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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
東京都美術館『世紀の日本画』インプレ
東京都美術館で開催中の『世紀の日本画』(全体情報後述)は、
前期・後期総入れ替えという珍しいスタイル。

前期を2月末に見た後、後期展示にのぞんだ。

「屈原」、「無我」、「コーちゃん」、「径」などリアルで馴染みのある名作もあったけれど、
初見の作品が大多数だった。

現代画家の作品も多々あり、存命の作家の絵のキャプションは
作者自身の言葉によるもの。

ただ、特定の画家の特別展ではなくこれはテーマ展。
出品点数は画家毎1-2枚のため
ひとりのアーティストの言葉の変化や思い入れを時系列・作品毎に辿れるわけでない。

”この絵を描いた背景”といった内容に終始せざるを得ず
画家の軌跡をたどるには至らないのは致し方あるまい。


いつまでも見ていたい、と思ったのは
うつろいゆく季節を描いた岩橋英遠の「道産子追憶之巻」。

冬に始まり冬で終わる。
冬は夜、春は朝、夏は昼、秋は夕の景色がそこにある。
1日の移り変わりを北海道の美しい四季の変化と重ね合わせた風景が、29mもの絵巻で表されている。

冬から春へと移行するとき、裸の木々が少しずつ葉を身にまとい、
やがて雨降りの梅雨時。
空には虹。
トンボが群れを成して画面を覆い尽くす秋。
夕陽の赤さが印象的。
季節は戻り、雪景色の中につくられた鎌倉の団欒で、四季が一巡する。
日本の美しさを再発見しつつ、なごむひととき。

贅沢に壁3面を使った圧巻の体験。
私自身、小学生時代に北海道に住んだこともあり、郷愁の念にかられつつ長いことその場に佇んだ。


片岡球子の「面構(歌川国芳)」は、大画面いっぱいいっぱいに大胆に描かれ、なんとも痛快。
浮世絵師の国芳が、自らの作品に登場する女と対峙する。

にしてもこの既視感は?
そうか、大江戸線の築地駅!

コンコースに、「国貞改め三代目豊国」の壁画があるのだ。

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「浮世絵師勝川春章」とともに。

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ちゃんと解説も。(写真は数年前、珍しさにかられ撮ったもの)

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南北線の東大前駅にラファエロの「アテナイの学堂」壁画(ちょっとなんちゃって気味)があるように、
築地には浮世絵師というわけだ。

なお、今回の展覧会のテーマは”日本美術院100年特別展”なので、浮世絵そのものは範疇にない。
岡倉天心、及びそのコラボレーターたちを起点に、そこから先の日本美術の流れを辿ることになる。


国立近代美術館の年間パスを買うなどして私自身、比較的近代の日本画には親しんできたつもりだったけれど、
今回の展示は「名作」「大正期」「歴史・信仰」、「花鳥、命」、「風景」、「幻想」、「人」
などテーマ別に分けているところが新鮮だった。

特に、「信仰」というテーマが日本画の流れのひとつとして存在していることに気が付いた。

聖書を土台にしているわけではないので、それは海外の宗教画ともやや異なっており、
神や仏の姿を描く場合が多い印象。

洋画に見る受胎告知、最後の晩餐といった繰り返し描かれる聖書のストーリーがあるわけではないけれど、
中国の故事からとったものがそれに近いかもしれない。

例えば、許由が耳を洗う図などに、宗教画的な志向を感じる。(今回の展示にはこの画題はなかったけど。)


その他ー
しっとりした闇夜の奥に消える人影にロマンを感じる近藤浩一路の「十三夜」、
おおらかな笑いに思わずつられてしまう平櫛田中の「禾山笑」、
アールヌーボーのようなモダンなタッチでむせかえるような花々が描かれた木村武山の「小春」、
労働するインド人女性のストイックさに打たれた倉島重友の「川風」、、、など惹かれる絵も多く、
日本画(彫刻)の奥深さを感じさせる展覧会だった。

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展覧会情報:

東京都美術館
日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』
2014年1月25日(土) ~ 4月1日(火)
URL: http://www.tobikan.jp/exhibition/h25_inten.html

休室日:月曜日
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室は毎週金曜日: 9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
2014.03.02 Sun | Art| 0 track backs,
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