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生誕100年 髙山辰雄・奥田元宋-文展から日展へ- 関連講演会 「胸中山水・奥田元宋の赤」
生誕100年 髙山辰雄・奥田元宋-文展から日展へ- 関連講演会、奥田 小由女氏(人形作家・日本芸術院会員 奥田元宋夫人)によるトークショー 「胸中山水・奥田元宋の赤」を拝聴した。

奥田元宋氏の絵にまつわる数々のお話。

先日参加した故星野道夫さんの奥さまによる講演会もそうだったけど、芸術家の配偶者、つまり最大の理解者である人の講演は、批評家によるそれよりも、愛情や尊敬というエッセンスが加わる分だけ、心が動かされる。

今日のトークも、画家奥田元宋氏という人が、奥様だからこその逸話も交えて語られ、すがすがしさと温かさに満ちていた。

興味深い話も多々:

★ 高山元宋氏は、当初人物画家だったが、空襲で絵をほとんど失い、風景画家に転身した
★ ボナールが好きで、色彩に影響がうかがわれる。ちなみに高山辰雄氏は、ゴーギャン派
★ 雨や日本独特の湿度を重視した作品を描いた時期も
★ 大下図をつくるのが嫌い。印象が消える前に、ぶっつけで描く
★ 米国でのスケッチは1作品しか絵として結実しなかったが、その1作を所有するのは外務省(米国大使館とか?)
★ 宮内庁の依頼でめしうどを引き受け、歌を一首天皇に献上
★ 銀閣寺の襖絵を描いた。


~ 大空襲で焼けた消失し、人物画から風景画へ ~

奥田氏は、S13年、「盲女と花」で新文展特選した。(ほかに3人、橋本明治、秋野不矩、森戸果香)

もともとこの作品のように人物画を描いたが、戦争で池袋から広島へ持ち出すとき、大空襲にあい、すべて失った。
「盲女と花」だけは、京都美術館にあり消失を免れた。
本人は、命からがら広島へ。
人物画が描けなくなった中、失意のうちにも疎開先の自然の美しさにひかれ、以降風景画へ移行。

ボナールを好み、松戸に移り住んでからの作品(花畑)にはボナールの色彩の影響が。
一方高山辰雄のほうはゴーギャン好きだった。


~ 写実と心象の融合 ~

日本独特の湿気や雨に拘った時期もある。
(確かにこの絵は日本独特の湿度のある木々の絵だ、と思うスライドが登場した。)

落款も、このころは雨に因んだものを制作。
四季、湿度、雨の力で新世界を切り開く。
日本独特の湿気や雨に拘った時期。

師は自然。ただ写すのでなく、その中に心の表現をだぶらせる。

半分写実、半分心で描きたいと言っていた。
「半心半眼」という落款を作ったほど。


~ 作品の数々 ~


海外でのスケッチを絵画として結実させたのは「キャニオンの晩照」1枚のみ。
米国でスケッチ思う存分したが米国の松は大味で絵にはならなかったという。
このグランドキャニオンの絵は外務省にある。

奥入瀬の「春」と「秋」が山種で同時展示されるのは23年ぶり。
秋の大作は71歳の作。

大作を書かねばならぬ、という切迫感があった。
この「秋」の絵には空なし。流れと紅葉。

この時、山種富治氏がアトリエへ激励し、励みになった。
「春」を同じサイズで描いてほしい、と山種氏に注文され、これが力になった。
苦しさを乗り越え描き切ることができた。

絵の中の川の流れは一気に速く書き上げ、自分が水・流れになったかのようだった。
「天才ですね」、の夫人の言葉に、「これだけは自信がもてるんだ」、と。

(渓流のただなかにある岩場に入り込み、描いている写真がスライドで登場。すごい状況で描いていたことを痛感した。)

文化勲章に値する画家であるかと自問し続け、次々大作に取り組んだ。


~ 書のたしなみ ~

書「日本の四季」は、山種美術館の依頼。

恩師が亡くなった後、彼の絵の箱書きを依頼され、恩師にみっともない箱書きできぬと書をたしなみ始めた。
箱書きで絵の値段も上がるので値打ちのためにもお役に立つのだ、と。

児玉先生の箱書きのお金には手を付けず、奥様に預け、「奥ちゃんうれしいわ」と言われた。
膨大な箱書きをこなし、おかげで自分も書が書けるようになった。


~ 銀閣寺の襖絵 ~

銀閣寺の襖絵の注文を受けた時、彼は80歳。

自分の身が持つだろうか心配だったが受けることに。

墨絵でないとだめかと心配。
墨絵は描きたいと思いつつ、色を捨てられず、色なしで描くことはできなかった。
彼の眼にはまず形でなく、色彩が飛び込んできた、いわゆる色彩の画家であった。

執事長が墨絵でなくとも大丈夫ですと請け合った。
自由に描いてくださいと。
「流水無限」はのびのびと描けた。
そして、これで画歴をあげることができた、と安堵した。


最後に、生前の画家の言葉から:
作品は、生きている間でなく、そのあと、思い出してもらえるかどうかが肝心である。

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奥田 小由女氏(人形作家・日本芸術院会員 奥田元宋夫人)によるトークショー
「生誕100年 髙山辰雄・奥田元宋-文展から日展へ-

2012年12月8日(土)14:00~15:30
会場:國學院大學 院友会館
2012.12.08 Sat | Art| 0 track backs,
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