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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描
ある発見 その1 : ロダンの彫刻に残る、誰も解き明かせない小さな秘密

11/10&11とFUN DAYで、2日間無料開放された 国立西洋美術館。
もともと毎月の第2、第4土曜日、文化の日は常設展が無料だけれど、この日は企画展までもが無料に。

先日国立博物館に行ったとき前を通りかかり、進行中の企画展が「手の痕跡 」とい言うタイトルであることを知った。
どんなも内容なんだろう、と思っていたのでいい機会、行ってきた。

そこで、思いがけないものを発見してしまった。
これだ。


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*FUN DAYは、企画展も写真撮影OKでした

一体どこに、こんなまるで古代ローマの遺跡から発掘された彫刻のように千切れた手が存在するのか?というと、-
ロダン作「オルフェウス」の彫像だ。
ただし、前からでは見えない。


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男性の腰にしては華奢で、まるで女性みたいだ、と思いつつ、後ろに回りこみ鑑賞していた最中、それが視界に入ったのだった。

オルフェウスに抱かれた竪琴の裏側に、それはひっそりと存在を主張していた。

後ろのこの部分。

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丁度行った時間にこのオルフェウスの前でミニギャラリートークがあったのだが、10分間と短かったせいもあり、その話題は出ず。
終了後に解説員の方に聞いてみた。
「この手の意味は?」

すると、そうなんです、と言わんばかりにある証拠を見せてくださった。

当初制作された石膏の像の写真。


P1240397.jpg

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Copyright:http://www.rodin-web.org/

これが造られた1892年頃当初、石膏で原型が造られた時、オルフェウスはミューズを肩に載せていたそう。
それをなんの理由かまったく不明ながら、ブロンズ制作の際にカットされたのだという。

竪琴の裏に残されていたのは、切り取られたミューズの手だったのだ。

なぜこのようにミューズが省略されてしまったのか、はたまた
なぜ手だけは入念にカットされることがなかったのかはロダンのみぞ知る・・・なのだとか。


このオルフェウスの彫刻は言うまでも泣くギリシャ神話に題材をとっている。
万物をその音色で魅了するといわれた竪琴名人のオルフェウスは、ある日愛妻エウリディケを失う。

妻の蘇生を願う彼は冥土の世界に足を踏み入れ、そして神の前で懇願をこめて竪琴を奏でる。
思惑はあたり、悲しい響きに心打たれた神は、妻を地上に戻すことを決める。

しかし条件がひとつ。
妻を連れ戻す間、決して後ろを振り向いてはならぬ、と。
地上はあともう少し、というところで、オルフェウスはたまりかねず妻がついてきているのか確認したくなりその掟を破ってしまった。

彼が肩越しに確認すべく振り返った瞬間、妻はまた冥土の世界へと引き戻されてしまった、というストーリー。

この彫刻は、丁度その瞬間、オルフェウスの絶望的な表情を捉えている。

本神話の内容は知っていたので、ギャラリートークでは新しい発見はないかも、と思いつつ参加したのだが、その場で疑問を解くことができ、感謝、感謝。


本展示「手の痕跡」は、作家の手が作品をどう造詣していったかをたどる企画ではあるものの
これは作家の「手」が残した「手」そのものの痕跡と言える。


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手の痕跡
国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描
会期:
2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
開館時間:
午前9時30分~午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:
月曜日(ただし、12月24日、1月14日は開館、12月25日、1月15日は休館)
12月28日~1月1日
会場:
国立西洋美術館 企画展示室
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2012.11.13 Tue | Art| 0 track backs,
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