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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
須賀敦子さん vs 塩野七生さん 

トリエステについては、塩野七生さんのエッセイ『イタリアからの
手紙』の一章「トリエステ・国境の町」の中に
イタリア統一から第二次大戦後に至る、歴史に翻弄された経緯が、
印象的な挿話といっしょに紹介されていますよ。

(Tanny Gucciさんから)



先日、別途戦時中の混乱の渦巻に巻き込まれたトリエステのことにチラリと触れたら、
上記のメールをもらった。


トリエステと言うと、私の中ではだんぜん須賀敦子さんなのだけど、
塩野七生さんも書いていたという。

初めて(?)見つけた2人の接点。


須賀敦子さんと塩野七生さん、ともにディープなイタリアを日本に伝えている2人だけれど、
両者の接点って不思議と聞かない。

そんなことを返信にしたためたら、再び届いた納得のコメント:


生まれは須賀さんの方が10年ほど先で、イタリア歴も(生前でカウントしたら)長いにも関わらず、
公に出たのは塩野さんの方が圧倒的に早いですしね。


塩野さんは、ルネサンスから入って古代ローマと、ある意味すでに「オーソライズ」されていたものを
現代の日本にわかりやすく伝えた、というところがあると思います。


一方、須賀さんはサバやギンズブルグ、あるいはカトリック左派など、「反(あるいは非)オーソライズ」
を立脚点とされただけに、ご苦労や葛藤もひとしおではなかったかと。


いずれにせよ、イタリアを「触媒」として、同時代の二人のインテリジェントな女性が、明晰な文章で
(方向性は違えど)啓蒙的な本を書かれた、という事実が興味深いです。

(Tanny Gucciさんから)



なるほど、メジャーとマイナー、光と陰、そんな対比の切り口はなるほど、と。


例えば、現代の作家タブッキだの19世紀のマンゾーニだの、イタリアではメジャーらしいけれど、
私は須賀さんの本を通して知った。

作家以外でも、須賀さんが注目するものはいつも控えめ。

トルチェッロ島では、サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂のマリア様に感服し、
シエナでは、市庁舎のグイドリッチョ将軍の絵の群青色と孤独さに感じ入る。


イタリア、たとえばローマだのフィレンツェなどにはごちゃまんと名画があるというのに
彼女が触れるものといったら、どちらかというと地味なものばかり。


日本でスポットライトが当てられるイタリアというと、例えば絵画でいえば、ルネッサンスが中心。
ラヴェンナに行ってつくづく思った。

すごいものがここのあるではないか。
なのに日本ではマイナー。
理由は簡単。ビザンチンだから。


こんなふうにメジャーなものだけが至宝なわけではないというのを感じる場面が多々あるから、
私はどちらかというと須賀さんに肩入れしているわけだけど、
塩野さんも、読んでみよう。


イタリアからの手紙 (新潮文庫)イタリアからの手紙 (新潮文庫)
(1996/12)
塩野 七生

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2010.12.10 Fri | Books| 0 track backs,
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