日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
病気の時にお勧めのもの2点(?)
夏のヨーロッパ旅行全キャンセル
ボローニャの市立図書館
リミニ旅行からの帰り、ボローニャで2時間ほど時間があった。

最近駅荷物預けを実施していない駅が多いので、荷物を一式持ったまま
市内を少し歩いてみた。

中心部までは1キロ程度。
余りあちこちへはいけないけれど、これまでの記憶をたどりつつ
とりあえずマッジョーレ広場へ行ってみる。


途中なんとなく惹かれて入った建物。
何かと思えば市立図書館だった。

中庭。


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入口部。
中はもっとすごそうだけど、キャリアバッグを抱えていたので入るのは諦める。


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看板によると、1562-3年に建てられた大学施設を図書館として転用しているという。

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そういえば、パドヴァ大学もそうだった。こうしたデコレーションで飾られていた。
当時の大学の風潮か。

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コミュニティのエンブレムがそこかしこに。
大学と関わった生徒たちの出身地とかなのだろうか。


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3度目のボローニャ訪問だけど初めて知ったこの図書館。
大学町独特のアカデミックな顔がそこかしこに見出せる、それもふとした瞬間に。
その不意打ちが楽しめるから好き、ボローニャ。

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2時間だけの地図のない旅。
予期せず図書館見物とあいなった。

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次回は是非中へ。
解剖室の見学もできるらしい。
取りこぼしは、次回の旅への契機となる。
2014.06.26 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
三菱一号館「冷たい炎の画家 ヴァロットン展」キュレータートークで印象に残った言葉
先日、三菱一号館で開催中の「冷たい炎の画家 ヴァロットン展」を見てきた。

同館で以前行われた世紀末展でヴァロットンの作品は一部見ており、
物事の見方がシニカルな作家、というイメージを持っていた。


先日、日仏会館におけるマリナ・デュクレ(フェリックス・ヴァロットン財団名誉学芸員)氏のヴァロットン関連講演会を聞き、
様々な手法にチャレンジした創作意欲旺盛な芸術家、というイメージが新たに加わった。


講演会では、スライドで年代別に作品紹介があり、写実から木版時代を経て、
Simplifierした=単純化した油絵へと移行するさまが如実に見て取れた。
ナビ派の時代あり、20世紀に入ると神話の影響あり。


実際、展覧会場でもそれが確認できた。
初期の作品《帽子を持つフェリックス・ヤシンスキ》で描かれた浮き上がるリアルな青白い静脈は、
その後の《マルト・メロ》ではさらっとした描き方に変わり、手の細部には無頓着になっていく。

正確に写し取らずとも、その本質を伝える技の魅力に惹かれたかのよう。


氏によると、一時期影響を受けたナビ派的なSans profondeur(奥行きのない)の手法には
浮世絵の影響もあるという。


デュクレ氏の講演会の中で心に残った言葉:

●Seule le temps judge d’art.
過去、評価されなかったヴァロットンの再評価について、氏が語った言葉。
彼の作品は同時代のフランス人には強烈(Dur)すぎた。
しかし、あらゆる表現方法に慣れたNouvelle génération=新しい世代が、彼の絵を評価するに至った。
時のみが芸術を評価しうる、と。


●彼の絵はSurréalismeではなくHors de la natureである。
超現実という言葉は強すぎる、むしろ、自然の枠を超えた絵と言った方がふさわしい。



もっとも展覧会を見ていると、写実、ナビ派といった手法はともかく、主題と画風に強烈なものが多く、正直、毒っ気にあてられた。
《息づくパリ 暗殺》の中でキラリ、と光る刃のように不気味な毒っ気だ。

デュクレ氏が、彼の絵を(フランス人にすら!)「Dur」と表した意味がよくわかる。



だから《リュクサンブール公園》のような絵が登場すると、ほっとする。
ルノワールの《舟遊びの昼食》や《雨傘》のように、賑やかなざわめきが聞こえるかのよう。


《月の光》の絵も渋いけど、惹かれた。蒔絵のような色合い、川に映る空、渋い色調の中のきらめき。


とはいえ、のんびりと眺められる絵はごく一部。
見て心がザワザワする絵が多い。

心の闇を絵筆にぶつけた人、という感想をもった。


先日目黒美術館のシャガール展で感じた愛情の深さとは対極的な冷たさがあり、
グランパレで行われた展覧会のタイトル「Le feu sous la glace」=氷の上の炎は、言い得て妙。
日本では、「冷たい炎の画家」という言葉に置き換えられ、この表現もうまい。



例えば、作品番号121番《引き裂かれるオルフェウス》の残酷さ。
オルフェウスをよってたかって八つ裂きにするバッカスの信者マイナスたちの中でも
一番獰猛な中央の女は、彼の妻(!)と瓜二つだ。

(作品番号120番「憎悪」に出てくる彼の妻の顔と、上記の獰猛な女性が同じ人相なので。)



同じ神話の場面を描くにしても、余韻を描くのではなく、
オルフェウスの手首を握って石を振りかざす、まさに殺生の場面を選んでいる。

それまでの彼の作品では、暗ににおわすシーンや意味ありげな描き方が多かったのに、
ここへきて感情の炸裂を抑えられなかったかのよう。



妻を失い悲嘆にくれるオルフェウスがトラキアのマイナス達に殺される場面は、
これまで幾多の芸術家が題材に選んできた。

2012年、西洋美術館の「手の痕跡」展で見たロダンの作品(写真撮影OKだった)では、
切り落とされた首を、ひっそりと置くことで、それとわからせていた。



オーギュスト・ロダン 《オルフェウスとマイナスたち》

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足元にころがるオルフェウスの首。

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(この時の解説では、妻にしか興味がないオルフェウスがマイナスの巫女たちをないがしろにしたから殺された、
と書かれていたが、今回の解説では、知り得た秘儀の内容をオルフェウスがマイナスたちに教えなかったから、
となっていた。)



それに比べ、ヴァロットンのグロテスクなまでの直接さ。
妻への怨念がこもっているかのよう。


他にも例えば、《万国博覧会 ラリックのショーウィンドウ》で群れをなす女性の浅ましさ。

フランス語のいわゆる「ミゾジニー」(Misogynie=女嫌い)という言葉を浮かべると、彼の絵は説明がつく気がする。


「夕食、ランプの光」で描かれる寂しく巨大な彼自身のシルエットとあわせると、
女性運がよほどなかった人なのかなぁ、などと。


年表には、レジオンドヌール拒否と書かれおり、気難しさゆえか、
或いはそれまでのエトランジェの扱いへのあてつけなのか。
いや、もしかしたらMisogyneというより、Misanthrope=人間嫌いなのか。
肖像画も晩年のものを除き、すべて斜に構えている。


彼の冷淡さは、近代的なセンスによって平衡が保たれており、その味付けがなかったら余りに寒々しく、
絵に抗していく気力がそがれてしまいそう。



もっとも、一連の戦争画では、一番凄惨な場面を描かずに、廃墟のみを描き、欠落部分は鑑賞者に委ねられている。
人間に対する激情はときに直接的表現を用いつつも、戦争に対してはユーフェミズムを用いている。
その差はなんなのだろう。
義理の息子を巻き込んだ戦争への怒りは、人間という具体的な対象者を越えた
何か世界全体のような概念に対する怒りだったとか?


少なくとも、彼にとって芸術とは美を表現するもの、或いはエンターテイメントなどではなく、
魂をぶつけ合うものだったのだろう、ということは推測できた。



解説によるとモンパルナスに彼の墓地があるそうだが、去年時間つぶしで訪れたモンパルナス墓地では
墓碑を見つけることはできなかった。

入口にある著名人の一覧に、その名がなかったからだ。
やはり少し前のフランスでは、知名度はいまひとつなのらしい。


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墓地見取り図の脇には縦のアルファベット順で著名人の名前が並んでいるが、VALLOTTONの文字はない。

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p.s.1 ルナールの「にんじん」の展示があった。日仏双方の本の表紙に彼の絵が使われていて、タイトルが「Carotte」でなく「Poil de Carotte」であるのを知った。
原題は、「人参の毛」だったのだ。

p.s.2 上記の「にんじん」が出展されていたのだが、仏文の本の所蔵者は、高橋館長ご自身だった。



http://mimt.jp/vallotton/

展覧会名称 : ヴァロットン ―冷たい炎の画家
会  場 :三菱一号館美術館(東京・丸の内)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
会  期 :2014年6月14日(土)~9月23日(火・祝)
開館時間 :10:00 ~18:00(金曜(祝日除く)のみ20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休 館 日 月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合は開館/9月22日(月)は18時まで開館)
2014.06.25 Wed | Art| 0 track backs,
資生堂ギャラリーのCMポスター展がステキだった話
先日偶然 対談特別企画「画廊の夜会」の歩き方 原田マハ × とに~ 
なるイベントを発見し、いそいそと出かけた。
ワンドリンク&エコバッグ付きで1000円。
場所は銀座資生堂というお洒落な企画。

マハさんの著書「楽園のカンヴァス」のファンだったので、
生マヤさんにトキめいた。
TV番組「日曜美術館」で拝見したことはあったけれど、
その時の印象以上に実物は話し上手で、頭の回転が速く、魅力的な人だった。

さて、その際に偶然知ったのがこちら。
現在資生堂ギャラリーで開催中の
「美人を創る 中村誠の資生堂」展。

前田美波里さんを起用した古い資生堂のCMから、山口小夜子さんのものまで。
往年の資生堂の美女ポスターがズラリ。

なにしろコンピューターの前の時代。
手書きで仮作品の修正を指示するコンテも生々しい。

もっと濃く、など 目で識別可能かどうかといった程度の微妙な色調にも拘り、変更を指示している。
美に対する執念をまざまざと感じた次第。

奥のビデオコーナーでは、資生堂のCMに貢献された中村誠さんのインタビューが上映され
昔のCMシーンも登場。
山口小夜子さんのスタイルが日本人離れしていて感激。
初めて見るCM。背景はパリのモンマルトルだろうか。

ポスター展示コーナーでは、前田美波里さんの存在感が圧巻だった。
撮影期間中、余り太陽が出なくて小麦色の筈の日焼けが不十分。
そこで、白色をより強調することで日焼けを引き立てる演出をした、そんな裏話も登場する。

6/29まで。

https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

■「中村誠の資生堂 美人を創る」
  MAKOTO NAKAMURA, SHISEIDO AD ARTWORKS 開催要項

主催: 株式会社 資生堂
会期: 2014年6月3日(火)~ 6月29日(日)
会場: 資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951
平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00
毎週月曜休(月曜日が休日にあたる場合も休館)
入場無料
企画協力: 柏木博(武蔵野美術大学 教授)


楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

商品詳細を見る
2014.06.24 Tue | Art| 0 track backs,
リミニ市立博物館の実力!
リミニ市立博物館にて。

訪れた日はちょうどフレスコ画の部屋で講義が行われていた。
わからないなりにも出席しようかと思ったのだが、なにしろ到着した初日。
疲れていたので、遠くから部屋を眺めるにとどめた。

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係員の人に聞くと、ジョットの作品ではないものの、ジョット周辺の画家の手によるものらしい。

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人物の表情は、人間らしいまろやかさがあって、ジョットの特徴をとどめている。

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入場料たった6ユーロで、外科医の家の遺跡見物も込み。
こうした夜の特別講義も込み。
更に水曜日は無料。

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博物館には宗教画などを納めた絵画館のほかに、地元の遺跡の展示コーナーも。
ローマ時代に繁栄をみた都市なので、2世紀頃のモザイクなども豊富にある。

海辺の街らしく、モチーフには海関係が多い。

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地元の発掘現場の様子のパネルがあり、

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発掘されたモザイクをつなぎあわせた展示あり。
当時このあたりではモザイクが流行していたようで、幾何学模様もなかなか手が込んでいる。

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考古学室も充実していて、やはり地元の発掘調査に基づいた展示が中心。
これは棺の一部。

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部屋の一部にこうした梁があり、どうやら美術館として建てられた建造物ではないらしい。

出口で案内の人に聞いたところ、もともとは僧院だったそう。その後病院として利用された後
美術館に転用されたという。

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* * * * *

◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力!
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.06.23 Mon | Travel-Italy| 0 track backs,
江戸東京博物館 『大江戸と洛中~アジアのなかの都市景観~』 2014年3/18~5/11日 @東京都江戸東京博物館

■ 徳川秀忠の自筆画や本物の御朱印状が見られる展覧会徳川秀忠の自筆画や本物の御朱印状が見られる展覧会が開催されている。場所は江戸東京博物館。他にもお宝がザクザク。ツボだったのは、洛中屏風。よーく見てみれば、川で気持ちよさそうに泳ぐふんどし姿の若衆の姿があったり。なんとも生き生きしていて微笑ましい。地図マニア必見の『大江戸と洛中~アジアのなかの都市景観~』。先日本展のブロガー内覧会で許可を得て写真撮...
江戸東京博物館 『大江戸と洛中~アジアのなかの都市景観~』 2014年3/18~5/11日 @東京都江戸東京博物館

2014.06.22 Sun | Art| 0 track backs,
橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き
まだまだ先、と思っていたけれど、気がつけば2週間後に迫っていた
国立西洋美術館の「橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き」展。


個人収集家・橋本貫志氏より寄贈された約800点に及ぶ指環のコレクションから
約300点を一挙公開するという。

こちら=>http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2014ring.htmlに書かれている通り、
古いもので4000年前のものもあり、
”年代や素材に偏りがなく、極めて広範な内容”だ。


以前行われた記者発表では、橋本氏ご自身が同席され、指環収集の経緯を語られた。

捕虜収容所にも送られたことがあるというご自身の戦争体験を経て、
戦後、全てを失った日本国民をなんらかのかたちで元気づけたい、という気持ちから
収集を始められたそうだ。

何故指環にしたのか、という疑問への答えは、
サイズが小さく、限られたスペースで多くを展示できるから、
そして人にじかに触れたぬくもりがあるものだから、と。


スライドで、いくつかの作品について説明があり、
ドイツ人画家アントン・ラファエル・メングスのミニアチュールは、
実際に会場でも実物を見ることができた。

拡大鏡により、人物像が見やすくなっていたが、この極小サイズで人物の特徴を捉える技は驚愕に値する。


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高さ5㎝以上というこちらの指環はパパルリングと呼ばれている。
Papal Ring
という文字から推測できるとおり、Papa(Pope)=ローマ法王が儀式の際にはめる指環だ。
*写真撮影は、記者会見上許可受領済み。

教皇パウルス2世の名前が記されている。

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その他、紀元前4世紀の<女神ニケ>という藍色に金色が冴えわたる指環などはうっとりするほど美しく、
改めて当時の技術力の高さを実感させると同時に、競技を好んだ当時の人々の嗜好が
当時多用された勝利の女神というモチーフから漂っている。


非常に小さいものながら、その中に凝縮された時代を感じ取ることができ、
来歴を確認しながら鑑賞すると深みが増すと実感した。


***

展覧会名:
橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き
場所:
国立西洋美術館
会期:
2014年7月8日(火)~9月15日(月・祝)
開館時間:
午前9時30分~午後5時30分         
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:
月曜日(ただし、7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)
主催:
国立西洋美術館、東京新聞
後援:
一般社団法人日本ジュエリー協会
公益社団法人日本ジュエリーデザイナー協会
協力:
神戸ファッション美術館、公益財団法人西洋美術振興財団
観覧料金:
当日:一般1,400円、大学生1,200円、高校生700円      
前売/団体:一般1,200円、大学生1,000円、高校生600円
2014.06.22 Sun | Art| 0 track backs,
現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展
昨夜、「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」の内覧会を訪れた。

ヤゲオ・コーポレーションのCEOピエール・チェンの財団ヤゲオ財団との共同開催という企画展。
一代、30年間で素晴らしい名品コレクションをなしとげた氏のスピーチ:

写真 (15)



”世界の宝”の意味には、市場価値という現実的な側面も含んでいるといい、
近美としては、大胆な構想。


チェン氏は、自宅のあちこちに(お風呂にまで!)集めた作品を飾っているといい、
作品を眠らせるのでなく、その芸術性に常に触れ、豊穣な時を過ごすことが大切というポリシーのよう。

実際生活の場に飾られているシーンが写真で展示されているのも興味深い。
まさに生きている芸術品。

作品の中には、抽象画というオブラートに包まれてはいるが、これは居間には飾れないだろう、一体どこに飾る前提で購入したんだろう?
というようなものもあり、
普通の展覧会と違い、コレクター、個人がコレクションをすること、などを必然的に意識する。

あれだけの大判の作品を飾って威圧的でない広い自宅、そっちの方にも感嘆したわけだけど。


杉本博司氏の《最後の晩餐》のユダが握るナイフにぞくっとし、
(実はこの日偶然、バッグの中に「Last Supper」というミニ画集を入れていた私。
世界中の6世紀から現代にいたる最後の晩餐の絵が収められている。
出版社はPHAIDON。東京駅丸善で見つけた。)
ブリヂストン美術館で見慣れた色彩とは異なるザオ・ウーキーの作品に触れ、
極彩色の建造物抜きののどかな中国の風景画が新鮮。
絵画、写真、そしてその中間的作品あり、写実・抽象画あり、爽やか系・毒々しいものなど、バリエーション豊か。


写真は屋外展示のマーク・クイン。

写真 (17)



そんな中、ポスターに使われているやはりマーク・クインのこれにちょっと既視感。

Poster2 - コピー


06-07年にかけ、ツール・ド・フランスの前座に出ていたアクロバットの技がそのものだった。

07年ツールはイギリス・ロンドンが大会初日グランデパールの舞台だった。
クイン氏はそのとき、あの場に居合わせたのだろうか、などと思ってしまうほど。

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写真 (18)


展覧会名:
現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展
ヤゲオ財団コレクションより

会場:
東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー + 前庭

会期:
2014年6月20日(金)~8月24日(日)
開館時間:
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで

休館日:
月曜日(7月21日は開館)、7月22日(火)
http://www.momat.go.jp/Honkan/core/
2014.06.20 Fri | Art| 0 track backs,
ウルビーノのドゥカーレ宮殿 
ウルビーノの町を歩いていたら、見事な宮殿が現れ、これは観光の目玉のひとつだろう、と入ってみることに。

この15世紀のドゥカーレ宮が、現在では国立マルケ美術館Galleria Nazionale delle Marcheはという名前であることも気が付かなかった。

絵画のコレクションもさることながら、備え付けの木製の調度品が見事だった。


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木の細工とは思えぬほどの繊細さ。
そして今も褪せない美しさ。

この豪華な非現実感漂よう空気の中に身を置き、悦に入る君主の姿が目に浮かぶ。


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こちらのデューラー風の人物パネルも鮮やか。

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◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
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・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
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・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
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・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


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2014.06.19 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
先日来参照しているイタリア・リミニにある2世紀の外科医の家の遺跡。

このモザイクがある2間は診療室と入院施設だったことがわかっている。
右側の部屋は

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そばの市立美術館の再現コーナーによると、こんな形で使用されていたと推測されている。

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左側の円形のモザイクの部屋は、診療室であった。
再現するとこんなかんじ。

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下の写真は、再現コーナーでなく、実際現地に残っているモザイクの床。
彩色も含め、完璧に残っている。

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中央部分は人が竪琴を持っているデザインで、
神話に出てくる竪琴をアトリビュートとするオルフェウスのようだ。

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診療室、入院室と区別がはっきりしているのは、残存物のお蔭だ。

前にも述べたとおり、入院患者の壁の落書きのお蔭で、ベッドがあった部屋が特定された。

また、おびただしいメスなどの外科道具が出てきた部屋が、診療室であったとみなされている。

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やはり市立博物館には、焼け残った無数の手術道具が展示されている。

それぞれ、ノミとかはさみなど、名称が書かれている。

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再現コーナーのデスク。

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ミニチュアの再現もされ、邸宅の再現部分。

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たまに海外の考古学博物館に行くと、出土したものを単にずらっと並べて何の解説もないことがある。

しかしリミニの遺跡は、単に掘り起こしただけでなく、当時の様子を綿密に分析し、
博物館において、解説付きで整然と陳列されている。

外科医の家と市立美術館は共通チケットで入場可能。
先に遺跡を見てから美術館に行ったので、理解も深まり、見るとするとこの順番がお勧め。

なかなか良質な展示だと思う。



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◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
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・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

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・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
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・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


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2014.06.18 Wed | Travel-Italy| 0 track backs,
リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
先に触れたリミニの2世紀外科医の家は、半分が病院、もう半分が自宅という構成。

モザイクは、診療室と自宅の両方に敷き詰められていて、保存状態も良好だ。


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なんでもドイツ人部族の放火により家は崩壊したそうだが、床部分は残った模様。
外科手術用器具は、黒く炭化して見つかり、そばの市立博物館に置かれている。

床模様を見ていると、ふと穴が開いているのに気が付いた。

そばに近づいて見下ろしてみる。

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ガイコツだ。


P1240383.jpg


AD260に滅びた自宅から出てきたので、その床下ならもっと古いのかと思いきや、
そうではなかった。


解説を読むと、外科医の家跡はその後の都市計画で新たな建物が敷地の一部に建てられ、
それも壊された後、墓地になったそう。

その付近に教会などの宗教施設があったのでは、と推測されている。

そしてこの墓地に溝を掘って周囲をタイルで囲み、遺体が埋められたそう。
つまり、溝を掘る際、外科医住居のモザイク部分を貫通して溝が彫られたようだ。

このモザイク部分は上から盛り土で覆われ、地上からは見えなかったのだろう。


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墓地としての利用は7世紀頃まで続いたという。

2世紀に作られた自宅の床を突き破って5-7世紀に墓地が造られた。
古代の上に古代が重ねられ、多重構造の昔が垣間見えるモザイクの床。

今年、キトラ古墳壁画のオリジナルを見て、遥かいにしえに思いを馳せたけれど、
こちらはそれよりさらに時代が遡る。

イタリアの地下は、壮大な考古学博物館だ。


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◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.06.17 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
土曜日の腹ごしらえは
先の鈴木明子さんの講演会前、腹ごしらえはここ。
慶応のファカルティラウンジ。

1200円でメイン、スープ、パン、サラダとドリンクのビュッフェ。

日替わりランチは1000円ぐらい。
雰囲気、お味、コスパ、なかなか優秀。


写真 (14)



講演会の後は、なぜかお腹が空いてしまい。

日吉から東京駅へ移動して、OAZO内の神戸屋へ。
アフタヌーンティをがっつりと。
ツーレはケーキセット。
写真は一人前。
いわゆるケーキっぽいものは付いていないけれど、
店が得意とするサンドイッチ、店で出していると思われるペストリーなどハズレのない味。

1400円だったかな。
鈴木明子さんのお話もよかったし、耳もお腹も満腹感を味わえる1日だった。


写真 (13)
2014.06.16 Mon | Gourmet| 0 track backs,
市民講座に行ってきた: 鈴木明子さん「スポーツの見方・楽しみ方」
慶應義塾大学・読売新聞市民講座「スポーツの見方・楽しみ方」シリーズ、
昨日の土曜日はフィギュアスケート女子シングル元日本代表、鈴木明子さんの講座だった。

春先にも別の内容で鈴木さんの講座があったものの逃してしまったので、
案内が出た途端、さっそく申し込んだ。


実物像はTVで見る通りではあったけど、改めて感じのよさに感激。
お話もスケーティングのように滑らか。
日常的にある意味競い合いをしていた人とは思えない柔らかさ。

もっとも今回の日本チームはみなで上を目指して頑張ろう!といういい雰囲気で仲良しだったというから、
他人と争う、という感覚で選手生活を一貫して送ったわけではないのだろう。

現に今回の講演の中でも、他人と比べない、といった内容の話も出てきた。


以下お話から少しだけ:

・小さい頃楽しそうに滑っていたから目に留まったと思う。

・それまで五輪中継はあまり見ない方だったけれど、五輪出場後、ロンドン五輪の開会式を見て涙。努力せずにこの場にいる人はいないんだ、といった感興が湧く。

・氷の質は海外と日本でも異なるし、日本国内でも異なる。硬度や不純物の関係であるが、柔らかいと足が取られて余分な力が入り、硬い方が好き。

・ソチではショートトラックと兼用のリンクだったので、氷の硬さの調整が入り、公式練習と本番で、硬さが変わるため、やりにくかった。

・会場が暑いと、筋肉がゆるみ過ぎて、可動域が広がり、止めたいときに止められない問題が出る。

・氷の質、温度などの変化にいかに瞬時に合わせられるかがカギ。


~~ 上記はナビゲーターの人との対話形式だったが、その部分は50分にとどめ、あとの40分を質疑応答に割いた。前回の講義のときにいい質問がたくさん出たものの消化しきれなかったせいのよう。これは正解だった。通の人からいい質問が多数。例えば ~~



・音楽:
1年中聞くので、好きな曲でないとやれない。音楽の切り取り方は、盛り上がる部分で使いたい部分を抽出し、そこから逆算。
リフレインの箇所はバラバラに寸断したりするので、原曲を知っている人には奇妙だろうが、慣れると馴染んでしまう。


・コスチューム:
デザインにはそれほどリクエストは出さないほう。譲れないポイントのみ言っていた=
脚が長く見えるようにハイウエストにするとパンツが見える量が多くなるので、その量が多くならないようなスカート位置。
筋肉質なので、腕などは隠すより出すようにしていた(その方が美しいと言われたこともあり)。
肌色の部分はなるべく肌になじむ色にするべく依頼し、自分もそれと乖離せぬよう、日焼けを回避していた。
あとは、「白くてクリスティーヌのイメージで(オペラ座の怪人のクリスティーヌ役の時)」などと大ざっぱにいうだけ。
それでいつも完璧なイメージで作って頂けた為、その後直しをすることは滅多なかった。
デザイナーさんが熟練していたので、感謝している。
ただ、その辺は作り手の方との相性もあるので、皆が同じ人に作ってもらうべき、とは思わない。


・ルール変更:
ルールが変わるたびにわかりにくいのはもっとも。
事実コーチですら変更箇所を確認するためルールブックを手元に置きながら指導したりする。
ただ、これありきで選手は動く重要な規範なので、変更したらそれに順応するのみ。
(変更を選手として不満に思ったりといったことはない。)
選手によってはルールをそこまで理解せず、コーチにいわれた通り、完成した振付をひたすら覚えるだけの人もいる(誰かの顔が浮かんだ私)。
ただ、これほどルールがわかりにくいという声があるのなら、自分が見本となって(たとえば実践しつつ説明するとか)、理解の一助となる伝道師になる必要もあるのかもしれない。(拍手)



ちなみに偶然見つけた歴代五輪出場日本選手のリストが面白い。
佐藤信夫コーチが妻久美子さんと重なる大会:
じゅんじゅんが中学3年で出場した証拠:
小塚君のお父さん;
長野五輪7人の出場者のうち、私は、荒川さん、本田さん、田村さんの3人しか覚えていなかった。

http://winter-olympic-memories.com/html/japanese_athletes/figure.htm
2014.06.15 Sun | Private| 0 track backs,
リミニとウルビーノ/ マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像
以前アッシジに行った時、離れの施設で十字架のキリスト像ばかりの展示に遭遇した。

これでもか、というほど前ルネッサンス期のキリスト磔刑図を見せられ、
とにかく印象的だったのは、流血表現のすさまじさ。

どくどくと塊のように血が長く滴る様子を描いたものが多く、それ以来、十字架上のキリストを見ると
血の表現方法を見てしまう。


先日ウルビーノのドゥカーレ宮(15世紀)内にある国立マルケ州美術館で見たそれはこんな具合。

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掌と胸の流血以外に、体中には無数の茨の切り傷。

ただし表情は眠っているかのよう。

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一方で、足元が強烈だった。

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***


その後、リミニのマラテスタ寺院へ。
そこで見たジョットの十字架は、至ってシンプルでありつつ、気品に満ちていた。

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上の十字架のキリストとは違い、表情は厳しい。
人物の内面性が見事に描かれている。
これぞまさしく受難といった様子。

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手からは血が滴っているように見えるがあくまで控えめ。

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足元はよく見えないが、やはり露骨な流血シーンはなく。

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派手に傷口を描くことでキリストの受難を表したものが多い中
ジョットは受難の過酷さを顔の表情のみで表し、
内に秘めた苦悩が見る者の心を打つ。


内面を描き分けるその力量が、比較によってより鮮やかに浮かび上がる。




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・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
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・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.06.14 Sat | Travel-Italy| 0 track backs,
歴史的遺産の復元
大火で焼け、もとの姿をとどめなくなった法隆寺壁画がデジタルで復元され
東京藝大美術館・ 陳列館で公開されている。

火災前の白黒写真と、火災後の無残な姿の対比パネルもあり、
デジタル壁画の方は堂内を再現する方式・並べ方で、雰囲気を伝えようとしている。

在りし日の姿が仏画師・鈴木空如による模写や白黒写真などの手法でとどめられていたからこそ可能となった復元。

昨日書いたイタリア・リミニの2世紀の外科医の家の落書きしかりで、
なんらかのかたちで記録を残すという、そのひと手間が後世のありかたを大きく変える。
(1800年前、病院の壁に落書きをした入院患者はそんなことは意図してはいなかっただろうが。)

そうそう、ポンペイの遺跡にも、1万以上もの落書きが残っていたそうだ。
バカにならない、落書きもときには。


一方で、東アジアの方では、歴史的遺産の修復がはかばかしくないと聞く。
記録がなく、元の姿が不明で、仏像などは、修復の際、勝手に違うかたちの足がつけられたりすることすらある。

生活するのに必死といった状況では、遺跡保護の方策までは手が回らない、そんな状況が目に浮かぶ。
遺跡保護には、社会の豊かさが前提条件のような気がしないでもない。

となると余裕のある国からの支援が不可欠となる。
日本などから盛んに応援の手が差し伸べられているのは、そんな背景からなのだろう。

ミャンマー、バーミヤンの遺跡現場などで、多くの日本人が協力し、活躍されているそうだ。



参考:
「弐代目・青い日記帳」さんの「別品の祈り-法隆寺金堂壁画-」

東大総合研究博物館の頁に法隆寺金堂壁画のデジタル画像による再現解説
2014.06.13 Fri | Society| 0 track backs,
リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
古代ローマ時代に栄えたリミニには、2世紀の外科医の家などというなかなかレアな遺物がある。
実はそれを知ったのは、最初のリミニ旅行から帰国した後だった。

イタリア美術を知る上でバイブルとしている宮下孝晴先生の美術書「北イタリア」のリミニの章には、
ほかの遺跡や中世の名品は載っているのにこの外科医の家は掲載されていなかったのだ。

本書が書かれたのは2000年。本遺跡公開は2007年、なのだった。


今回の旅の目玉として、イタリアに到着したその日、さっそくこの外科医の家へと向かった。

遺跡は、広場の中心にあり、ガラス張りの窓で囲まれていた。


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外科医の診察室と入院ベッドは2間続きになっている。
なんでも外科医はギリシャからきた相当優秀な人物だったようだ。

家のあちこちからギリシャ語や、ギリシャ的な名前Eutychesという刻印が見つかっているため、
家の主である外科医の名前はEutychesだった、というのが定説。


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部屋の床の装飾など見事で、ざっと家を眺めるだけでも、なかなか感動なのだが、
さらにピンポイントで楽しめる秘密がある。

入院室の壁に、患者の落書きが見つかったといい、そこには、
「Eutyches homo bonus」と書かれていたそう。

「Eutyches(=医者の名前)は、いい人です」という意味。


しかしいくら目を凝らしてもそれは見つからない。
くだんの壁の落書きはどこにあるのか、受付の人に聞くことに。

英語は通じなさそう。
はて、「落書」きってイタリア語でなんていうんだろう。
英語のグラフィティの綴りがGraffitiで語尾が「y」でなく「i」であることや、響きがイタリア語っぽいことから、
試しにそのまま使ってみたところ通じた。
(どうやらGraffitiって、イタリア語が語源のよう。)

果たして回答は、出土後いまは近接の博物館に保管されていると。


見物後、さっそく博物館へ。
そしてそれがこれ。

4行ほどのエッチングのように彫った落書きが肉眼でもしっかり見える。

上2行に
Eutyches
homo bonusと書かれているというので、確認してみる。


P1580304b.jpg



Eutyches
homo bonus

のうち、
上から
YCH
MO BONU

というのがちゃんと確認できる。

P1580304a.jpg



この落書き自体は2世紀半頃のものらしい。

この医師が、しっかり診療・治療していた様が、遥か1800年近い後世にまで伝えられるとは、
何気なく書かれたであろう落書きも、こうなるといっぱしの史実書同様の価値を持ち得る、、、
そう考えるとなんだか感慨深い。



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2014.06.12 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
ルネサンス画壇の巨匠ラファエロの故郷ウルビーノには、今も芸術魂が静かに息づいていた。


それは、
ラファエロの名前を冠した芸術アカデミーの看板を見た時、
坂道の途中でラファエロの名画が飾られているトラットリアを見つけた時、
などにじわじわ感じるのだけれど、


P1580598.jpg


こんな画材屋さんに遭遇した時には、さすがウルビーノ、などと思ってしまった。


それは一見 ごく普通の画材店に見える。

P1580652.jpg


奥では店主が絵の額を精査していた。


P1580655.jpg



注目したのは店の入り口。
額が掛けられている。

なるほど、こういう趣向なのだ。
額の中(前)に立って、写真を撮る。

我々の”肖像画”の出来上がり~。

一人旅だったので、残念ながら私の肖像画は実現しなかったけれど。

P1580651.jpg




ちなみにごく最近、これと似たテイストを日本で見かけた。
場所は秋葉原。

あなたも総選挙に参加しましょう、的な顔枠が、AKB48総選挙看板に!

写真 (6)



オマケ画像。
当選おめでとうございます。

写真 (7)



私がウルビーノで見た画材屋さんも、秋葉原の選挙ポスターも、
どちらもいわゆる”なりきり”系の演出だ。

が、それの適用場面は両国で大きく異なっていて、
それぞれの国の文化を端的且つ象徴的に表している気がした。



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2014.06.11 Wed | Travel-Italy| 0 track backs,
イタリア・アンコーナ / 豊かな海と古代と中世と
リミニを発つ前日は、特にどこへ行くとも決めず、気分次第で動くつもりでいた。

観光局で勧められたサンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャ見物を終え
バスでリミニに戻ったのは午後2時。

残り半日の過ごし方を決めかねて国鉄駅に行くと、丁度アンコーナ行の列車が数分後に出るのがわかり、
急いで切符販売機へダッシュ。
購入操作の途中、「この電車はまもなく発車してしまいますが、よろしいですか?」というアラームが出て、
一瞬躊躇するも、えいままよと購入。

階段を疾走しホームにつくと目の前で電車が行ってしまいがっくりしたが、
数分遅延していたため、アンコーナ行はその次の電車と分かりほっとする。


なんとなく乗ってしまったものの はてさて、どんな街なのか実はよく知らない。
宮下孝晴先生の「北イタリア」の本の中で、アンコーナに数ページ割かれていたのが記憶にあったので、
史跡が見られる町、として頭の中にインプットされていた。

ただそれだけの理由で選んだので、車窓からアンコーナの町が見えてきた時は驚愕した。
海沿いの町だったの?と。(それすら知らなかった。)

地図を見ると沿岸の際にあるので、当たり前といえばそうなのだが、
歴史的な街に、海というのがマッチングしないように思えたのだ。

(奥に小高く見えるのがアンコーナ。列車は沿岸をぐるりと回り込んで高台の1km超手前の駅に止まる。)


P1600573.jpg



だだっ広くて何もない駅前を過ぎ、坂を上り、ふーふーいいつつ20分ほど歩いてやっと街らしくなってきた。


どっちに行けばいいのかわからず、高台に見えた聖堂がいかにも目玉のようだったので、
とにかくそれを目指すことに。

インフォメーションの矢印が見え、少し歩いたものの、すぐには到達しそうもなく断念。
単に距離の問題だけでなく、イタリアの観光所は応対がゆったりして、素早く用件を済ませられる気がしなかったことも理由の一つ。
帰りの列車を決めていたので、時間がもったいなかった。

そんなわけで地図もなく、人に聞きつつ、「この道を行けば大聖堂にたどり着ける」という道を歩んだ。

ふと脇の路地を見ると、なにやら魅力的な建物が。
なんとなくスルーできずに近づいて行った。


IMG_1806.jpg


近づいて、やっぱりこれはすごそう。
観光局はスキップしたけど、これはハズせない。


IMG_1807.jpg




そしてこの寄り道は吉と出た。
彫刻で埋め尽くされた建物。

正面にはsumptibvs erectvm comvnitatis anconaeの文字。
ウルビーノがVrbinoと書かれていたことから想像するに、vの字をuに置き換えて英語的に読むと、

Erected 建てられた、Communityコミュニティ、Anconaアンコーナ

というようなことが書かれていると推測される。

帰国後調べたところ、これはロッジャ・デイ・メルカンティという建物で、
宮下先生の前述著書にもしっかり掲載されていた。


P1600596.jpg


ロッジャ・デイ・メルカンティという名のとおり、もともと市場用に建てられたそうだが、
WIKIによると、改築などを経て、長年のうちに商工会議所のような使われ方をしてきた模様。

中央の騎馬像は、聖ゲオルギウスとのこと。

カルパッチョが好んで描いたこの聖ゲオルギウスの絵の中にアンコーナのシンボルである大聖堂が登場するものがあるそうだ。
それが縁で、ヴェネチアの画家の絵の中の登場人物が、ここアンコーナでよみがえったということらしい。
時空を超えた、洒落た演出だ。


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ゴシック教会のようなつくりだけれど、前出の本によると、ヴェネツィアのゴシック様式とのこと。
なるほど、大運河に沿って林立するヴェネツィアのパラッツォには、こんな建築様式が多々見られたのを思い出した。

中ほどの4つの人物像は、それぞれ
剛毅、節制、賢明、愛徳を表すそう。


IMG_1809.jpg



ただし、ヴェネツィアで見かけたカ・ドーロその他のパラッツォと比べると、こちらは木製の扉が豪華だった。

湿気によるダメージも考慮する必要はないわけだし、壁面の装飾性をそのままドアにも反映させている。

ドアの両側にはひげ面の人の顔(首から上のみ)。
この町では 教会の柱にも、こうした人の顔が貼り付いていた。
いずれも戸口のところだったから、なにか守護の意味合いでもあるのだろうか。

うーん、それにしても捻じれた柱が美しい。


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寄り道を終え、正道を再び行くと、何度か階段や坂を上らされた上で、やっと到着。大聖堂。

海を見下ろすロケーションがレアで、気分は最高。

子供たちが、入り口のライオン像にまたがって遊んでいた。

IMG_1904.jpg


中を見物し、輝く水面を眼下にしばし佇んだ後は、
ローマの遺跡、などという道しるべに沿って、ふらふらと彷徨。

円形競技場もあるし、

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更に進めばテルメ・ロマーネという看板もあり、テルマエ・ロマエそのままだ。

ローマ時代の温泉跡地。

IMG_1883.jpg


IMG_1882.jpg

IMG_1886.jpg


ローマ時代の遺跡、中世の見事な建造物、そして各国を結ぶフェリーが行き交う現代の開かれた港を演出する海があって。

アンコーナは、様々な顔で来る者を楽しませてくれる。

それぞれの時代で華やかに反映した痕跡はまた
激動の時代をしなやかに生き抜いてきた町の逞しさの証でもある。



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2014.06.10 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
ヴィリジェルモの彫刻に彩られたモデナの大聖堂。
例によって写真や図録の類は見ないようにしていたので、当日のお楽しみだった。

さて、どんなモチーフかな、と思って見れば、アダムとイブだ。
2人が禁断のリンゴを食べたがゆえに楽園を追放される”この彫刻”で、それは明らかだった。



P1590226.jpg



情けない2人の様子がよく出ていて、
15世紀にマザッチョが描いた「楽園追放」は、これを踏まえているのでは、と思うほど雰囲気と構図が似ている。
イヴが一歩先を行き、アダムが手で顔を覆う様子とか。
(但し、マザッチョの方は両手で覆い、こちらは葉っぱで隠しているため顔を覆うのは片手。)


まずアダムとイヴの浮彫は、向かって左右にある半円アーチの開口部上部にある。

P1590226.jpg




まずこちらがその1。(上記の楽園追放の場面は、”その2”のパネルの方)
4場面から構成されている。

P1590220a.jpg




最初は、2人の天使に支えられた神が、本を開いている場面。
生命は永遠なり、などと書かれているそうだ。(モデナ大聖堂の解説より。)

P1590220.jpg



次の浮彫は、私はパッと見た時に完全に誤解したのだけど、キリストの洗礼かと思った。

でもその隣の浮彫(イヴ誕生の図)を見て、アダムの創造の場面だと気が付いた。

アダムの頭に手を載せる創造主。
人間第一号が目覚める瞬間。

確かによく見ると右端にADA・・(ADAM)というのが読める。


P1590220b.jpg



お次は、一時期流行った一発芸の「幽体離脱」みたい!と思わせる構図。
寝ているアダムの肋骨からイヴが誕生するという有名なシーンだ。

望遠鏡で眺めながら、思わず笑みがこぼれた。
よっこらしょ、っと肋骨から”分化”して誕生したイヴが超写実的でありながらとってもお茶目。

それぞれの後ろに、EVA(イヴのこと)、ADAMという文字。

足元に鱗のように波打つ水が彫られ、水の起源も表されている。

P1590220c.jpg




これも見事。
禁断の果実をちょっとマヌケな表情でむしゃむしゃ食べるアダム。

蛇に誘惑されるイヴを表現するのに、蛇の口からリンゴを取り出すという手法をとっている。
(イヴがやたら男っぽいのはなんとかしてーと思うけど。)

誘惑に負け、堕落した瞬間をとらえた作品。
これを機に、神から見放される。

そしてこの瞬間 羞恥心が芽生えたことを表すためなのだろう、木の葉で恥ずかしい部分を隠している。
芸が細かいのだ。

P1590221.jpg




さて、右手に移ってその2。
こちらは3つの場面から構成。

P1590219g.jpg




最初は、創造主の前で一応反省のポーズをとる2人。
創造主は彼らを指さし、もう片方の手には、創世記3.8、、などと書かれた(但し読めたワケではない。モデナの解説によるとそういうことらしい)巻物を持つ。

悔恨の表情、というより、あれ?やっちゃったぁ、ボリボリ頭を掻きつつ、スっとぼけた顔だけど。


P1590225.jpg




入り口を守る智天使に剣で威嚇され、2人は泣きながら楽園から追放される。
(さきほどの浮彫)

つくづく、これは見た瞬間にそれとわかる。楽園追放以外の何物でもない。
天使の羽が丁寧且つ繊細に彫られている。


P1590226.jpg




最後のシーン。
木を植え耕す2人。
贖罪のために、労働が課せられたのだ。

キリストっぽいアダム。

更に、何か変だな、と違和感を感じてその理由を考えてみれば、
羞恥心を知った2人は、ここで衣服をまとっているのだ。

前の彫刻と違い足の指が彫られていないので、靴まで履いている。


P1590227.jpg




2枚の浮彫を崇めながら、しばし陶然。
創世期のストーリーを完璧に細部まで掬い取っている。
表現方法は素朴で洗練されてはいないけれど、感性は研ぎ澄まされている。

たった2つのパネルを見るだけでも、ワクワク楽しめて、それなりに時間もかかる。
毎日眺められるモデナの人たちが羨ましい。



* * * * *

◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.06.08 Sun | Travel-Italy| 0 track backs,
2014年版ナイスなランチ:いろいろなパスタが楽しめるので(イルチッチォーネ・神泉)
かつて隣の職場にいた仲間とBunkamuraの美術展を見る際に探しあてたのがこのお店。
神泉駅にほど近い、イタリアンのイルチッチォーネ。

Bunkamuraは渋谷駅からどのみち歩くので、神泉駅で降りて3分のこの店でランチして、
そこから徒歩10分のBunkamuraへGo!という案を練ったわけだ。

残念ながらその日は貸切でNGだったけれど、後日Bunkamura方面に用事の際に決行。

休日の1500円ランチは以下の通り:

前菜:
IMG_3147.jpg

パン:
IMG_3150.jpg

私が注文したメインのパスタ。
エンドウと牛肉に、塩気の中にも甘みがほんのりついたソースがからまって美味。
IMG_3170.jpg

デザート:
IMG_3174.jpg


近所の人たちに愛されているお店といった感じ。

これまで2度来店し、メインのメニューがコロコロ変わっていた。
その際食べたイカスミパスタも絶妙だった。


小ぶりで感じのいいお店だし、バリエーションが楽しめるから、神泉駅付近に寄りつくときは、また来訪したい。

とくに平日ランチはお得のようだ。



【平日ランチ】
Aランチ
温野菜・本日のパスタ・フォカッチャ・お飲み物 ¥1,000
Bランチ
温野菜・本日のパスタ・本日のメイン・フォカッチャ・ジェラート・お飲み物 ¥1,800
Cランチ
食前酒・お前菜3種盛り合わせ・本日のパスタ・本日のメイン
フォカッチャ・本日のドルチェ・お飲み物 ¥2,600

【休日ランチ】
Aランチ
お前菜3種盛り合わせ・本日のパスタ・フォカッチャ・本日のドルチェ・お飲み物 ¥1,500
Bランチ
お前菜5種盛り合わせ・本日のパスタ・本日のメイン
フォカッチャ・本日のドルチェ・お飲み物 ¥2,500
Cランチ
食前酒・お前菜5種盛り合わせ・本日のパスタ・本日のメイン2種類
フォカッチャ・本日のドルチェ・お飲み物 ¥3,500

http://il-ciccione.jp/
http://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13052884/
2014.06.08 Sun | Gourmet| 0 track backs,
ウルビーノの城門に上る
ウルビーノ観光を終え、バス停へ向かっていたら、
城門の上になにやらうごめくものが。


P1580816.jpg


人の姿だ。

P1580815.jpg


携帯片手に喋りながら、城門の上をうろうろしてる。

P1580815a.jpg


登れるの?
見れば、坂を上っていくと、ジグザグに上へ、上へと道がつながっていて、
門の方へ回り込めるようになっていた。


P1580818.jpg


バスの時間までまだ少々ある。
せっせと登っていく。
そして、上から大通りを眺めてみる。

P1580823_201406070921494ad.jpg


来た時、はるか真上に見上げた町を守護する鷲の彫刻も、
こんな間近だ。

P1580826.jpg


大通りを背にして右手には民家の軒が眼前に迫る。

P1580828.jpg


洗濯を干しているおじいさん。
歴史の中に息づく現代の普通の暮らし。

P1580824.jpg


降りて門の正面へ。
そびえる鷲を確認し、ウルビーノに別れを告げた。

P1580839.jpg



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◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
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・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
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・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
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・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
2014.06.07 Sat | Travel-Italy| 0 track backs,
進化したイタリアの列車(及び列車のトイレ)
アンコーナからの帰り、早く駅に到着してしまい、1時間待ちになってしまった。

駅まで遠いのと、地図を持参していなかったので迷う事を考えて早目に街を後にした上に、
帰り道は下りで走ったために、大幅時間短縮となったのだ。

駅前はなにもなく、時間潰しは辛そう。
時刻表とにらめっこをして、アンコーナ→リミニの直通列車に乗る代わりに、

アンコーナ→ペーザロ(終点)
ペーザロ→リミニ(アンコーナからくる分)

の列車に乗って、ペーザロの町をぶらつくことにした。
リミニ到着時刻は一緒。

特急は使わないので買った切符はそのまま使用可能。

この予定変更のおかげで、大きな収穫があった。
--- 列車だ。

ペーザロ止まりの列車は、最新型だった。
限定的にしか使用されていないらしく、5泊6日の滞在中、このタイプに遭遇したのはこれ一回きり。

まず、頭上にモニターがぶらさがっていて、次の駅に近づくと、駅名が大きく表示される(下の写真):

IMG_1935.jpg


さらに、今どこにいるか、駅まであとどのぐらいかがわかる地図が出る。
現在地のマークの位置は電車の進行とともに刻々と変わっていく。
地理に慣れるのに便利。
降車駅を逃さないよう、1つ2つ前の駅名を覚えておく必要もない。

IMG_1941.jpg


駅に到着すると、接続列車が表示される。
行先、時間とプラットフォーム番号が出て、まあ至れり尽くせり。

IMG_1939.jpg


いやあイタリア、進化してる。
まるで(常磐線の)スーパーひたちに乗っている気分。

その後乗り換えたリミニ行の列車は相変わらずボロボロだったけど。

P1600623.jpg


しかもトイレがさらにすごい。
電車の中じゃないみたい。
広い多機能トイレだ。

P1600624.jpg


ちょっと注意すべきは、「閉」を表す「><」のボタンを押すだけでは閉まらない。
そのうえで、下の赤いレバーを移動させないとロックされない。

日本では「閉」ボタンを押すことイコールロックなので、つい忘れそう。

P1600626.jpg


洗面台もキレイ。

P1600625.jpg


石鹸は手動だけど、水と乾燥はセンサーで自動になっている。

P1600627.jpg


最新型電車というだけでトイレの写真まで撮ったりして、この喜びようは一体どういうことか?

よく考えれば、それまでボロボロの列車が続いた。
そのあとのコレだからこそ、喜びもひとしおだった、そんな気がする。
2014.06.06 Fri | Travel-Italy| 0 track backs,
サンマリノ共和国・眺める人々
標高が高いサンマリノ共和国では、人はとにかく下を見る。

砦の上から、はたまた砦に向かう途中の道で、
足元に広がる下界の景色に思わず見入ってしまう。

しばし立ち止まって眺めていた2人組は、

P1590537.jpg


それでも飽き足らずに、とうとう塀の上に上って見物開始。

P1590536.jpg


「ほら、見てごらん」と子供を促す親がいて、

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「あ、あそこ、あそこ」となにやら指さす人もいて。

P1590695a.jpg


断崖絶壁のその下を見てみれば、

P1590681.jpg


緑豊かな大地が広がって、
町中のあちこちが絶景ポイント、そんな感じがするのだった。

P1590826.jpg




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2014.06.05 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
昨日書いたサンマリノのグアイタの砦には、以前のまま残されている部屋があった。

落書きがほどこされていて、はてなんだろう?と思いきや
18世紀から1970年台まで刑務所として使用されていたという。

もっとも半年以下の刑期限定で、それを上回る場合はイタリア国内の監獄に移されたそう。

それほど凶悪犯が入れられていたわけではないのだろうか、この監獄、
おどろおどろしさはあまりない。

壁に書かれた落書きも、どこか牧歌的。


P1590749.jpg

P1590750.jpg

P1590718_20140604085200742.jpg


文字も書かれていたりする。
buoni uominiなどの文字が見える。

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全体はこんな感じ。

P1590726.jpg



ドアはくりぬかれた小窓があって、これを開けて収監された罪人を見張っていた模様。
この窓をあけて中を見ている人がいて、私も真似してみた。

P1590742.jpg


と、ある記憶が蘇った。
パリのコンシェルジェリー。
マリー・アントワネットが収監された場所。
あそこの監獄の扉にも、こうした監視用の小窓があった。

もっとも、あちらの部屋はタピスリーなどもあり、もう少し豪華だったけれど。



====<比較>=====

パリ・コンシェルジェリーのアントワネット独房(去年の旅行から);

こうやって、監視員が背後に立ってじかに見張ることもできるのだけど、

P1210456.jpg


脇のドアにはこうして小窓があって、それを押し開くとー

P1210469.jpg


こんな感じで中がこっそり見れるのだった。

P1210470.jpg



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2014.06.04 Wed | Travel-Italy| 0 track backs,
サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
リミニの駅前からはサンマリノ共和国行バスが出ていて、アクセスは実に簡単。

2014年6月7日まで有効の時刻がバス停に明記されていた。
往復切符はバス停前で机を出しているおばちゃんから当日購入。
片道4.5ユーロで(2014年5月時点)。

私の時は1台で収まり切れず、2台が繰り出されるという盛況ぶり。


P1580918.jpg


サンマリノには一体何があるのか?

リミニ宿泊先にありきで、後付けでアクセスのいい観光地を決めたので、
余りよく知らなかった。

ただ、3つの砦が国の象徴で、これらを訪れるのが普通の観光ルートのよう。


では出発。

バスはどんどん高台に向かって走って行き、高地にあることはわかった。

さらに、終点に到着した後も、てくてくてくてく徒歩で上りは続く。
まずは1つ目の砦「グアイタ」にたどり着き、内部見物しようと思ったが、
30分後に予定されていた衛兵交代を見逃したくなかった。

30分で砦見物を終えることは可能なのか、窓口の人に聞くと、
「周囲の景色をどの程度堪能するか次第ね。30分で見終えられないことはないわよ」と。

ということは、のんびり見物するとそれ以上はかかるということ。
せっかくなら、時間に追われずゆっくり見たい。

それなら先に2つ目と3つ目の塔を制覇してしまおうと思い立つ。
窓口の人には、「見物は後にします(ドーポ)」と言って、2つ目の塔を目指す。


が、これが、かなり大変。
登り道下り道を突っ走って離れた2つの塔を巡り、30分以内で帰ってこなければならない。


まず最初の目的地は2つ目の砦「チェスタ」。
1つ目の塔から仰ぎ見る。
あれに向かって突進する。

P1590686.jpg


ぜいぜいしながら到着し、ぐるりと周囲を見物。
内部で武器見学もできるようだが、武器博物館はいやというほど去年見たのでパスでいい。

P1590549.jpg


3つ目の砦「モンターレ」は、小ぶりで、内部見学はできない。
ここまでくると人通りも少ない。

P1590571.jpg


この場所から見る2つ目の砦「チェスタ」も絶景。

P1590564.jpg


さてここからは広場へは戻らねばならない。
走って走って、なんとかギリギリ間に合った。
ぜいぜい方で肩で息をしながら、目的達成した自分に酔いしれつつ衛兵交代を見物。

その話はまた後日として、衛兵交代終了後、いよいよ内部見物のために最初の砦「グアイタ」へと戻る。
窓口の女性2人が、「戻ってきたわね」とニコニコ迎えてくれる。

P1590682.jpg


見れば入場チケットが、なんとも素敵。

チケットの上には、この絵の出展が書かれている。
E・レトローズィという画家が描いたサンマリノの絵(後で調べたらフレスコ画だった)の一部だとのこと。

P1590677.jpg



なお、帰国後に知ったのだが、日本でもまさにこの図柄がサンマリノの記念切手(80円)として採用されていた:
http://postcard-stamp.blogspot.jp/2010/03/no5.html


砦の中は展示がいくつかあるけれど、それほど展示室がいろいろあるわけではない。
展示物だけなら結構あっさりと見終わってしまう。

ということで必然的に展示パネルをじっくり読むこととなる。
結果、こんなもの(展示パネル)を見つけてしまった。

P1590714.jpg


日本のお城のように積まれた石でできたこの砦の何か所かに、
署名を記した石があるそうだ。

まるで江戸城のよう。
江戸城の場合は石を寄付した大名家の署名などが書かれたそうで、
再建時の石の交換のため今は余り残っていないが、よく見ると石の表面に掘られたものがあるまだいくつか残っている。

私はそれをひとつだけ皇居東御苑で見つけたことがある。

ならばサンマリノでも!
上記のパネルの署名入りの石のロケーションが書かれている。


さっそく矢印で大ざっぱに示された地点に向かう。

ひとつ目は比較的低い壁にはめられていたため、なんとか見つけられた。
「マスター・ジャコモ ダ」とか書かれているようだ。

P1590790.jpg


石さがしに成功し、意気揚々と外に出た。

気が付けば砦見物の所要時間は45分。
よかった、たっぷり時間をとっておいて。


が、署名入り石探しはまだ終わっていない。
次は砦の外壁にある署名入り石さがし。

先に見た展示パネルでは大体このあたりにあるはずだったが、
アバウトな図だったので、具体的な場所はわからない。
この途方もない無数の岩石の中から文字が彫られた石を探さねばならない。

そびえたっているので、高所はよく見えない。これはかなり手ごわかった。
あった!と思ったらゴミの付着だったりして。

P1590804.jpg



が、望遠鏡のおかげでやっと見つけることができた。かなり高所にあった。
わーい!
その時の喜びといったら。
1622年という年号などが書かれている模様。


P1590810.jpg


はるか離れたサンマリノの国で、石を相手に格闘するとは思いもしなかった。
さらに、これだけのことでこんなに楽しめてしまった自分にもちょっと呆れてしまった。



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2014.06.03 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
「SHIBUYAルネッサンス」のお練り
華のある役者さんたちが、渋谷の大通りを人力車で行進。
昨日の「SHIBUYA ルネッサンス」渋谷・コクーン歌舞伎のお練りはきらびやかだった。

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まずは、神泉駅そばでランチをして駆けつけた「SHIBUYAルネッサンス」見物。

文化村通りのどこがメイン会場かよくわからず、109へ行こうかと思ったが、
ランチの場所から近かったので、まずはBunkamura/東急本店の方に行ってみた。

時間は1:45。
2時から東急本店前のステージに豪華役者さんが揃うという。
場所はここで、たまたまピッタリだった。

やがてステージに登場したのは中村勘九郎さん、中村七之助さん、尾上松也さん、片岡亀蔵さん、笹野高史さん、串田和美(登場順)。

IMG_3195.jpg


口上では、途中で、「えっへん」「えっへん」と発しながら、
合間にひとりずつ紹介していく。

この「えっへん」、会場が騒がしかったから、お静かに、という意味なのかと思ったが、そうでもなく
慣習的なもののよう。


IMG_3245.jpg


赤い帽子・うちわの笹野さん、目立ち方で若衆たちに負けていない。
もちろん人気度でも。

P1610132.jpg


数年前に前田愛さんと結婚された中村勘九郎さん。

役者顔だなぁ、と思わず凝視した私。
眉をはじめ、お顔全体がキリリとしてる。

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弟の七之助さん、は優男。
美しい・・・

P1610118.jpg


笹野さんの存在感再び。

P1610121.jpg


その後それぞれ人力車でお練りが開始。
勘九郎さんが先頭。

IMG_3315.jpg


3番目には松也さん。妖しいオーラを発散しつつ。

IMG_3332.jpg


笹野さん、ファンと握手!

IMG_3356.jpg


炎天下の中、文化村通りを練っていく。
ゆるりゆるりと前進し、ときおり立ち止まるなどして、見た目以上に苦行ではなかったか。

公称33度のこの日、アスファルトの照り返しで35度はあったはず。
それでもみなさん表情豊か。

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七之助さんの手に注目。
携帯ビデオで、ときおり周囲の様子を撮影してらした。

P1610191.jpg


神輿。

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芸者衆のお練り。

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ゆったりと動くので、一通り見たあと、前方に駆け寄って再び拝見。

七之助さん。
やわらかい物腰。

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あちこちから、
「よっ、xx屋」と掛け声。
知らないと発せられない。
通の人が結構駆けつけているのがわかる。

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魅惑的な笑顔を浮かべつつ松也さん。

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「応援してくれるなら、もっと大きな声で!」
と沿道のファンたちに声をかけていた笹野さん。

彼だけを見て帰っていく若いギャルもいた。
「校長先生だ!」と駆け寄る女子も。
大人気です。

P1610348.jpg


熱気に包まれっぱなしの渋谷大通りなのだった。
2014.06.02 Mon | 国内探索| 0 track backs,
ちょっとした偶然
私がイタリアでロードレース「ジロ」を見た丁度その同じ日に、
観光がてら別の地点で見ていた人がいた。

以前からメールを何度か頂いたことがある方で、こんな偶然もあるのかと。

ロードレースの頁にエントリーしたとおり、
同じ日のレースとはいえ、片やスタート地点と、片や私はTV中継も始まらない途中ののんびりした街、と
観戦ポイントが異なるので、目にした光景も随分違う。

2014.06.01 Sun | Cyclde Road Race| 0 track backs,
沢木耕太郎さんの『テロルの決算』
1979年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した近藤紘一さんの『サイゴンから来た妻と娘』を先日読んだので、


サイゴンから来た妻と娘 (文春文庫 こ 8-1)サイゴンから来た妻と娘 (文春文庫 こ 8-1)
(1981/07/25)
近藤 紘一

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同年に同賞を受賞した沢木耕太郎さんの『テロルの決算』も読んでみた。

安保闘争、右翼左翼の衝突、思想を異にするものを抹殺すること、
それらが馴染んでいた時代に起こった暗殺事件を軸に描かれたノンフィクション。


テロルの決算 (文春文庫)テロルの決算 (文春文庫)
(2008/11/07)
沢木 耕太郎

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共有したことのない、更には人生において自分がこの先共有するとも思えない思想の塊に取り憑かれるという感覚は圧巻で、
読み応えがあった。

綿密な取材に基づいた中心人物描写の上で、右とか左とか、政治・政党に対する大衆の心の流れを理路整然と追っている。

ただ、実際あの只中にいた人たちが、当時そこまで明瞭に理屈づけて
政局の流れを細やかに追いつつ行動していたのかどうか。


今の世では信じられないような精神の爆発力を読むにつけ、
盲目的に潮流に流されつつ、熱に浮かされ、ひたすら集団のパワーに突き動かされただけ、
そんなぐちゃぐちゃな混乱を感じずにはいられない。


思考回路が多様化したせいなのか、社会が以前より開放され、集団をつなげた接着剤が薄れたせいなのか、
この先、2度とこんな時代がくるとは思えない。
もっとも、案外ツイッターなどで扇動され、大きな思想の塊が再度生み出されないとは限らないけれど
それがこれほどまでに政治色を帯びることはないのでは。

+++

なお、この暗殺事件の瞬間を激写した、毎日新聞社のカメラマン長尾靖氏は
本写真で日本人初のピューリッツァー賞受賞者となった。
当該写真は、下の本の表紙に使用されている。


山口二矢(おとや)供述調書―社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件山口二矢(おとや)供述調書―社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件
(2010/11)
山口二矢顕彰会

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そうそう、かつて元都知事の方も、この大宅壮一ノンフィクション賞を受賞していたのね。
読むつもりはないけど。
2014.06.01 Sun | Books| 0 track backs,
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