた。


当時は画家の知名度などは知る由もない。
でも、心にぐんぐん迫ってくる絵が多数。
それを人は一流の絵画と呼ぶのだろうか。


(当時買った絵ハガキ、今も残っている)
写真 (26)


大原美術館
http://www.ohara.or.jp/201001/jp/index.html
●アドレス
〒710-8575
岡山県倉敷市中央1-1-15
2014.07.25 Fri | Art| 1 track backs,
國學院大學博物館 ・・・ おススメです
最近活用させて頂いています。
國學院大學博物館

ミュージアムトークにも3回ほど出たけれど、時に椅子が足りないほどで、
大盛況。

みなさんよくご存じだ。

展示数も多く、明治大学もさることながら、こちらの博物館も立派。
さらに同じく無料という優等生。

企画展・常設展のフライヤーも立派で、オリジナル絵ハガキや栞なども用意されている。

足しげく通っていると、徐々に神道というものが
おぼろげながらつかめてくる。


先日の起請文と牛玉宝印などは、初めて目にするものだった。
起請文は、いわゆる誓約書のようなもの。
牛玉宝印は、文字の癖がアート。

神はどこからでも見ている、という考えに基づく。
普段意識はしないけれど、ちょっとした風習の端々・根底に
神の目を意識する心が流れているようだ。

國學院博物館公式サイト:
http://www.kokugakuin.ac.jp/oard/index9.html


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Related stories:
● 國學院大學博物館 ・・・ おススメです

● 國學院大學博物館 / 「戦国・織豊期の古文書」展

● 國學院大學博物館「祭礼絵巻にみる日本のこころ」

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2014.07.24 Thu | Art| 0 track backs,
映画のエンドロールが面白い : 生身の出演でなかった人がキャストに名を連ねた例
先日、映画「グランド・ブダペスト・ホテル」を見た。


いい作品だったので、終わってすぐに席を立った人はごく数人。
直後に立たなかった人は、全員が最後の最後まで席に座ったままだった。

エンドロールが面白いのだ。

途中でコザックダンスのアニメが登場するから、なにかやらかしてくれそう、と
画面が黒くなるまで誰も退場しない。
出て行ってしまった人たち、もったいない。


いつも私はエンドロールをフルで見るようにしている。
ロケ地に面白い発見があったりするし、
なにより以前見た「ベルヴィル・ランデブー 」で、最後にお楽しみが待っていた例があるので
今回も何かあるかも、などといつも期待してしまう。


そして、「グランド・ブダペスト・ホテル」では、コザックダンス以外にも面白い発見があった。


キャスト欄に、とある俳優名が登場するのだが、彼が演じた劇中の名前は、こう書かれていた:
「少年と林檎」(役)。

おっと、これは映画の中に登場した肖像画のタイトルだ。
つまりこの油絵は本映像の為に描かれたもので、
それには実際のモデルがいて、
そのモデルさんの名前までちゃんと記されている。

思わず、ふふ、と笑みがこぼれる演出だった。


更に、役者名が2種類のパターンで出てくるのも面白かった。
最初は役柄の重要度順、次は、画面に出てきた順。

確かに役名を覚えていない俳優さんの名前は、登場順だと見つけやすい。

こんな細部まで凝っていたのね、この映画。
しかも有名どころは出演していないのだろうと思ってのぞんだら、
(俳優陣の名前確認せずに評判だけで見に行った)
そんなことはなくて、挙句の果てに
「アデル、ブルーは熱い色」に出ていたレア・ セドゥまで登場していたという。
これは見終わった後に知ったわけだけど。


このほか、最近見た映画の中では

真実は小説より奇なり、で大いに驚いた
(しかも映画のキーマンとなる”息子”は実際にそれなりの人物だったらしく、WIKIにまで出ていた。)
「あなたを抱きしめる日まで」、


前半の妄想シーンが派手で楽しめた
「レオン 」

などが印象に残った。

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2014.07.22 Tue | Art| 0 track backs,
藤原歌劇団のテノールで聞くシャボン玉
公開講座で藤原歌劇団の角田和弘さんのお話を伺う機会があった。


その中に、こんなエピソードが含まれていた。

「シャボン玉」の歌は、実はシャボン玉で遊んでいた子供の一人が小さくして亡くなり、
みんなにその子の分まで元気に生きろ、という情感を込めているのだという。

「シャボン玉」消えた、というのは亡くなった子供のことを指す。

角田さんが実際に、明るい音調でまずこの歌を歌い、
次に鎮魂を込めて悲しげに歌っていく。

すると、全く異なる印象で耳に入ってくるから不思議だ。



シャボン玉だけでなく、オペラ「カルメン」の一節を女性の団員の方と一緒に一部演じて下さり、
なんとも豪華なひとときだった。


オーストリアのブレゲンツで湖上オペラを見て以来、
花火との競演が素晴らしく日本で再現するのが夢、と語っていた角田さん。

実現は難しいものの、榛名湖でそれに一歩近づいたイベントを企画されている。

「第二回榛名湖ミュージックフェスティバル」
こういう企画をプロモートして行くことがライフワークなのだそう。

http://harunavi.jp/modules/topics/index.php?page=article&storyid=200
2014.07.21 Mon | Art| 0 track backs,
伊能忠敬の日本図にまつわる真実
19日土曜日、東京国立博物館の月例講演会は、「伊能忠敬の日本図」。

同タイトルの企画展に付随するかたちで行われ、会場は満席。
地図の話を1時間半じっくり聞ける機会はなかなかないものね。



特に目から鱗だったのはー

● 明治時代になって突如彼の業績が世に知られたワケ

江戸時代に活動した伊能忠敬(1745年ー1818年)の業績は明治中頃まで、顧みられることはなかった。
しかし明治時代に出身地の有力者からの申請に基づき1883年に贈位が決定。

以後小学校学習指導要領(社会科)で、必ず教えるべき人物のリストに名を連ねることになった。
(聖徳太子、徳川家康、雪舟、鑑真、ペリー、杉田玄白、近松門左衛門、歌川広重などとともに)


● 50過ぎて開花した伊能忠敬を例にとり、「50歳からの再出発」を説いた小学校教科書のこっけいさ

測量に関心をもち、50歳過ぎてから地図策定のために測量を開始した伊能忠敬の話は
道徳の副読本にも用いられた。

中には、「50歳からの再出発」などというタイトルの本も登場。
50歳!そんな先の話を聞いたって小学生たちは、
若いうちは怠けてもいい、年を取って頑張ればいい、と受け取りかねない。

そんな流れにならぬよう、こういう第二の人生もある、といった展開にするよう
教師に注意をうながす向きもあったとか。


● 幕府の支援

伊能忠敬のスゴサは、緻密さ、データの多さだったという。
実際、彼の日記に書かれた測量数値は「尺」単位に及び、30㎝のスケールまで
測量が可能であったことがわかっている。

もっとも、彼が自身の意向でそれを行ったわけではない。
江戸時代平和な世の中にあり、人や物資の移動がさかんになり、地図が必要となった。
そこで幕府が「御触れ」という形で測量計画を展開する。
抜擢されたのが伊能だった。

測定に当たり不可欠となる各地方の協力を得る為出した御触れの記述が残っている。
読むとなるほど、と思う。

各地方に対し、人脚、馬、長持を用意せよ、とした上で、
協力に際し賃銭を与える、と記されていたのだ。

こうして地元の協力を促すことが可能となった。

面白いのは「逆側の視点」。
つまり、測量を受け入れた地元の人たちが見た測量の様子の記録も残っているそう。
この分野は、まだこれから解読・調査の余地があるそうで
異なる視点からとらえた測量事業も興味深い。



展示室(トーハク所有の展示品は写真撮影可能)には、外国人により制作された日本図も。
英語・日本語併記で、海岸線はフリルのようでかわいらしい。

更によく見るとー

写真 (23)


洋風の大黒様がちょこんと描かれております。

写真 (24)


さらに、伊能よりも前の地図の中には、都道府県の区切りがいかにもテキトーなものも。
解説の田良島哲さんに言わせると、「くずれた饅頭の形」(笑)!


伊能地図の方は、大中小の地図が並んでおり、同じ部分図の比較が可能。

うっすら色がついて上品。
地名も入っている。
たまたま単眼鏡を持っていたので活用した。
上記の地図などに比べ、線の動きのなんたる繊細さ。
実測という多大な努力の賜物だ。

写真 (25)


なお、トーハクの本企画展は、特別展ではないので通常の入場料で鑑賞可能。

企画展「伊能忠敬の日本図」
場所: 東京国立博物館 平成館 企画展示室
日程: 2014年6月24日(火) ~ 2014年8月17日(日)
主な出品作品:
重要文化財 日本沿海輿地図(中図) 東北 伊能忠敬作 江戸時代・19世紀
重要文化財 九州沿海図(中図) 伊能忠敬作 江戸時代・19世紀
2014.07.20 Sun | Art| 0 track backs,
服部幸應さんのレクチャー
以前フランス文化関連の社会人講座で、服部幸應さんのお話を聞いたことがある。

頭の中に引き出しがたくさんあって、次から次に食にまつわるエピソードが披露された。
中でも驚いたのが、数字に対する記憶力の良さ。
日本の自給率の低さを嘆き、世界各国の自給率推移や、人口数をソラですらすらと。

問題意識の高さもうかがわれ、
1.Sustainability 持続可能性
2.Biodiversity 生物多様性
3.Ecology エコ

をもって日本の農業を守れ、と訴えていらした。

このあたりは導入部として普段からの主張を披露されたわけだが、
フランス文化の講演会ということで、フランス料理がかつてどちらかというと粗野で
肉の材料+胡椒で食べる大ざっぱな食文化だったといった話も。
しかしルネサンスにあこがれたフランス人。イタリア人を政略結婚などで大量に招聘し、
パンと組み合わせるなど洗練された料理になった。


もちろん最後にはトレードマークのような食育の話も。
食文化を通じて世の中をよりよい方向へ、という熱意が感じられ、実にエネルギーに満ちた方だった。


ちょっと横道に逸れて、先生が審査員をされた「料理の鉄人」の話題も少し出た。
同番組開始後、将来なりたい職業として、料理人が一位になったこともあるという。
93年に23位だったものが、放映されるや上昇し、95年に1位となり、今は11位なのだとか。
これらの数字ももちろん暗記されていた。


一度身に着けた知名度であとの人生慣性のように渡っていくといったところが全くなく、
常に何かを吸収・発信し続ける様子に感服した。

ちなみに、時折空席が目立つことがある会場も、この日ばかりは超満員。
かくいう(ミーハーな)私も、いつもより15分早く行き、
既にかなり席は埋まっていたものの、
ポツン残っていた前から2番目の席を確保しかぶりつきで拝聴した次第。
2014.07.18 Fri | Gourmet| 0 track backs,
絵画鑑賞が深くなる一冊
友人が貸してくれたこの本が、旧約聖書のあんちょことして最適だった。

これまで見た絵画に描かれた題材が、実は新約聖書ではなく旧約の方から取られていたことに気づいたり、
見逃していた絵の意味を、改めて知ったり。

美術鑑賞の前にこれを頭に入れていると、絵画はもっと深く・面白くなる。



ヨーロッパ美術を読む旅―旧約聖書編 (海外旅行講座)ヨーロッパ美術を読む旅―旧約聖書編 (海外旅行講座)
(1999/02)
柳沢 保雄

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2014.07.18 Fri | Books| 0 track backs,
世界の図書館
日比谷カレッジの「建築デザインから図書館を考える『世界の夢の図書館』に行ってきた。
全席ほぼ満員の大盛況。
建築学的な側面から、世界の図書館を見ていくレクチャー。

以下はそのポスター。


201407171003200d4.jpg



1時間半ほど、3人の登壇者を迎えて無数のスライドを使用して行われたのだが、
建築美を誇る世界の図書館は、夢見心地に誘われるように美しい。


最初のスライドはアルゼンチンのエル・エスコリアル聖ロレンソ修道院図書館だった。
南米の図書館というより、教会のよう。


「ため息がでるほど美しい世界の図書館20選」のWEBサイトに登場する図書館も多々あった。


バウハウスに端を発する美術館、彫刻博物館、建築の一体化。
図書という展示物がそれを置くためのスペースと融合している。


16世紀の図書館から見て行き、現代建築に至る前は、大なり小なり古代建築様式にのっとっているのが分かる。
ルネサンス、バロック、後期バロックにおけるロココ。


ペンデンティブ、スタッコあたりまではついていけたけれど、
普段なじみのない建築用語もポンポン飛び出す。
メアンダー、エンタブレチャー、ピナクル、クレネレーション、バラストレード、ロカイユ装飾・・など。
なんだかワクワクする。


本公演の基礎となったのは、以下の新刊『世界の夢の図書館』。

夢がいっぱいつまっている。

次回、図書館を巡る旅行もいいなぁ、などと思う一方で、
ヨーロッパ~中国~アルゼンチンまで様々な図書館という役目を借りた美の殿堂を見た中、
それに比べて日本の図書館ときたら、実に味気ない。


日本では、実用性に主眼が置かれているのはやむを得ないとして、せめて現代建築で機能美が見られる図書館はないものか
とあちこちのサイトを調べたら、公立図書館25選という選出法に入ったことのある図書館は2つほどあるそうだ
金沢海みらい図書館と、せんだいメディアテーク。


果たして、『世界の夢の図書館』に日本の図書館は入っているのか?
エクスナレッジ社の同書紹介サイトに、含まれている図書館一覧がある。
残念ながら日本はない。
http://www.xknowledge.co.jp/book/detail/76781724


ただしイタリアなど、画像拝借が難しかった場所が抜けているとのことで、
続編も期待できるそう。
先日エントリーしたとおり、個人的にはボローニャの市立図書館に胸ときめいたけれど、
それどころではない壮麗な施設が世界中には目白押しであることを今回のトークで知った。
続編ができても、ボローニャは入らないかもしれない。



世界の夢の図書館世界の夢の図書館
(2014/01/20)
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なお、同じエクスナレッジ 社からは、本屋さんのシリーズもあるそうだ。



世界の夢の本屋さん2世界の夢の本屋さん2
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2014.07.17 Thu | Art| 0 track backs,
2か月前に行った場所がテレビで放映され喜ぶ : ラファエロの生家
BS朝日「世界の名画」で「恋するラファエロ 美しき聖母 ローマ・フィレンツェの旅」が放送され、
録画をようやく見た。

5月に訪れたラファエロの故郷ウルビーノの風景が登場するかな、と期待しつつ。

果たして、テレビクルーはウルビーノのラファエロの生家まで足を運んだようで、
うっとりするほど美しい聖母子の絵のある白い部屋が大写しになった。
先日のエントリーで、写真なしで触れたあの一枚が。


P1610482.jpg


この絵は、ラファエロの寝室にある。


P1610471.jpg



ナレーションでは、この絵は14歳のラファエロ自身の作と紹介されていた。

私は父の作品だと思って眺めたけれど
父が描いたという説より、昨今はそちらの方が有力なのらしい。


ラファエロの絵がこの地には残されておらず、そこで彼の作品のひとつ「セニガッリアの聖母」が故郷に贈られた
という話を現地で聞いたのだが、もしこの作品が彼の作だとすると、
ごく初期の絵が見られる貴重な場所ということになる。


P1610479.jpg



生家は写真撮影禁止ということだったので、
一枚も写真がない。
代わりにテレビ画面を映して思い出に浸る。

P1610476.jpg


中庭の風景もなつかしい。
台所の隣の部屋には、様々な工芸品が飾られていたのを思い出す。

P1610477.jpg


ウルビーノの威風堂々たる風景。

P1610473.jpg



番組の舞台はここから早々にフィレンツェやローマに移ってしまうのだが、それでもなかなかいい内容だった。

ただし、これを現地訪問前に見なくてよかった。
何に遭遇するか全く知らずに、家の中があれほどきちんと保存されているとはつゆ知らず訪問したので、
驚きが大きかった。

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2014.07.16 Wed | Travel-Italy| 0 track backs,
モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟
(昨日の続き)
カインとアベルの浮彫は、あれでおしまいかと思ったら、別のパネルに最後の場面が彫られていた。
写真左側だ。


P1590217.jpg


盲目のレメク(Lamech)が、矢を放った時、それはカインの喉元に突き刺さり、彼は絶命してしまう。
弟殺しの罪を背負いつつも、命をもって償うことはせず、神から追放の命を受け、生き残ったカインだったのだが。


P1590231.jpg



とはいえ、実は旧約聖書では、カインが殺されたとは明記されていない。
モデナ大聖堂の解説によると、後世=中世の解釈によりこの部分は追加されたとのこと。
だからこの部分は別パネルになっているのではないだろうか。

聖書中で具体的言及はされていないものの、このように解釈されたのにはワケがある。

カインとアベルの下りが書かれた創世記の4章の続きには以下の言及がある。

1.4章15節:
«Chiunque ucciderà Caino, egli subirà la vendetta alla settima generazione» (Gen 4,15),
(モデナ大聖堂のHPによるイタリア語訳)
「カインを殺す者は誰であれ7倍の復讐を受けるであろう」


2.続く4章17-18節からは、以下が分かる。
レメクはアダムとイブから数えて7代目に当たる。
(カインはアダムとイブの息子。)


つまり、具体的にカインが殺された言及はないものの、中世の解釈では、
上記の節を根拠に、カインはレメクに殺害されたとされたようだ。


カインは暗殺されることを避けるために神により印をつけられていた。
しかしレメクが盲目で、弓矢を射る時その印が見えなかったところがミソとなる。


そして本パネルの場面はいきなりノアの洪水に移る。
水が引いて、方舟から人々が出てくる様子がわかる。
方舟は、バジリカの形になっている。


ストーリー展開にやや唐突感があったけれど、よく考えれば、ノアは、レメクの子なのだった。


P1590232.jpg


このモデナの大聖堂の正面パネル、どれもいきいきと描かれているし、衣服の襞表現もよい感じ、
表情が人間的で感性が瑞々しい、などと思っていたのだが、
金沢百枝先生のキリスト美術を楽しむのサイトによると、レメクのカイン殺害シーンなどは、
描写の詰めが甘いとのこと。


中世の人の技術をそこそこに見ていた自分を反省。
確かにローマ、ギリシャの技巧と照らせば、もっと上を要求してもしかるべきか。


さらにもうひとつ気づいたこと。
上述のキリスト美術を楽しむのサイトにも、偶然このモデナの聖堂のカインとアベルの部分の写真が出ていたのだが、
これを見ると黒く煤けている。

私が見た時は真っ白だった。
最近洗浄などの修復が行われたようだ。



* * * * *

◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.07.15 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
旧約聖書の勉強を始めてからというもの、美術作品に登場する細かいシーンの意味がやっと少しずつわかってきた。


例えば時折見かける マナ(食べ物)が空から降ってくる題材は、聖書の一説とは知っていたけれど、
具体的には「出エジプト 記」に出てくるものだった。
モーゼの祈りが通じ、イスラエルの人たちに恵が施された、といったストーリーだ。



旧約聖書の「創世記」が元となるカインとアベルの話も、馴染みがあるようで、
ディテールを聖書を読んで内容を抑えてから関連作品を鑑賞すると、なるほど、と思うことが多々。


例えば、5月にモデナで見た大聖堂のレリーフ。

男が棍棒のようなもので別の男を殺すシーンが彫られており、
これはカインとアベルに出てくる兄弟殺しの一場面だろう、と察しはつく。
問題はそれ以外の細かいシーン。


P1590399.jpg



アダムとイブの子供カインとその弟アベル。
兄が弟を殺害するくだりは周知の通りだけれど、その経緯はこんな具合だったと知る。


ある日兄弟は、神に供え物をすることになる。
弟アベルが選んだのは、丸々太った羊の初子。

モデナの大聖堂壁画にこの部分は弟が羊を捧げる場面となる。
右手では、創造主が碑文を携えている。


P1590228.jpg


片や兄カインが選んだ奉納物は、とうもろこしの収穫物。
こちらの浮彫が、それに対応する。


P1590229.jpg



果たしてそれを受け取った神は、カインの供え物には見向きもせず、
アベルの羊の方だけに目を留める。

嫉妬にかられたアベル。
遂に弟を殺害するに至る。
この時使用した武器は、後世の伝説では羊の骨ということになったそう。

右は、右手をカインの肩に置き、神は彼を問い詰める。
「弟はどこにいるのか?」(写真の彫刻では、神が手に持つ碑文にそう書かれている。)


P1590230.jpg



素朴で単純そうに見えるリリーフだけど、しっかり聖書の要点を抑えている。
このあと、別のパネルで、この続きが見られる。

アベル殺害の後の話は、モデナ訪問時は知らなかったので、そのパネルが一体何を意味するのか
その場ではわからなかった。

(続く)



* * * * *

◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.07.14 Mon | Travel-Italy| 0 track backs,
鑑賞者として美術館に望むもの / 箱の快適さ、それとも?
「公立美術館は何かと制約が多い、、、」


この土曜は、レクチャー3つ梯子だった。
その2番目のレクチャー(国立近代美術館にて開催中の「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展
ヤゲオ財団コレクションより」)で聞いた言葉が上記。
スピーカーは、国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗さん。


「人間(鑑賞者)よりも展示物優先ですから」として、湿度・温度設定は一定。
構造物は、入札で決定。
何かと厳しい条件のもと、制約が課されている公立美術館。

ところがそういう縛りのない自由な美術館が増えているらしい。


上海のYUZミュージアムなどは個人のミュージアムなので、
好きな建築家に依頼して元飛行機管理用の建造物を改造したという。

面積は9000平米もの広さ。(近美は常設展・企画展示場合わせて1500m2+3000m2=4500平米。)


そうした自由度は、作品の選定においてもしかり。

干渉されずに好きなものを買っていく個人は、一定の作家を網羅しようとか、体系化を意識することもない。
作品主体の集め方。
一方公立美術館となると、そうはいかない。
バランスを重視せねばならない。

個人の場合、売買にもさほど躊躇がないようだ。
実際、ヤゲオコレクションの中で今回日本に持って来ようと思った作品が、
直前で売られてしまったそう。


全体的な質を高めるため、利ざやを稼いで資金調達するため、テイストが変わった、
など売却理由はそれぞれだろうけれど、通常の日本の美術館の場合、なかなかそうはいかない。

根津美術館が改築資金捻出のため、集合体全体の雰囲気からややはずれた
中国の時計を売った例はあるそうだが、結構レアケース。


堅苦しい公立美術館 vs 自由度の高い快適な空間で遊べる美術館

正直、後者が圧倒的に好み、とは言い切れない。

ルーブル分館のような構成・斬新なデザインは一度は体験してみたいとは思う。


けれど、快適な空間というものが、意外に脆いものだということを私は感じている。

言い換えれば、快適さが空間のみで縛られるものではないということを。
混雑、おしゃべり、泣き声。


ごく微妙な空気がストレスになることもある。
大混雑とはいかずとも、入場者数が多く整列して鑑賞する形態をとる場合、
鑑賞速度がやたら早い人が後に鈴なりについた時のプレッシャーとか。

空いている時間帯だからと閉館間際を狙ったものの、30分前から「閉館時間はもうすぐです」を頻繁に連呼される時とか。
ゆったり鑑賞できる時間帯を選んだ筈が、仇になったなぁ、みたいな。

とあるガラ空きの展覧会でのこと。
鑑賞し終わった3人の男女が、最後の部屋で声高におしゃべりを続けていることがあった。
気が散ってしまったので、既に見終えた部屋に退避したものの、20分後に戻ってきたら、まだいた。
「注意していただけないでしょうか?」と係員の人に言ったら、
私も気にはしていました、みたいな頷きをもって、言いに行ってくれた。
彼らは鑑賞を終えており話は展覧会と全く無関係な内容だったので、おしゃべりの場を、隣のショップに移せばいいだけの話だった。


行ってみないとわからない「快適でない事象」はあちこちにころがっている。
箱の出来不出来とは無関係なところで、心穏やかに絵と対峙できないことがある。


日本の場合、広大なスペースが取れるわけもなく、
それに比して、美術館ブームは過熱気味。

絵が引き立つ壁の色を使用しました、と言われても、人がひしめいて壁の露出度が僅か、ということもある。
綿密に仕掛けられた構成・配置だったとしても、混雑具合で順番を変えて見ることも多々ある。

企画者・新聞雑誌ライターさんたちが、内覧会という特殊な状況でなく”通常の(混雑)状況”で展覧会を見てみれば、
肝心なものが、また違った角度で見えてくるかもしれない。


そういった不可抗力な不快指数が存在する限り、
重視したいのは作品の内容に尽きる。
数点の名画だけに頼らず、全体としてまとまりがあり時代の位置づけが汲み取れる展示とか、
作家の意外な一面などを露呈してくれる展覧会とか。
埋もれたアーティストの魅力を伝えるものとか。


デュフィ展は、以前他県の美術館で見たことがあったけれど、
今回Bunkamuraで見た「デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー」展は、
ひとりの画家の画風の移り変わり・絵以外のバリエーションが辿れて、満足度がかなり高かった。
(彼の服飾デザインの例はこれまで見たことがあったけど、
椅子などファーニチャーの展示などはサプライズだった=事前に余り情報を入れないようにした。)

展示手法としてはオーソドックスな方だと思う。
でも、子供のころから思い入れのある画家だったし、
あれだけ多面的に紹介されて、帰途につくとき心が満たされていた。


豪奢なつくりとはいえない目黒区美術館で見た「シャガール展」は驚くほど楽しめた。
ニースのシャガール美術館では味わえなかった別の意味での心地よさがあった。
解説により版画技術体得と活用の執念を知り、シリーズものとして調和があり、
室内には温かさが充満していた。


美術館は、箱の構造だけがすべてではないと思う。


・・・ということで、最後にエールを送りたい。
公立美術館、応援してるよ!


*****

「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展
ヤゲオ財団コレクションより」
於:国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/Honkan/core/index.html

上記展示に関わる講演会のスピーカー: 上記展覧会に関わる保坂健二朗 (本展企画者、主任研究員)さん
2014.07.13 Sun | Art| 0 track backs,
青山学院大学
都心にあるのに、緑も多くてコンクリート質をあまり感じない。
オアシスのような雰囲気だ、青山学院大学。

資格試験監督のバイトで来たことはあったけれど、それ以外はほとんど行く機会がなかった。
最近週末に用があってちょこちょこ足を運んでいる。
気に入ってしまった。

こちらはチャペル。

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先週末はたまたまキャンパスツアーをやっていた。
青学で用を済ませた後、國學院博物館のギャラリートークに行くつもりだったのだが、
思わずジョイン。

旧チャペルなども案内頂いた。
たまに結婚式で使用することはあるそうだが、普段は上の写真のガウチャー記念礼拝堂が使用されている。


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キャンパス内パレードにも遭遇し、

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応援部。
今エールを送っているのは女子学生だ。
大柄の男子に混じってみなぎるパワー。


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学食ではスペシャルランチを食す。
家族連れも結構いた。

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次回余裕がある時に、そして、天気がいい時にまた是非、と思う。青学キャンパス散歩。
2014.07.12 Sat | Society| 0 track backs,
挑戦: 朝食で何品目摂れるか
今朝はいつもより1時間早く目が覚めたので、そのまま起床。

かねてから考えていた計画を実行してみた。
朝食で25品目摂取する計画。

朝バタバタと用意するので、果物は大体バナナとキウイ。
それをヨーグルトに入れてサラダとピザトーストというのが定番。

でも、例のイタリア旅行の朝食以来、もう少しなんとかならないか考えていた。

さて挑戦。


昨夜多めに作った野菜スープも添えた。

P1610468.jpg


食品数内訳:

1.レタス
2.きゅうり
3.卵(マヨネーズ和え)
4.アーモンド
5.トマト
6.ウィンナー
7.スモークサーモン
8.さくらんぼう

9.パン
10.チョコレート(パン)
11.チーズ
12.ツナ

13.ヨーグルト
14.杏
15.キウイ
16.バナナ

(スープ)
17.人参
18.ピーマン
19.えのき
20.玉ねぎ
(ドレッシングのオリーブオイルなど調味料は除く)


これに食後ゆっくり紅茶を飲んで、入れた牛乳をカウントすれば21品目。

思いのほか、25品目の壁は厚かった。

常備しているグラノーラを加えれば、25品目行く気がする。
でも、お腹がこれ以上受け付けない。

まあ、朝は頑張っても20品目がせいぜい、というのが本日の結論だった。
前の日にそれなりに仕込んでおけば、早起きせずとも20品目はギリギリ達成できそう。


今日はグレープフルーツをむくのをさぼったけれど、柑橘類とリンゴはポリフェノールがあり、
抗酸化作用が高いと昨夜の記事で読んだ。
An apple a day keeps the doctor away.とはよく言ったもの。
それなりに裏付けがあるらしい。


明日はこのお皿↓にグレープフルーツとリンゴを添える!と誓う。


P1610461.jpg
(ただしこちらのお皿だけは二人前。)
2014.07.11 Fri | Gourmet| 0 track backs,
不思議な動き キネティック・アート展 -動く・光る・目の錯覚-  2014年7月8日~8月24日   @損保ジャパン東郷青児美術館
損保ジャパン東郷青児美術館で開始した「キネティック・アート展」。

Kineticsという言葉には仕事で遭遇したことがあるけれど、いわゆる動力学なわけだから、
モーター仕掛けのようなものを想像した。


確かに電動ものもあった。
しかし、目の錯覚や、自分自身が動くことにより動いて「見えるもの」 も含まれていた。

さらに現代アートの粋を集めた展覧会というよりも、ある意味レトロ、
かつて最先端を行っていたであろうと思われる内容なのだった。


というのもこのキネティックムーブメント、1920年頃から発生し、
1950-60年に隆盛になったそう。

20世紀の抽象芸術に動きが加わり、アートとテクノロジーが接近した上の産物、そんな解説もあった。


ただし、展覧会を見て気づくのは、そのアートとテクノロジーを結び付ける仲介役として彼らが選んだものは
いわゆる純粋な機械でなく、デザインという手作業であったということ。

あくまでもアートという手技に拘った点に好感をもった。

無限のテクノロジーを本気で使うより、デザインというある程度限られた世界の中で限界に挑戦するからこそハードルは高いわけで、
その中で発奮したアーティストたちの悪戦苦闘ぶりが感じられる。


「制約があるときのほうがいいものが生まれる」、
それは文学について須賀敦子さんが言った言葉であり、
建築について陣内秀信さんが語った言葉だ。



例えば、ペインティングのみで遠心力の渦に巻き込まれそうな体感が得られるこういった作品や、

* 以下写真は、美術館より特別に撮影の許可を頂いた上で撮影・掲載しています。

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フランコ・ グリニャーニ 《空間のトラウマ 6》 / 1965年




蚊取り線香のような渦巻きと直線を二層に組み合わせることで、自分が作品の前を動くと模様が変わるもの。

この作品なんかはキネティックという言葉のもつハイテクな響きに相反して、なかなか素朴。
手作りのぬくもりを感じる。

デジタル化前のアナログの時代。
作家の人柄までもがたちのぼるような、そんな有機的な雰囲気がある。


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エンニオ・キッジョ 《線の干渉 0(正方形+円)》 / 1966年 



こちらは、実際にボタンを押すとオブジェが動き出し、動き自体は単純だけど、
うねった鏡に映る線模様の妙が動きにアクセントを加えるもの。

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ジュリオ・ル・パルク《赤い横縞柄の曲技的な形》 / 1968年



スクリーン上に映る模様が刻々と変形していくこの作品は、
デジタル時代到来の予兆を感じさせる。

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グラツィア・ヴァリスコ《 可変的な発光の図面 ロトヴォド+Q44》 / 1963年



動きのあるものは、写真では無理。
公式サイトの動画が一番いい。





私がことハマったのはこのビアージの一連の作品。

歩くと模様も動く、というのは他の作品たちと同じながら、その動きのビミョウさが秀逸。

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アルベルト・ビアージ《ジョットの「O」>円形 の視覚の動力学》 / 1962


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作家名・作品名・制作年は同上


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作家名・作品名・制作年は同上



上記の丸だけでなく、崩れた四角形もある。

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アルベルト・ビアージ《傾斜 した動力学》 / 1965


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作家名・作品名・制作年は同上



コスタの作品は、ビアージのものほどぐにゃぐにゃした七変化ぶりではないけれど、
凹凸をつけた表面が丹念につくられていて、
色の組み合わせによりかすり模様の上下が徐々に反転していく様が絶妙だった。

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トーニ・コスタ《交錯》 / 1967年、


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作家名・作品名・制作年は同上


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作家名・作品名・制作年は同上



こちらはスイッチで明るくしたうえで、手動で回す。

IMG_2226.jpg

グルッポMID《円形マトリクスの発生装置 2交錯》 / 1966年



あら不思議。
回るうちに、コーヒー豆のような形になった。
えー?なぜ?なぜ?

IMG_2225.jpg

作家名・作品名・制作年は同上



洗練されているこちらのメタリックな一品。
上下左右対称。
五分五分、とはなるほどのタイトル。

表面はスムーズなのらしい。
極限まで研磨した末に、凹凸ができたかのように見える。

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ゲトゥーリョ・アルヴィアーニ《五分五分》 / 1967年


IMG_2184.jpg

作家名・作品名・制作年は同上



結局、錯視など、人間のもつ五感に錯覚を与えて欺くことを追及したのがキネティックアートだったのか。

いや、というよりも、デジタル台頭前、高度なマジックを使わずに、
図工的手わざの過程だけで生み出せる”綾”を駆使して人間の五感をどこまで作為的にナビゲートできるか、
そんなことに挑戦した野心家たちのアートだったのでは、、、
そんな思いを胸に美術館を後にした。



***


不思議な動き キネティック・アート展
-動く・光る・目の錯覚-
開催概要
 
会   期 : 2014年7月8日(火)~8月24日(日)
月曜休館(ただし7月21日は開館)
会   場 : 損保ジャパン東郷青児美術館
〒160-8338新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン本社ビル42階
開館時間 : 午前10時-午後6時(入館は午後5時30分まで)
観 覧 料 :
一  般:1000円(800円)
大・高校生:600円(500円)   ※学生証提示
シルバー(65歳以上):800円  ※年齢のわかる物を提示
中学生以下無料         ※生徒手帳を提示
障害者無料
2014.07.10 Thu | Art| 0 track backs,
モーゼの十戒とAKB総選挙
宗教画をより理解するために、今、旧約聖書の出エジプト記をフランス語で読んでいる。

まとまったフランス語を読むのは久しぶりなので、
フランス2のTV番組サイトで耳慣らしをしたりしてみたのだが、
番組ラインアップを見ていて思った。
日本のバラエティー番組の多さは異常かも、と。

さらに民放チャンネルが多いせいなのかどうかはわからないけど、
日本は視聴率合戦が露骨に番組内容に反映している気がする。
ドラマのテーマもあの手この手。

発想が自由、ともいえる。


AKBとか、モーニング。娘とか、アイドルの存在も、独特。

秋葉原は縁がなくて余り足を踏み入れたことがないのだけど、
AKB総選挙の時期に何度か行く機会があった。

それぞれ個性的な選挙ポスターが掲げられていて、
選挙後には、当選(?)した子のところに当選リボンが貼られていた。

日本のアイドルカルチャーってすごいなぁ、とつくづく。
ラテン民族に比べてお堅い国民のようでいて、こういう柔らかい発想が生まれる背景は一体なんなんだろう。
ミステリー。


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2014.07.08 Tue | Society| 0 track backs,
社会人講座にて
● トヨタ自動車代表取締役会長 内山田竹志氏

「成功のカギは、高い志と挑戦、従来にとらわれないこと、人材育成」
「目標設定は高い方がいい」

-- わずか3年という短期間でプリウスを販売までこぎつけた時のことを振り返り、
  最初の目標”燃費1.5倍”を”燃費2倍”に途中で変更したことが関係者のヤル気とモチベーションを維持した、と。


● 青山学院大学 文学部 教授 西澤文昭氏

「フランス・シテ・ド・ラ・ユニヴェルシテの日本館には藤田嗣治に描いてもらった馬の絵など2つが掛かっている。
戦時中、丸めて隠すという機転があったため、ドイツ軍に接収されずに済んだ。
長いことお蔵入りだったため傷みが激しく、修復には時間を要したが、
藤田の研究家も巻き込み、美しくよみがえった。
ただし、フランス側が所有権を主張しており、さらに巨大なので日本に凱旋することは今後ないと思われる。」

-- 普通に一般でも見ることができるそうだ。次回パリに行ったら見て来よう!

.
2014.07.07 Mon | Society| 0 track backs,
練馬区立美術館で開催予定の「あしたのジョー、の時代 展」 が放つ昭和の輝き
◆ アニメ中の人物が亡くなって現実に告別式を行った昭和という時代


昭和の時代、スポーツ根性もののTVアニメが流行する中、
なんと劇中人物落命の際、実際に告別式を開催した、そんな出来事があったそうだ。

それを知ったのは、CINRA.netの美術展紹介ページ

練馬区立美術館で開催される「あしたのジョー、の時代 展」内容が知りたくて、
(原画のみの展示なのだろうか?とか)上記のサイトにアクセスしたら、こんな文に遭遇した。

同展では、ちばてつやによる原画を100点以上展示。さらに、アニメやレコードなど同時代の関連資料や同時代の芸術家たちの活動を通して、『あしたのジョー』連載時の時代の空気を振り返る。出展作家は、ジョーのライバル・力石徹が劇中で命を落とした際に告別式を行った寺山修司をはじめ、、、(以下略)




え?マンガの人物に告別式?
そこまでのフィーバーぶりだったのか。
昭和のアニメ熱、すごかったのだ。

今もアニメは日本の特許のように世界を席巻しているけれど、
この時代、そこまで登場人物に同化するような動きがあるとは思えない。

人々がよりリアリスティックになったせい?
いやそれより、テレビゲームソフトが驚異的な勢いで生み出され、市場に出回っている昨今、
感情移入の場が、テレビアニメからバーチャルゲーム世界に移行したとは考えられないか?


それにしても、原画とともに時代を検証するというのは面白い企画。


先日資生堂ギャラリーで見た中村誠さんの展覧会がそれに近かった。

70年代という時代を代表する資生堂のポスターの展示に付随して、
没写真・ネガ・指示書などが展示され、制作過程が分かるようになっていた。

パソコンなどない時代。すべてが手作業。マニュアルさ加減が圧巻だ。


特に感動したのは、選択した写真の色合い修正などの指示書。
「もっと濃く」などと朱書きで入っているのだが、その色のどこが不満なのかわからないほど、
微妙な調整を試みており、美に対する執念、拘り、思い入れが、その手書きの言葉からたちのぼっていた。


作品を作る過程の産物の展示というのは多くを物語っており、最終作品単独の展示を補強してくれる、
そんな思いを持った。
その上でその産物たる最終作品を見てみれば、裏にあった多大な努力に裏打ちされて、
いっそう敬意を表したくなるのだった。


こういった体験を通じて気が付いた。
ありきたりの展示にちょっとアクセントを加えることで、随分見方や味が変わるものだな、と。

なので、昭和を感じる工夫がされているらしい「あしたのジョー、の時代 展」 展覧会でも、
作品の裏の時代背景など含め、なにかしら増幅した手ごたえが得られそう。


こうしたちょっと毛色の変わった展覧会の存在を知るにつけ、つくづく思う。
昨今、これだけ美術館が増殖して、展覧会も工夫が要求されているのだろうな、と。

あちらこちらで企画力、個性を競っている。

あまたの展覧会の中、集客力を維持すべく、
美術館自身の発信力も増している。

ツイッターや、HPを通じ、
キャッチコピーを練り、トークショーを企画して。
魅惑的な関連イベントも多く、美術館から誘われているのを感じる。

以前はもっと素っ気なかった。
次の企画展のフライヤーが置かれ、来たい人は来ればいい、みたいな感じ。
デパートでの展覧会も多かった時代。
それほど鑑賞者に媚びずとも、買い物客をそのまま取り込めたのかもしれない。


アピール力が高くなったのは、美術館だけではない。
大学もしかり。
先日母校に行って驚いた。
自習室がこじゃれたカフェ形式。
我々の頃は、学生は放置プレーだった。
入試を経て入ったら、あとはご自由に。
学生へのサービスなどという概念はなく、素っ気なかった。
少子化のせいか、いまは大学側が学生にゴマをすっていると感じるぐらい親切だ。


つくづく時代は変わった。

忘れかけてる昭和の香りを嗅ぎに、行ってみようか。
「あしたのジョー、の時代 展」。

*******

練馬区立美術館
【会期】平成26年7月20日(日曜)~9月21日(日曜)
【休館日】月曜日(ただし、7月21日、9月15日【月・祝】は開館、翌日休館)
【開館時間】午前10時~午後6時※入館は午後5時30分まで
【主催】練馬区立美術館/朝日新聞社
【特別協力】高森篤子/ちばてつやプロダクション/講談社
【協力】トムス・エンタテインメント/虫プロダクション/日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)/全日本シーエム放送連盟(ACC)
【協賛】スポーツニッポン新聞社/ブラザー販売株式会社
【助成】芸術文化振興基金
【観覧料】一般500円、高大学生及び65~74歳300円、中学生以下及び75歳以上無料、障害者手帳をお持ちの方(一般)250円(高大生)150円、団体一般(20名以上)300円、団体高大生(20名以上)200円※無料、割引の方は確認できるものをご提示ください。
【交通案内】西武池袋線「中村橋」駅下車徒歩3分
〒176-0021練馬区貫井1-36-16 電話:03-3577-1821

イベント情報などは以下の公式サイトに詳しい。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/joe2014.html
2014.07.05 Sat | Art| 1 track backs,
ウルビーノにあるラファエロの生家
5月のイタリア旅行のハイライトはウルビーノだった。

たまたまウルビーノにアクセスのいい場所に泊まったため、では行ってみよう、そのぐらいの気持ちだったのだが、
期待をはるかに上回った。
この町に残っているものはそれほどないと聞いたていたけれど、それはラファエロの絵だけであって、
彼が残した芸術的な息吹は、500年の時を経ても失せてはいなかった。

ローマ広場の彫刻群も壮観だったし、生家の保存状態もすこぶるいい。





写真撮影NGなので手元に内部の写真はないが、工芸品や絵画など、芸術品に満ちあふれていた。
台所、部屋の天井のつくり、居間、すべてに手作り感があり、住んだ人(特に父)のぬくもりが
感じられた。

神話に基づく陶器などの工芸品も多々あり、城主や貴族だけでなく、
市井の人もこうしたコレクションを普通に行っていたという事実に驚く。
もっともラファエロ家は特別だったのでは。
父は画家だったので。
美的なものに敏感な父だからこそ、、、そんな家の佇まいだった。


この町には父ジョヴァンニの絵画が多く残されていて、
いずれも温かさと優しさが感じられる。


特に見入ってしまったのが、リビングルームにある聖母子の絵
静謐でおだやかで、心が洗われる美しさ。


帰国後この絵について書かれたものを見たら、若きラファエロの作品だ書かれていた。

しかし私はこれを現地で、父の作品だと思って眺めていた。

間違った目で見てしまったのか?と慌てて調べたところ、公式サイトには、
Giovanni Santi,あるいはil giovane Raffelloの作品となっている。

つまり、父ジョヴァンニ・サンティあるいは若きラファエロどちらかが描いたもの。

私が父の作品と思ったということは、現地でなにかそのような解説を目にしたためだと思う。


2説あるとしても、私としては、父の作品だと思いたい。

早くして母を亡くしたラファエロが(確か継母とはうまくいかなかった)、
父が描いた聖母の凛とした美しい姿に母の面影を見出しながら育ち、やがて彼自身の画風にもつながった、
そんなストーリーを想像しながら、飽きもせずずっと長い間この絵を見つめていたのだから。



【雑記】
5月のイタリア旅行。クレジットカードの明細書がきた。
5連泊で、17,500円ほど。
一泊25ユーロ=3500円程度の計算だ。

大量の選択肢が用意された朝食と清潔で広い部屋でこのお値段。

前回は別のホテルで一泊27ユーロ。
やはり部屋も朝食もピカ一だった。
そんなホテルのレベルの高さにほれ込んで、リミニ行きを決めたのだが、
地図を見たら、ウルビーノ行きバスが出ているペーザロへはリミニから簡単に行けることが判明。
この選択のおかげで、ウルビーノにあるラファエロの生家に行くことができたともいえる。



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◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


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2014.07.04 Fri | Travel-Italy| 0 track backs,
中村屋の美術館ができるそう
あんぱん、カレーで有名な新宿中村屋。
その中村屋が美術館をつくるという。

Takさんの「青い日記帳」によると、オープンは10月29日。

実はあの中村屋、明治・大正時代には芸術家が集う、いわゆる美術サロンを展開していた。
それを初めて知ったのは、2008年に見た国立近代美術館の「新宿中村屋につどった人々―大正時代の芸術サロン」
という特設コーナー。


近代美術館常設展の常連、中村彝作《エロシェンコ氏の像》も、そのサロンから出た作品なのだった。

この印象派的な作品は突っ込みどころがいろいろあるせいか、毎日14時に開催されるガイドツアーでよく取り上げられる。
描かれているのは盲目のロシア人エロシェンコ。
後に危険思想家と目され国外追放されることになる。


上述の2008年の特設コーナーでは、中村屋の主人の妻を巻き込む芸術家たちのドロドロな人間関係が説明されており、
いやはや閉鎖的な空間で、なかなか濃密な愛憎劇が繰り広げられていたようだ。

そうした激しい感情の吐露が置かれた作品の端々に感じられるのだった。


エロシェンコおよびサロンにゆかりのある芸術家については、中村屋のHPに詳しい。
2014.07.03 Thu | Art| 0 track backs,
ヴァロットン周辺が賑わっている
起き上がれない状況から、歩ける状況へ。
立ち直りは早かったものの、だるさがいまだに抜けない。

行くべきか迷ったものの、完治しないイライラを鎮めねば、とストレス回避の意味で行ってきた。
東京藝術学舎 外苑キャンパス。
目的は、三菱一号館美術館で行われているヴァロットン展関連トークイベント。
タイトル:
「Ⅱ「伏線」-ストーリーは次の場面を用意している。」
出演:
辛酸なめ子さん×鈴木芳雄さん。


辛酸なめ子さん、以前着飾った写真しか見たことがなく、
新聞のコラムなどで読んでいたあの毒っぽさを裏切る静かなたたずまい。
そのギャップを堪能したゆるい一夜だった。

なめ子さんは、版画におしゃれを感じた模様。
「版画になると、スイス人のおしゃれさが出てる」と。

なめ子先生らしさを出すのが今回の趣旨だったので、スピリチュアルな話などところどころ脱線。
彼女っぷりが出てるこんなツイートも紹介される。




かの「ボール」の絵に関して、フクヘンこと鈴木芳雄さんが「縦にトリミングすると週刊新潮!」と言ったのは言い得て妙。


そうそう、上述の”毒っ気”といえば、このヴァロットンの毒っ気はとびきりだ。

白黒の強い対比の版画。
一見、男女が窓辺でなにやら語らっている風の図柄に「お金(L'argent)」などというタイトルがつけられ、
光景をありきたりに素直に見てはいけないと警鐘を鳴らし、人の奥底に潜むブラックな部分をえぐりとる。

それだけでなく、そんな訳ありな状況をタイトルとして絵の脇の解説スリップに入れるだけでは物足りず、
わざわざ版画上に彫って見せつけている。

絵の脇のスリップをちゃんと読んだ人だけがわかる隠されたトリックではなく、
見た人全てが気づくよう、あからさまに堂々とドキッとさせる手法。


展覧会では仕組まれた幾多の棘にチクチク刺され、それが気になって仕方ない。
2014.07.02 Wed | Art| 0 track backs,
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