FC2ブログ
日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「モンテ・フェルモの丘の家 」By ナタリア・ギンズブルグ
須賀敦子さんが夫ペッピーノに、きっと君が好きなはず、と渡された一冊の本がある。

ナタリア・ギンズブルグ の「ある家族の会話」という本で、確かにそれは須賀さんの好みの本だった。
やがてその本を彼女は日本語に翻訳する機会にめぐまれる。

・・・そんなことが記憶にひっかかっていたものだから、須賀さんの”翻訳”本を読んでみようかなという気になった。

しかし同じようなことを考える人は世の中たくさんいるらしく、図書館に行ったら予約待ち。
あとMax.2ヶ月は読むことができなさそう。

では代わりに、ということで、同じくギンズブルグ著/須賀さん訳の「モンテ・フェルモの丘の家」の本を借りてきた。
昨日読んでみたところ、予想に反していた。

須賀さんのあの豊かな語彙を散りばめた長めの文章を想像していたけれど、そうではなかった。
完全に黒子に徹している。
翻訳なのだから、当たり前なのだけど。

須賀さんが好きな作家は、彼女と同じような文体の人、と勝手に思い込んでいたのがそもそもの誤り。

ナタリア・ギンズブルグは須賀さんとは別物だ。
全然違う良さがある。

文章の方は決してごてごてしていないけど(手紙という形式のせいだけではないだろう)、繊細な描写力。
人々が、そして周囲の物たちが、丹念に書き込まれている。
赤いカーテンのすっぱいにおい・・・とか。


途中、ローマの日本人旅行者が登場するくだりにはびっくり。

この本が書かれたのは1984年。
この頃すでに、見慣れた光景として、日本人ツーリストたちの姿があったのだろう。

須賀さんもこれを訳しながら、うふふ、と思ったかも。

ナタリア・ギンズブルグの本の原題と英語訳の対比は下記:

LESSICO FAMIGLIARE, 1963 ==> Family Sayings
LA FAMIGLIA MANZONI, 1983 ==> The Manzoni Family
LA CITTÀ E LA CASA, 1984 ==> The City and the House –

最初が「ある家族の会話」
最後が 「モンテ・フェルモの丘の家 」

「ある家族の会話」の原題にあるLessicoというのは辞書の意味らしい。
特にラテン、ギリシャ、ヘブライ語などの。
あとは語彙集などという訳も見られる。

邦題では「会話」と訳されたけれど、実際の原題では、もう少しお堅い言葉が使われていたようだ。
2008.12.16 Tue | Books| 0 track backs,
"shw-greenwood" template design by Shallwill