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「テート美術館の至宝 ラファエル前派展」に見る壁の色
先日、森アーツセンターギャラリーで開催中の「テート美術館の至宝 ラファエル前派展」展覧会&特別展示映像作品鑑賞会に参加した。

ラファエル前派の絵は、以前イギリス留学中に強い思い入れをもって幾度となく鑑賞してきたので、
今回は久々の再会、という位置づけ。

なにしろおととし五輪の際に満を持して再訪したテート美術館は超ガッカリだった。
整理中だったのか、ラファエル前派の絵は、1室に鍵って雑然と並べられ、ロセッティの絵は2点のみ。
留学中あがめつづけた「ベアタベアトリクス」は出ていなかった。

「オフェーリア」にいたってはどこにあるのか気づかないぐらい、
3段にせせこましく掛けられた絵の下方にひっそりと押し込められていた。

それがまさか日本でリベンジができるとは。


さて、美術館に入り驚いたのは、見せ方の工夫。

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ウィリアム・ホルマン・ハント《良心の目覚め》(右)のように、女性の意思を描いた絵には赤い壁。

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繊細なブルーがなんとも麗しく見とれてしまったト《4月の恋》は、薄い青色。
(額には、「April Love」の文字。)

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カラフルだけど抑えめの色なので、壁が自己主張している感じではなかった。

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1室の中に、違う壁の色が組み合わされるケースも。

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以前府中美術館館長さんのトークでも聞いた、ラファエル前派のドロドロの人間関係は
パネルにすっきりとまとめられていた。

三角関係あり、手のひら返しあり、愛人の存在に乱れる心あり、寝取られるケースあり・・・
珠玉のロマン溢れる作品たちは、そうした愛憎劇の賜物?

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新発見もあった。
宗教画という切り口。

釘で手に怪我をしてマリアにほおずりするイエスを中央に据えた
ジョン・エヴァレット・ミレイの《両親の家のキリスト》。

手のひらの血痕は、まるで聖痕のよう。
足元にも血が滴っていて、磔刑という末路を予感させる。

マリアは多くのピエタで見るような若々しさでなく、お母さん相応の年齢=おばさん。
父ヨセフは大工という設定なので、この絵は聖書のまま、、、なのに、
このリアリティ。

当時批判があったのもうなずける。

美術館用でなく教会用に描かれたかのような形が印象的で、
しっかり固定するために台の上に立てかけられていた。
この壁の色も、絵とマッチしていた。

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そして後半、劇的な再会。

偶然英国留学直前にこの絵のことを新聞の美術欄で知り、
来る日も来る日も夢中になってテートでかぶりつきで見続けた《ベアタベアトリクス》(右から3番目)。

精神を病み、阿片におぼれ果てたロセッティの妻を描いたもの。

はかなさと悲壮感を漂わせた妻シダルが、、
夕陽を浴びたかのごとく赤い縁取りに彩られている。
まるで最後の命が燃え尽きるよう。

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そのほか、ウィリアム・モーリスの絵の下手さ加減が露呈した、と府中市美術館館長さんが言っていた絵
《麗しのイズー》もあった。

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カチカチの強張った表現法といい、陰影をつけるために汚れたような黒を多用しているところなど、
なるほど、これは”麗し”とは程遠い。

でも、壁紙など、モーリスのテキスタイルの原型が絵の中に見て取れる。

また、ラファエル前派の絵には、床や地面にいろいろころがっているものが多い、
ということも新たな発見だった?!


最後に、印象に残った絵の中の人物:

《釈放令、1746年》の妻。
看守と共謀してなにか企んでいるのか?と勘ぐったほど、
妻が毅然としていて(夫の釈放令をすくっと差し出しているところ)
夫へのブレない・潔い愛を感じたのだった。

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2014.02.25 Tue | Art| 0 track backs,
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