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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
イタリア・アンコーナ / 豊かな海と古代と中世と
リミニを発つ前日は、特にどこへ行くとも決めず、気分次第で動くつもりでいた。

観光局で勧められたサンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャ見物を終え
バスでリミニに戻ったのは午後2時。

残り半日の過ごし方を決めかねて国鉄駅に行くと、丁度アンコーナ行の列車が数分後に出るのがわかり、
急いで切符販売機へダッシュ。
購入操作の途中、「この電車はまもなく発車してしまいますが、よろしいですか?」というアラームが出て、
一瞬躊躇するも、えいままよと購入。

階段を疾走しホームにつくと目の前で電車が行ってしまいがっくりしたが、
数分遅延していたため、アンコーナ行はその次の電車と分かりほっとする。


なんとなく乗ってしまったものの はてさて、どんな街なのか実はよく知らない。
宮下孝晴先生の「北イタリア」の本の中で、アンコーナに数ページ割かれていたのが記憶にあったので、
史跡が見られる町、として頭の中にインプットされていた。

ただそれだけの理由で選んだので、車窓からアンコーナの町が見えてきた時は驚愕した。
海沿いの町だったの?と。(それすら知らなかった。)

地図を見ると沿岸の際にあるので、当たり前といえばそうなのだが、
歴史的な街に、海というのがマッチングしないように思えたのだ。

(奥に小高く見えるのがアンコーナ。列車は沿岸をぐるりと回り込んで高台の1km超手前の駅に止まる。)


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だだっ広くて何もない駅前を過ぎ、坂を上り、ふーふーいいつつ20分ほど歩いてやっと街らしくなってきた。


どっちに行けばいいのかわからず、高台に見えた聖堂がいかにも目玉のようだったので、
とにかくそれを目指すことに。

インフォメーションの矢印が見え、少し歩いたものの、すぐには到達しそうもなく断念。
単に距離の問題だけでなく、イタリアの観光所は応対がゆったりして、素早く用件を済ませられる気がしなかったことも理由の一つ。
帰りの列車を決めていたので、時間がもったいなかった。

そんなわけで地図もなく、人に聞きつつ、「この道を行けば大聖堂にたどり着ける」という道を歩んだ。

ふと脇の路地を見ると、なにやら魅力的な建物が。
なんとなくスルーできずに近づいて行った。


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近づいて、やっぱりこれはすごそう。
観光局はスキップしたけど、これはハズせない。


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そしてこの寄り道は吉と出た。
彫刻で埋め尽くされた建物。

正面にはsumptibvs erectvm comvnitatis anconaeの文字。
ウルビーノがVrbinoと書かれていたことから想像するに、vの字をuに置き換えて英語的に読むと、

Erected 建てられた、Communityコミュニティ、Anconaアンコーナ

というようなことが書かれていると推測される。

帰国後調べたところ、これはロッジャ・デイ・メルカンティという建物で、
宮下先生の前述著書にもしっかり掲載されていた。


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ロッジャ・デイ・メルカンティという名のとおり、もともと市場用に建てられたそうだが、
WIKIによると、改築などを経て、長年のうちに商工会議所のような使われ方をしてきた模様。

中央の騎馬像は、聖ゲオルギウスとのこと。

カルパッチョが好んで描いたこの聖ゲオルギウスの絵の中にアンコーナのシンボルである大聖堂が登場するものがあるそうだ。
それが縁で、ヴェネチアの画家の絵の中の登場人物が、ここアンコーナでよみがえったということらしい。
時空を超えた、洒落た演出だ。


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ゴシック教会のようなつくりだけれど、前出の本によると、ヴェネツィアのゴシック様式とのこと。
なるほど、大運河に沿って林立するヴェネツィアのパラッツォには、こんな建築様式が多々見られたのを思い出した。

中ほどの4つの人物像は、それぞれ
剛毅、節制、賢明、愛徳を表すそう。


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ただし、ヴェネツィアで見かけたカ・ドーロその他のパラッツォと比べると、こちらは木製の扉が豪華だった。

湿気によるダメージも考慮する必要はないわけだし、壁面の装飾性をそのままドアにも反映させている。

ドアの両側にはひげ面の人の顔(首から上のみ)。
この町では 教会の柱にも、こうした人の顔が貼り付いていた。
いずれも戸口のところだったから、なにか守護の意味合いでもあるのだろうか。

うーん、それにしても捻じれた柱が美しい。


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寄り道を終え、正道を再び行くと、何度か階段や坂を上らされた上で、やっと到着。大聖堂。

海を見下ろすロケーションがレアで、気分は最高。

子供たちが、入り口のライオン像にまたがって遊んでいた。

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中を見物し、輝く水面を眼下にしばし佇んだ後は、
ローマの遺跡、などという道しるべに沿って、ふらふらと彷徨。

円形競技場もあるし、

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更に進めばテルメ・ロマーネという看板もあり、テルマエ・ロマエそのままだ。

ローマ時代の温泉跡地。

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ローマ時代の遺跡、中世の見事な建造物、そして各国を結ぶフェリーが行き交う現代の開かれた港を演出する海があって。

アンコーナは、様々な顔で来る者を楽しませてくれる。

それぞれの時代で華やかに反映した痕跡はまた
激動の時代をしなやかに生き抜いてきた町の逞しさの証でもある。



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2014.06.10 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
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