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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
水中カメラマン中村征夫さんの写真がスゴかった
日本橋三越デパートの『生命あふれる不思議の世界 海への旅 中村征夫写真展』が、圧巻だった。

海の生き物たちをとらえた写真総数200点。

見たこともない海の神秘さは、想像の域を超えている。
魚と1対1で向き合った写真も多々。
中村さんと魚との、かすかな呼吸の呼応が伝わって来るかのよう。

海の底にある闇にある世界はまるで宇宙そのもの。
今回ポスターが如実に表しているように。

nakamura.jpeg



人間のおごりを一切排した動物に対する敬意、生き物と同化し、謙虚に彼らから学ぼうとする姿勢、
そしてなによりも、宇宙を包み込むような大きな愛情を、ひしひしと感じた。

自分は魚の世界の闖入者である、ということを常に自覚し、
なるべくその世界をかき乱すことなく、そっと魚たちに寄り添おうとしているからこそ撮ることができる
世界がそこにある。

動物の写真を撮り続けた星野道夫さんと、相通じるものがある、そう思った。


それぞれの作品に添えられたキャプションの内容は、ユーモアに富み、ヒューマニズムが感じられ、
中村征夫さんというカメラマンの温かい人柄が、伝わってくる。

更に日曜のトークショーでたっぷりしゃべってくださった内容を聞き、
やっぱり、と自分の勘が、的外れでなかったことを再認識した次第。


以下、トークから、中村征夫さんのちょっとイイ話 ~~~~~~~

例えば、魚の営みも、人間の生活も変わらない、ということを人々に示したくて、
産卵期の魚の交接シーンを撮るため30年もの間腐心した。

ところが、苦心の果てに、NHKの番組『プロフェッショナル』用の撮影時に、
やっとオスとメスが接近したシーンをとらえた瞬間、中村さんは気が付いた。

このあとふたり(と言って、2匹、と言い換えていた)には、死しかない。
新しい生命をクリエートして、役目は終わったのだ。

あとは死しか残っていない魚を躍起になって撮ることは、
人間の傲慢でしかない、そう反省し、その場を後にしたそうだ。

30年間必死であのシーンを追い求めたものの、闖入者たる自分のエネルギーが強すぎた、
と己を恥じたという。


残念ながら、このいいお話は、NHKの編集により、番組ではカットされてしまった、と
苦笑されていた。


また、サンゴを食べるオニヒトデは悪者になりがちだが、
食する対象には一定の法則があり、
それでサンゴ界の均衡も保たれている。
自然界に無駄はない、とつくづく感じるという。


魚の気持ちに寄り添う人柄は、こんな話からも垣間見れるー

自然界の過当競争は、半端ではないという。
30年以上海に潜ってきて、一度も魚の死骸を見たことがないと言う。
それは、魚は弱った途端に食べ尽くされるからに他ならない。
それを考えると、餌を追い求めつつも、空腹を抱えたままねぐらに戻って来る魚も大いに違いなく、
人間世界だけが今日より明日、明日よりあさって、とどんどん恩恵をうけるのはどこかおかしい。
人間の貪欲さに、どこか歯止めをかけるべき、とも。


自然を美しいと思える気持ちが人間の良さであり、美しいところ。
不平ばかり言っている人は、人生のチャンスを失っている。
自分は、人のいいところを見て、
なにかしら学ぼうとしている。

感性とは、なにかしら(ポジティブな)テーマをもって、
感動する気持ちを持ち続けることから生まれる。

例えば朝起きて、今日のテーマは「ラブ」と決める。
そうすると、地面に倒れかかった2台の放置自転車ですら、
どことなく片寄せあってむつまじいものに見えてくる。

テーマをもつこと、それが大事。。。

~~~~~~


学ぶところが多い展覧会+トークショーだった。

WIKIを拝見する限り、半端なく苦労された方のようなのに、懐が深く、会場中を暖かさで包んでしまう。


つくづく思ったー

偉大な写真家にしか撮れないものがある。
人格者、と見た瞬間思わせる作品。

写真は決して平たい事実だけを写し出すわけでない。
対象物には、撮影者の人柄が必ず現れる。
それに寄り添うからこそ見せる表情がある。
生物だけではなく、雨や岩といった物質ですら。。。

三越のギャラリー、年末から、なかなかいい企画展をやっている。
侮れない。


さて、この週末は延べ5つの展覧会を見に行き、今年見た展覧会は計13個。
正月の休暇があったので、これまではハイペース。


そうそう、写真展の前には、B1Fのハロッズで、アフタヌーンティー。

ひとり分よりも二人分だとちょっぴりお得となり、
ふたりで4100円。
サンドイッチがスモークサーモンだったのが嬉しい。


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2014.01.19 Sun | Art| 0 track backs,
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