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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
リスボン近郊の旅 : 世界遺産シントラ その4 ペーナ宮殿
世界遺産に指定されているポルトガルのシントラが余りに別世界で感激したものの、
インパクトが強すぎて、それに見合う言葉が出てこないような気がして、
エントリーが進まなかった。

今夜、やっと腰をあげることにした。が、ドイツ料理のローマイヤでビール飲み過ぎて結構ほろ酔い加減。


さて、アラビアンナイトの世界みたい、と語ってきたシントラのペーナ宮殿は、
もともと15世紀後半~16世紀に建てられた修道院が原型らしい。

その後稲妻で廃墟と化したものの、修道院は奇跡的に残り、
19世紀にフェルディナンドIIが周辺の敷地も買いとり、宮殿を建築。


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面白いことに、建築の請け負い人は、ドイツ人アマチュア建築家と、
鉱山エンジニアという不思議な取り合わせだったそうだ。

そのせいで、こんなに斬新な、型破りともいえる建造物が出来上がったのか。

恐らくドイツ人建築家は、ドイツ・ライン川沿いの城に造詣が深く、
ノイシュバンシュタイン城との類似点を指摘する声もある。

実際、ノイシュバンシュタイン城を建てたドイツのルートヴィヒIIは、
フェルディナンドIIのいとこだというから、どこかでつながるものがあっても
不思議ではない。

ロマン派の建物といわれつつも、イスラムや中世建築の影響も見られるという。
それに、ネオゴシック、ネオルネッサンス、ネオマヌエーレなども混じっているというから、
もうこれはなにがなんだか、、、


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私には様式のことはよくわからないけれど、つぎはぎで、
さらにアラビア風とかガウディ風といった要素も感じられるのだけど。

ぐねぐねとして不安定な岩の上に強引に建てられた無骨な面もありつつ、
おとぎ話に出てくるような、可愛らしさも兼ね備え、
とにかく見れば見るほど不思議な館なのだ。


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中は撮影禁止。
強く印象に残ったのは、部屋が小さく仕切られていて、
広いサロンとかがない。

ゆったりとしたスペースをとることも可能なのに、
わざわざ区切って1つ1つの部屋をせせこましくしている。

各部屋は、ごちゃごちゃと飾られていて、
置かれているベッドの小ささにも驚いた。

ポルトガル人って、余り背は高くない。

それも関係しているのか、だだっ広い豪奢な部屋より、
小さく区切ったいろんな雰囲気の部屋を楽しみたい、そんな嗜好だったのだろうか。


中は贅が尽くされてはいたけれど、外見ほど奇妙ではない。

それも含め、アンバランスな不安定感が常につきまとって、
ここの宮殿に住んでいた住人は、余り落ち着かなかったのでは、と思えるほど。

実際、後年は王族の夏の別宅として使われていたそうだ。


周囲に目をやれば、深い森に抱かれた環境が、現実離れ感をさらに際立たせる。



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半身半魚像・トリトンは、世界創造(Creation)を表すらしいけど、
何もそんなにおっかない顔で見据えなくても、という様子で、
厄除けにしか、見えないのだった。


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多くの人の手にわたり、ポリシーがあったようななかったような、
よくわからない思想のもとに建てられたこの館。

ゴシックが流行りだといえば一斉にゴシック建築が建ち並んだような時代に、
そうした時流に乗った建築様式には目もくれず、無頓着な顔をして建っている。

大航海時代、世界に乗り出したポルトガルだから、
ひとつの偏ったものだけを取り入れるのではなく、
直観的に気に入ったものを取りこむ鷹揚さがあったのだろうか。


腰の張った黒装束の女性たちが漁の網を編んでいる姿や、
洗濯ものはためく家の軒先、郷愁を誘うギターの音色・・

・・そんなポルトガルの一面的な印象とは裏腹に、
この国には、新しいもの、古いもの、野暮ったいもの、モダンなもの、
大雑把なものと繊細なもの、あらゆるものが入り混じっていた。

リスボンで感じたそんな印象は、ここシントラにきて、さらに強まり、
この国の意外な懐の深さを肌で感じた。


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2010.12.01 Wed | Travel-Portugal| 0 track backs,
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