FC2ブログ
日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
東京国立近代美術館60歳の誕生日特別企画:『東京国立近代美術館MOMAT60歳の誕生日をお祝いしよう!』
MOMATを支えてきた方々の気概に強く感じ入った1日だった


昨日、即ち2012年12月1日は、東京国立近代美術館(MOMAT)の60歳目の誕生日

全館無料でギャラリーツアーも多々。
既にブロガー招待でも見てきたけれど、再訪した。
お誕生日をお祝いするために。

この日の特色は、平生14時からのギャラリートークが作品ごとに分散され、同時に11時と14時の2回、研究員の方たちの歴史を振り返るトークが聞けたこと。

私たちは14時の回を拝聴。
テーマは『MOMATコレクションができるまでの60年』。
夜間特別観覧会にも参加したし、キュレータートークは初めてではなかったのに、初めてうかがう話も多く、興味深かった。


お話の内容は、例えばー

    ● 当館が開館した1952年は、サンフランシスコ講和条約発効の年。主権回復の機運とともに日本初の近代美術のコレクションを目指すべく、当美術館はオープンを迎えた。

    ● よって、新しい日本の時代を強く意識した美術館となっており、そうした切っても切り離せない時代背景を伝えようという試みが、企画展「Section2 実験場1950s」である。

    ● 当初は現在のフィルムセンターがある京橋の建物で開館。専用の建物を建築するまでには資金力はなく。

    ● 美術館の方向性を決定づけることになるから、作品の選択は重要なポイント。選ばれた作品から、彼らの気概が伝わる。つまり -

    初めて購入した作品が現在4Fに展示されている土田麦僊の「舞妓林泉」と、村山華岳の「日高河清姫図」だそう。2人は従来位の官展に反旗を翻した作家たち。官展も尊重しつつも、こうした懐の広い、開けた視野を持とうとする当時の本美術館の心意気が感じられる選択だ。

    ● その他、野田英夫氏の「サーカス」も、1952年の購入。日本でそれほど目に触れる機会が多くはなかった海外と日本を行き来した画家の作品を購入したことからも、新しい息吹を吹き込もうとした心意気が感じられる。

    安井曽太郎 の「金蓉」なども当初の購入品。没後の作家だけでなく、当時リアルタイムで活躍していた作家の作品も購入していた。

    ● 誕生日企画展は今回の60周年目が初めて。設立「50」周年にはこうした催しは行わず。しかしこうした催しもなかなか悪くない、と研究員の方も実感されたよう。こうして大勢の人たちが集散し誕生日を祝う光景には、本美術館へのそれぞれの愛着がにじみ出ていて、私もいい催しだとつくづく思った。


P1240147.jpg
右が「舞妓林泉」


P1240141.jpg
「日高河清姫図」は右から3つ目。


P1240148_20121202104301.jpg
手前が「金蓉」、隣が「サーカス」
*写真は夜間特別展の時のもの。
あのときは1点撮りでなければ撮影OK。現在の展示では、フラッシュなしで、禁止該当作品以外は撮影OK。


****

■ 美術館を裏側から垣間見る
 

丁度、原田マハさん著「楽園のカンヴァス」を読了したばかり。元キュレーターだった浜田さんの作品らしく、随所に美術館の裏側、作品や展示をチョイスするキュレーターという人の存在にスポットを当ており、美術館にきても、また違う見方をすることができた。

つまり、選ばれし作品のみを深読みしようとするだけでなく、その裏の、選ばれた背景という観点。MOMATにある作品たちも、それぞれ選ばれたわけがあり、美術館の目指す方向を模索するスタッフの方たちの鋭意が感じられるのだ。
  
****

MOMATと私

私はもともと竹橋に縁があったみたいだ。

小学生時代、父に連れられそばの科学技術館で物理の実験講義を受けに来ていたから、当美術館の前を通っていた。存在は知っていた。親に連れられて美術館そのものに来たこともあった。

就職先も、竹橋と目と鼻の際。再び竹橋とつながることになる。ある時、週末にふらりと美術館を訪れ、ちょうどギャラリートークにぶちあたった。

「金蓉」の前で、対話形式のギャラリートークが展開中。画面いっぱいに広がった人物像の存在感、少しリアルよりひしゃげつつ、印象をつたえていく造形術。洋画一辺倒だった自分が、ああ、日本画も見始めたら奥が深くて面白いかも、などと持ったのを覚えている。

私が人生初のギャラリートークに参加したのはイギリス・ナショナルギャラリーのこと。当時プチ留学中で、11時と3時(今は時間が変わっている)、入り口に集合して、たっぷり1時間、英語学習がてら美術の話に聞き入った。

ナショナルギャラリーのトークも、一方的でない対話型。宗教画(ピエロ・デッラ・フランチェスカのキリストの洗礼の絵だった)の前で、この絵、どこがおかしい?とガイドさんが問いかける。すると、ごく普通の主婦らしき人が叫ぶ。「perspective(遠近法)!」と。

まっさらな心でプリミティブな感想を言うもよし。思いをみんなが伝えつつ、絵を深めていく。

そんな対話型のトークは珍しい気がして、イギリスだけのお楽しみかと思いきや、日本でも実践しているところがあったとは。

というわけでその後2度ばかり、MOMATの年間パスを購入。元を取るどころか(常設展を1年間無料で見られる1000円のパス、つまり3回行けばもとがとれる)、行き倒した感がある。もちろん行くときは、ギャラリートークの時間に合わせて。




『東京国立近代美術館MOMAT60歳の誕生日をお祝いしよう!』は2012年12月1日(土)(無料観覧日)10:00~17:00。すでに終わってしまったけれど、「美術にぶるっ」の企画展はまだ開催中。

東京国立近代美術館 60周年記念特別展
美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年

平成24年10月16日(火)~平成25年1月14日(月・祝)
午前10時~午後5時 (入館は閉館の30分前まで)
*金曜日は午後8時まで開館
*休館日:毎週月曜日(祝日又は振替休日にあたる場合は開館し、翌日休館)と、年末年始(12月28日~1月1日)。ただし、12月25日は開館。

公式サイト」:http://buru60.jp/

なお、12/1の誕生日企画では、下記の通り、細切れで、ギャラリートークが開催された。私は「母子」のトークに参加。本トークに何度も参加している感じのおじさんの姿もあった。

集合場所:各作品前(12/1のみ)
A 安井曽太郎《金蓉》           10:30/13:00
B 北脇昇《クォ・ヴァディス》       10:30/13:30
C 藤田嗣治《五人の裸婦》         11:30/13:30
D 上村松園《母子》            11:30/14:30
E 植田正治《パパとママと子供たち》    12:00/14:30
F 高松次郎《No.273(影)》        12:00/15:00
G 佐伯祐三《ガス灯と広告》        12:30/15:00
H 加山又造《春秋波濤》          12:30/15:30
I アントニー・ゴームリー《反映/思索》  13:00/15:30





楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

商品詳細を見る
2012.12.02 Sun | Art| 0 track backs,
"shw-greenwood" template design by Shallwill