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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
セザンヌ展、講師はポール・セザンヌの曾孫
ドアノーに続き、今度はセザンヌ。偉大な芸術家のファミリーによる講演会は、貴重なフランス語ヒアリングの場でもある。


国立新美術館で開催されている国立新美術館開館5周年「セザンヌ―パリとプロヴァンス」展

昨日(4/1)の講演会の講師は、そのポール・セザンヌのひ孫、フィリップさん。
存在感があって、わけもなくセザンヌのひ孫さんのイメージぴったり!と思ってしまった。

講演会の後には、写真を撮らせてもらっている人がいて、私もお願いしたら、快くポーズ。

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眼光鋭いセザンヌ曾祖父に比べ、穏やかな感じ。
氏は、ポール・セザンヌ協会名誉会長なのだとか。

質問コーナーで、著名な芸術家のひ孫で得したこと、損したことは?、という質問が飛んだ。
回答は、特にない、という。
自分は単にひ孫に過ぎず、スポットライトが当たるべきは曾祖父なのだから、と。

応答したその様子には、多少ノンシャランなトーンも感じられ、いかにもフランス的な感じがした。


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講演会のタイトルは、「人間セザンヌ」。
気難し屋で知られていたそうだけれど、実像は、人間味もあり・・・といった話を
セザンヌの近親者の手紙などをひも解きつつ語る、そんな内容だった。

下は、自画像。

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そのあと出てきたこのスライドの絵に描かれているのは、ポールの妹マリー。
マリーが、ポールの息子ポールJrに宛てた手紙から、画家の素顔を解き明かしていく。

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ただ、そのポールJr.がどういう人生を歩んだのか、或いは自分の出生とそれがどうつながるのか、などには触れられず、プライバシー重視の、これもやはりフランス的な志向に基づくものなのか。

一方で、母であり画家の妻となったオルタンスが、セザンヌの家族に受け入れられなかったことについてはつまびらかにされた。
(ちなみに私が読んだ予習がてらに読んだカタログにも、妻と子供がなかなか認知してもらえなかった下りが述べられていた。)

とくにマリーとの確執があったそう。
オルタンスのファッションなどにしか関心がないような薄っぺらい(講義ではそういう言葉は出ていないが)ところが反感を買ったふしもあるよう。

ただ、フィリップ氏いわく、それでもオルタンスは我慢強くモデルとしてイーゼルの前に座り、絵のことに関心はなくとも、画家がエクスとパリを行き来する中で夫婦離れ離れになる暮しにも関わらず、家庭がバラバラになることとなく、ある種の均衡を保ち続けた点で、2人は、つまるところお似合いだったのでは、と結ぶ。


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偶然なのだが、講演会に向かうために家を出る時、1冊のセザンヌ関連のカタログを何の気なく持参した。
かなり以前にゲットしたもので、絵の部分は熱心に見たけれど、解説部分を余り読んでいないカタログだった。

電車の中で読みながら、エミール・ゾラとの交流や、彼が詩作にも励んだことなどを知った。
講演会の中でもゾラがセザンヌを取り巻く仲間の中でも重要な位置を占めていたことが語られた。

ただ、カタログによると、そんなゾラとの仲が終焉を迎えるくだりも出てくる。
「制作」というゾラの作品が、才能を認められずに自殺に追い込まれる芸術家を描いており、
それに我が身が投影されていると感じてしまうセザンヌ。
許しがたい行為と思われ、あれほどまでに交流があった2人は絶交。。。

その辺の話は講演中、一切出ず、かといって2人の仲は最終的に修復されたのかどうか、質問するのははばかれた。
講演の流れに水を差す感じもあり。

弟子たちとの交流の下くだりでは、ノルウェーの若い画家が、(消息が漏れ聞こえてこなくなった)セザンヌが生きていてびっくりした、と口にした逸話が披露される。
そのぐらい、仙人のような、実在感があってどこかミステリーな存在の人だったようだ。

偏屈なところがありながら、それでも温かみのある人で、さらに晩年には丸くなり、人々との語らいも好んでいたらしい。

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さて、講演会の前には皇居へ。
数日前に蕾だったお堀端のしだれ桜はほころび始め、

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寒桜と4月の桜があいまみえる様子は、ちょっと異例。
(写真はカンヒザクラ)

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皇居外苑の「桜の島」はといえば、3月咲きの桜が真っ盛り。
ただ、脇には4月咲きの桜が控えており、うずうずしている様子。
今まで溜まりにたまったエネルギーが一気に爆発し、冬の桜と春の桜の競演が見られるのではないか?

春が待ち遠しいのはなにも人間ばかりではないようだ。

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2012.04.02 Mon | Art| 0 track backs,
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