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國學院大學博物館「祭礼絵巻にみる日本のこころ」
東京大学に、東京大学総合研究博物館なるものがあるのを知ったのはつい最近。
ガイコツや化石のオンパレードに唸った。

そして、國學院大學にも博物館があることを知ったのは、これまたごく最近。
しかも立派な展示ぶりで、これが侮れない。

どちらも無料という親切ぶり。


國學院大學博物館は時折企画展をしているとのことで、これは是非その都度訪れたいものだと思った次第。

今回の企画展は、「祭礼絵巻にみる日本のこころ」。


中でもナマ日本書紀があるということで、
そんな貴重なものがあまり知られず埋もれている事実に驚く。

※以下の写真はすべて、主催者の許可を得て撮影したものです。

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とはいえ全部の所有ではなく、三嶋大社と当大学が半々で所有するとのこと。

なんとも恐れ多い。
このような難解な書を解読することで、当時の風物が明らかになっていく。
読み解くことができれば、時代の情報満載に違いなく、その苦労の結果を
我々は享受することができる。


そのほか、時代は後のものながら、「賀茂註進雑記」など
祭礼や由緒などを丹念な筆で集成した記録も。

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こうした書による祭礼の記録のみなならず、
絵巻による祭礼の図も多々あり、やはりビジュアルでとっつきやすいのはこちらの方。

これなど動きがあってなかなか軽妙で楽し気。

災いをなくし福をもたらす神への祈願である祭礼がこんな楽し気なのは少々違和感があるが、それには理由がある。


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岩窟に籠り、世界を闇に閉ざした天照大神に、外に出てきて下さいーと
呼びかけた天石窟戸の祭礼などの場合、演芸でどんちゃん騒ぎをして神の気を引き、
外に呼び出すことで、闇の解除を願ったとの由。
なるほどやけに神妙なだけが祭礼ではないと気づく。


解説によると、これらの絵巻には脱落、あるいは逆に追加されているものなどがあるとのこと。


例えば祇園御霊会の神輿行列を描いた「年中行事絵巻」。
描かれている神輿が三基中一基のみであり、一部の描写は略されているとのこと。

「略されている」という指摘が出ることからも、この絵の性格が、
記録画であることが明らかになる。

単なる芸術の意味合いだけで描かれた絵ならば、正確・不正確は問われないはずだから。

たとえば農民の踊りや婚礼の様子を描いたブリューゲルの絵を見て、
脱落を指摘する人はいないだろう。


絵巻の背景を聞いて納得。

例えば、この「年中行事絵巻」の絵巻は、後白河院が宮中行事の図示を命令したことからできた絵巻だそうだ。
記録画という意味合いだったことから微細に描かれており、画家たちにとって、腕を磨くいい機会になったことだろう。


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下は「日光祭礼絵巻」。
これまたすべてが描かれているわけではない由。

行列の前後と中間の一部を欠く、とか、参加者もすべては描かれていない、
などの指摘がある。


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また逆に、当時行われていなかった行事が追加されていることもあるのだという。
行われなくなった祭事手法を後世にとどめようとして、意図的に挿入されたそうで、
そんなある種の「細工」までもが研究によりつまびらかになっている。


賀茂の祭を描いた「賀茂祭草子」など、お偉いさんが桟敷の上から見物している姿もとどめられていて、
単に行事の内容のみならず、当時の社会構造なども見て取れる。

文学にも祭礼の様子は描かれており、賀茂の祭の様子などは、源氏物語にも残されているそう。


そのほか、貴族の日記から、祭礼の様子がわかるというのも興味深い。
日本の文学において、日記が重要な役割を果たしていることを改めて感じる。


いろいろ刺激をいただいて、深謝。國學院大學博物館。


國學院大學博物館
祭礼絵巻にみる日本のこころ
 ―國學院大學学びへの誘い―(渋谷)
(平成25年7月13日(土)~27日(土) ※7月21日(日)休館)



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2013.07.16 Tue | Art| 0 track backs,
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