日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
砂の聖書「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション 展」@智美術館

昨日紹介した菊池寛実記念 智美術館の「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション 展」には、

うつわだけでなく、オブジェの類も展示されている。

 

さらには、手の跡のない型で鋳造された近代的なものから

土草の臭いに満ちた土俗的なものまで、幅広い。

 

美術館設立者、菊池智さんのおおらかなテーストがしのばれる。

 

酒井田柿右衛門(十三代)、楽吉左衛門(十五代)、

富本憲吉、加藤藤九郎など有名どころの作品もあるけれど

個人的には観念的な作品が強く印象に残った。


多分、普段陶芸の展覧会でも(戸栗美術館とか近美工芸館とか浮かべつつ)、

こういうのはあまり見慣れないせい。

そして、現代陶芸の作品の幅広さを改めて感じさせるから。


数多い作品の中から1点だけ選ぶとすると、これかな。

(ブログを読んでくれている学生時代の友人いわく、

内覧会レポートは簡潔がいい、とのことなので)

  

  写真撮影は内覧会の折りに許可を得ています

 

荒木高子「砂の聖書」1981年(手前)

 IMG_3308.jpg

 


一目見た瞬間、私が思い浮かべたのは

 キリストの「エジプトへの逃避」、あるいは

旧約聖書の「出エジプト記」。

 

前者は、新約聖書にある

幼子イエスとともに一家がエジプトに逃避行するお話だ。

  

救世主誕生を知り、脅威に感じたユダヤ人ヘロデ王は、

どの子がイエスかわからず、2歳以下の幼児を一斉に虐殺するよう

家臣に銘じる。

イエスの一家は、虐殺の手から逃れるため、逃避行の旅に出る、というもの。

 

砂と聖書の組み合わせが

エジプトの乾いた大地とキリストを直接的に連想させた。

 

ヘロデのような暴君の手から逃れ

その後受難を受けたキリストの教えは、

長い年月を経て今も脈々と続いている。

 

聖書という紙媒体が、たとえ半ば朽ち果てても、

或いは最終的に土に帰したとしても、

教え自体は風化せず、人の心の支えになり続けていく。

すでに人の心の中に根付いている限り。


目の前にあるのは単体の焼き物だけど、

パワルフな世界観を感じる1点。


~~~~~


「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション 展」

菊池寛実記念 智美術館

会期 :  2017年6月10日(土)~ 9月3日(日)
休館日 :  月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
開館時間 :  11:00~18:00  ※入館は17:30までになります
観覧料 :  一般1000円、大学生800円、小・中・高生500円

その他ナイトミュージアム、ギャラリートークあり



2017.06.14 Wed | Art| 0 track backs,
千住博さんのメトロパブリックアート
新宿三丁目にある千住博さんのメトロパブリックアートは
いつもの滝のシリーズ。

涼し気~。
真夏日は避暑に向いていそう(?)

IMG_1715_201706052314364a3.jpg 


ここで注目は、署名。
滝の作品は数多く見たけど、署名に気が付いたのは今回が初めて。

ペーソスのある素敵な書体。

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メトロの壁はうんと近づいてみることができ、
ガラス張りでもないので、ディテールがすごくよく見える。

滝の水しぶきが、きらきら粒になって飛び散っていた。
上から滴り落ちる水は、ぼかしのような手法で
煙のように描かれている。

美術館でオツにすましている絵画とは違い、
手で触ることもできる庶民派のパブリックアート。


新宿三丁目で誰かと待ち合わせるとき、
「千住さんの滝の前でね」
なんていうのはおしゃれだなぁ。


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それから明治神宮前の野見山暁治さんの作品のサインは -

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ローマ字だった。

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美術館でもそうだけど、
亜流と知りながら、署名や落款をチェックするのは
ある意味気分転換で楽しい。

フランスかぶれした画家が、
自分の名前のローマ字に、フランス語特有のトレマをつけていて
(トレマ=ë, ï, ü, ÿ のような上にポチが2つ くっつく文字)
それを発見する喜び、なんていうのもある。

.
2017.06.05 Mon | Art| 0 track backs,
山口晃画伯作・西早稲田のパブリックアートは突っ込みどころ満載

パブリックアートの話その2。

メトロの西早稲田駅にあるパブリックアートは
突っ込みどころ満載で楽しい。


タイトルは「地下鐵道乃圖」。
作者は今を時めく日本画の巨匠 山口 晃氏。


まずは全体像。

洛中洛外図など、よく昔の屏風で用いられた金雲の手法を使用している。
この金雲を見ると、自動的に、あ、古い時代の絵を描こうとしているな
と感じるわけだ。


確かに一見すると、地下鉄の様子(&その断面図)が、
古風に描かれているかんじなのだけど、
よーく見ると???がいっぱい。

(ちなみに、「この金雲は画面を区切るのに便利だ」とかつて
山口画伯がコメントしているのを聞いたことがある。
使いたくて仕方なかったのかも。)


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まずは題字。
古風な展開図の予感・・・はすぐに裏切られる。

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地下鉄内に、馬車で乗り入れる人がいるけど、
服装からして江戸と昭和が混じっている。
いやいや古風なんかではない。
自動改札を通っている。

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さらに地下鉄車内にはお風呂。
先頭車ならぬ
銭湯車か。

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坂本龍馬風のおじさんがいるかたわらで、
エスカレーター。

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神社の社殿みたいなのが全面にくっついている
レトロな電車。

地階と上階にプラットフォーム。

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断面図。
二階建て電車のよう。

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断面図その2。
「西早稲田」と駅名が見える。

地下鉄と停車駅にぴったりなモチーフだけど、
ここまで奇想天外に描けちゃう
山口画伯。

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これは細部が楽しいパブリックアート。


とはいえ西早稲田を通勤・通学で使っている人達は
きっとしげしげ見ずに通り過ぎることだろう。

まあそんなものだ。
私は例のメトロパスを使って、副都心線の駅をいくつか
巡ったのだった。


そのときのブログ(ざっとした紹介のみ);




2017.06.02 Fri | Art| 0 track backs,
大エルミタージュ展 <感想>と<エルミタージュの意味>
エルミタージュ美術館Hermitage Museumといえば
ロシア サンクトペテルブルクが誇る美の殿堂。


とはいえなかなか行ける場所ではなく、
ひっそりとお宝が眠る、どこか秘密めいた香りがする場所だ。

実際、エルミタージュという言葉が
フランス語で「隠家」を意味する、などと言われているため、
なおいっそう妖しげなイメージがある。


ただ詳しく述べれば、Hermitage Museumの
Hermitageなる単語は、フランス語にはなく、
英語で隠遁者(の住む場所)と意味ことだ。

フランス語では、HなしのErmitageと綴り、
これで修道院とか人里離れた場所を指す。

語源的にはギリシャ語・ラテン語発で
eremita, ἐρημίτης, erêmítês,  ἔρημος, erêmosといった語の系列。 
見捨てられた、などといった意味。


そんな隠家からはるばる来日を果たしたのは、
オールドマスターズ、いわゆる古典派の作品たち。

とはいえ初期ルネサンス期以前のものはなく、
バロックの作品が特に目を引いた。


入り口に掛けられている《ロシア皇帝エカテリーナ2世》は
堂々たる威容で、権力の強さがサイズに置き換えられるという
古今東西を問わない人間共通の意識がうかがわれる。

(館内写真は一部のみOK)

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縦もさることながら、
横幅がキャンバスの幅でカバーしきれないほど
分厚い衣装がはみ出ている。

国民を覆いつくすかのようなこの広がりは
これまで見た他の歴代王の肖像画等に比べ
すば抜けてダイナミック。
圧巻としか言いようがない。


さらに足が手前の第から少しだけ前に出ていて、
こちらにぐいと迫ってくる存在感を演出している。

毛皮の質感、黄金に輝く衣装の光沢感がよく出ている。


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そしてぎっしりと宝石がつぎこまれた王冠。


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贅の限りを尽くした装束と
自信に満ちた表情、
そして縦横のこのスケール感。

すべてが権力のかたまりのような
ロシア女帝の姿だ。


そんな迫力ある絵の一方で、
私が一番引き寄せられたのは、この1枚。


フランシスコ・デ・スルバランの
《聖母マリアの少女時代》
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マリアの幼い頃を描いた絵自体が少ないせいだろう
カタログで何度も見たことがある。

やっと実物に出会えました、という気持ち。

青い衣装で描かれることの多いマリアだが、
ここでは幼子らしく赤。

そして絵の中央、ヒザの上に置かれた布は、
純潔のしるしなのだろう、輝くように白い。

あどけない表情で天を仰ぎ見る。
少女の純粋さが静かに心を打つ。


そのほかクラーナハの逸品や
ルーベンス、ティツィアーノ、あるいはその工房の作品も。


展覧会の主題が緩いくくりなので、
好きな絵を見つけて、
その前でゆっくり過ごす、そんな鑑賞法が
合っていると思った。


 ====
http://hermitage2017.jp/
展覧会名:大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
会期:2017年3月18日(土)-6月18日(日)
休館日:5月15日(月)
開館時間:午前10時-午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階
2017.05.26 Fri | Art| 0 track backs,
大エルミタージュ展の聖ヒエロニムスと、ローマのカラヴァッジョ比較
森アーツセンターで開催中の大エルミタージュ展に行ってきた。

リベーラの聖ヒエロニムスの絵を見ていて
ある思いが頭から離れなかった。


カラヴァッジョの構図に影響を受けたのでは?と。


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「聖ヒエロニムスと天使」 1626年頃 フセペ・デ・リベーラ
エルミタージュ美術館


カラヴァッジョの絵はこちら。

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「聖マタイと天使」1602年 ミケランジェロ・メリージ
サン・ルイ・デイ・フランチェージ教会(ローマ旅行にて)


左右の構図は逆だけど、
両方とも、肩ごしに天使を上目遣いに見つめる老人が
描かれている。


影響関係が本当にあったのかどうかはわからない。

でもリベーラが明暗法を追求していたことは明らかで、
となれば、明暗法の第一人者であるカラヴァッジョを
手本にしたとしても不思議ではない。


ただ、老人の皺の深さから伺われる人生の軌跡などは
カラヴァッジョの方が一枚上手、と感じた。


とはいえリベーラの老人のお腹あたりはかなりリアルで
思わず見入った。

そして隣にじっとりと潜むライオンの違和感がすごかった。


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どちらの絵もドラマチックで
いかにもバロック的だ。


大エルミタージュ展ではオールドマスターズの作品がズラリ。

中にはフランスのル・ナン兄弟のようなレアな作家の作品も。
(以前ルーブル展で1枚来ていたけど
日本で見る機会はめったにない。
いわゆる風俗画の画家だ。)


 ====
http://hermitage2017.jp/
展覧会名:大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
会期:2017年3月18日(土)-6月18日(日)
休館日:5月15日(月)
開館時間:午前10時-午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階

2017.05.24 Wed | Art| 0 track backs,
18世紀の画家が描いたリアルト橋を、実物と比べてみる
先日大エルミタージュ展に行ってきた。

リアルト橋を描いたミケーレ・マリエスキのノスタルジックな作品があり、
どこが実物と違うのか、思わず観光のときの写真と比較してみた。
以下のURLにて:

2017.05.22 Mon | Art| 0 track backs,
「100万人感謝ウィーク」でお洒落な切手をゲット @パナソニック汐留ミュージアム
◆ 「100万人感謝ウィーク」のプレゼントは、
◆ 来館者全員にルオーの素敵な52円切手x2枚でした


4月29日昭和の日にパナソニック汐留ミュージアムの
「日本、家の列島」展を見に行った。

丁度気になる展示に関するギャラリートークが開催されたためなのだが、
奇しくもこの美術館では4月24日(月)〜4月30日(日)まで、
「100万人感謝ウィーク」が開催されていて
ルオーのオリジナル切手2枚を頂いた。

(《マドレーヌ》と《古きヴェルサイユ》をデザインした本美術館オリジナル切手)


IMG_1516 (2) 


色合いも綺麗。
ルオーの絵画がディテールまできれいにプリントされている。
うれしー。
でも使えない、もったいなくて。


さらに、フリークエントビジターの証スタンプが集まったので
(中央)
左の美術館オリジナル・ポストイットセットを頂いた。


IMG_1514 (1)


パナソニックミュージアムは
来館者に時折ポストカードをプレゼントしたりして
ちょこっとしたサプライズが楽しい。

小ぶりで比較的地味な美術館だけど、
収蔵品を中心に、丁寧な企画を行っている。


スタッフの方の感じもよくて
出光美術館に相通じるような大企業ならではのおおらかさがあって
開館間もないころ、ルオー展と講演会に行って以来、
応援している美術館だ。

2017.05.02 Tue | Art| 0 track backs,
渡瀬恒彦さん主演「タクシードライバーの推理日誌」の舞台になった美術館
渡瀬恒彦さんがお亡くなりになって、
追悼記念で「タクシードライバーの推理日誌」が放送されていたので
録画を見た。

タクシードライバー夜明日出夫(渡瀬さん)が、
草笛光子さん演じる美術館オーナーのもとを訪れるシーンで、
あっ!と声を出した。

知ってるこの美術館!


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ここだ。2015年に行った安曇野の碌山美術館!
(その時の写真)

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私は初秋に行ったのだけど、
TVロケはどんぴしゃの秋、紅葉真っ只中だ。再びTV画面。

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上の写真の右に見える彫刻は
碌山の名作「労働者」。
下は美術館で実際に写したもの。

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再びTV。草笛光子さん、警察に囲まれているシーン。


IMG_1184.jpg 


シーンの中でキーになる場面がこちらで撮影されたのだ。

IMG_1178.jpg 


美術館内部もちゃんと映っている。
碌山の彫刻の数々。


IMG_1181.jpg


こじんまりした美術館だけど、
安曇野の自然に抱かれて、ロケーションは抜群。
ツタの絡まる教会風の建物は風情があり、
新館はすっきりして見やすい。


 IMG_1179.jpg


渡瀬さん!
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私は中村屋ギャラリーのツアーで訪れたのだけど、
いい思い出。

渡瀬さんもここをロケで訪問されていたのね。
「タクシードライバーの推理日誌」の新しいシリーズは
もう見られない。

寂しい・・

関連)
碌山美術館@安曇野がおススメ2015.11.04 

2017.04.27 Thu | Art| 0 track backs,
美術館でお花見を! @東京国立近代美術館の巻き
◆ 屏風絵を見るときの お勧めの角度


春、お花見の季節に合わせ、美術館でも
季節にぴったりの桜の絵などをこの時期展示している。

東京国立博物館しかり。
そして今回写真の東京国立近代美術館(東近美)しかり。

(本ブログではアート系以外のネタを入れる方針だけど、
お花見ネタとして、こちらの方に。)


東近美の場合、今年は目玉の屏風が2双、出そろった。
そのひとつがこちら:


行く春 / 川合玉堂 
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桜散る長瀞の渓流の様子が情感たっぷりに描かれている。

壮大な自然を背に、はらはらと散りゆく桜。
宙を舞い、水面へと落ちていく様子が切ない。

春を惜しむ気持ちが自然と沸き上がる。


ただ、この屏風、真正面からだけ見るのではもったいない。


実は折り畳み式の立体感ある屏風ならではの工夫が凝らされていて
渓流の勢いはこの右斜めから見るのがお勧めなのだ。

左奥の岩山から手前へと続く水の流れが感じられ、
躍動感が一層増していく。

P1840695.jpg



そしてこちらは雨にけぶる吉野の桜。

これも大好きな作品なのだけど、
川合玉堂さんの屏風は春にはほとんどと言っていいほど出品されるものの、
こちらは毎年出るわけではない。

行ってみて、ああ今年はない、あ、今年は出た、などと一喜一憂するのが
恒例行事となっている。

だから今年この作品を見たときは、
やったー、と歓喜した。


小雨ふる吉野 / 菊池芳文
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この屏風の 私的好きな角度はこちら。

手前には生い茂る桜。
遠くなるにつれ、徐々に雨にけぶっていく。

P1840720.jpg


桜も景色も雨に霞む画面右奥の湿潤な空気感が絶妙だ。

花びらをよく見ると、顔料がたっぷりと滴るように盛られている箇所があり、
以前からその立体感が気に入っていた。

このほど解説を読んだら、雨のしずくが花びら下方に溜まっていく様子を
そういう手法で表した、とのこと。

黄金色に淡いピンクが上品な味わい。


本所蔵作品展(常設展)は、5月21日まで。

2017.03.11 Sat | Art| 0 track backs,
神話が描かれたユーロコインをゲット
ギリシャ神話が描かれたユーロコインをゲット

以前、ユーロコインは国ごとに絵柄が異なり、ギリシャのそれにはギリシャ神話が描かれているといった話を書いた。
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-1557.html

ギリシャ神話のひとこま「エウロペの略奪」が描かれたギリシャの2ユーロコイン、手にしたいなぁと思っていたら、
あのときのブログを読んだEのさんが、たまたまゲットしたとのことで帰国の手土産にプレゼントしてくれた。
もう大感激だ。

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この図柄は、ユーロコインの中でも一番ぴったりかと思う。
エウロペという女性が、牝牛に変身したゼウスに誘拐される絵なのだが、
エウロペという名前自体が、ヨーロッパという言葉の由来となったと聞く。


今まで多くのユーロコインを手にしたけれど、こんなに細かい彫りがされているものは
余り記憶にない。
フランスでこのコインがお財布に収まる機会はあまりないのでは?
ギリシャに行けば多くが子の図柄なのだろうけれど、
当のギリシャでは金融危機で、人々はコインの神話をめでるどころではないだろうが。

そしてEのさんがくれたもうひとつがギリシャの1ユーロコイン。

Pa1020614.jpg

ふくろうだ。
フクロウとは、古代ローマの象徴なのらしい。
これはお茶目で、可愛らしい。
手放しがたくなる図柄だ。

ちなみに ティツィアーノのエウロペの略奪はこれ:
http://www.salvastyle.com/menu_renaissance/tiziano_europa.html
2016.05.11 Wed | Art| 0 track backs,
「あさが来た」に登場しない養女のおひなさま @三井記念美術館
三井記念美術館で開催中のこの時期恒例「三井家のおひなさま」展には
三井家に代々伝わるひなさまが展示中。

毎年開催されているので空いているかと思いきや
これがなかなか込んでいる。

着物の刺繍など、人形とはいえ衣装は極上の仕上がりぶりで、
背景の屏風絵などには源氏物語のワンシーンのような
殿中の様子が描かれていたり。


なかでも目を引いたのは、三井家に嫁いだ貴登という女性に帰属するお雛様セット。

この方、今NHK連続テレビ小説になっている「あさが来た」の主人公廣岡浅子の養女なのだとか。
TVには登場していないけれど、(少なくとも今現在)
どうやら養女にしたうえで三井家に嫁がせた模様。

もともと朝子さん自身、三井家の出身なのだ。


当時、名家同士であらかじめセットされた婚姻がいかに慣例となっていたかを改めて感じるこのおひなさま。

ただ残念なことにこの貴登さん、25歳の若さ亡くなられたようだ。

後妻に入った前田利声伯爵のお嬢さん 苞子(もとこ)さん のおひなさまが
この展示ではメインのひとつとして華々しく飾られていた。



2016.02.29 Mon | Art| 0 track backs,
特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦 『』糸巻きの聖母』 @江戸東京博物館 <感想>
◆ 習作スケッチには、手や足など細部への強烈なこだわりが・・・

知名度の割りに、生涯完成した絵画作品はごく少数とされる レオナルド・ダ・ヴィンチ。

彼の展覧会が江戸東京博物館で開催されているものの、絵画作品は <糸巻きの聖母>以外ほとんどないだろう
そう思いつつ、
<糸巻きの聖母>の美しさを鑑賞するだけでも十分、と言い切った友人と見に行ってきた。


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実際完成作はこの1点なのだけど、習作とおぼしきスケッチが多々あった。

聖母子図の中で描かれる人物の手だけの習作。

そういう習作はこれまで数々見てきたのだけれど、なぜかダヴィンチのそのスケッチは、
手とか足の指とかいった細部に異様なまでの拘りを漂わせていて、
どこか他の画家たちとは違い、正直、おどろおどろしいまでの気迫が伝わって、怖かった。

実際その手が全体の絵の中に組み込まれるときには、
他の人物の影になって手の全体像は見えなくなるのだけど、
解剖学にもこだわったという彼ならではの事前調査だったのだろう。

単に正確を期すためというより、人間の身体の細部への執着心が彼を突き動かしたのごとくで、
あれほど迫力を感じたクロッキー(習作スケッチ)は初めてだった。


<糸巻きの聖母>は微妙なグラデーションが織りなす沈んだブルーが美しく、
独特のエレガントなオーラを発している。

下方の模様のような土・岩の層、
そして空気遠近法で霞む遠景など、湿潤な空気が感じられるうっとりとする作品なのだった。


もうひとつの目玉は、空飛ぶ鳥に憧れ、必死で観察し、飛行機の制作を目指したレアな手稿。
これらは、アンボワーズにあるダヴィンチ博物館から来たようだ。

ダヴィンチ博物館といえば、ハネムーンの時に前を通りかかった。
場所はアンボワーズ。(写真は博物館を前にした若いツーレ。)

彼がフランス国王に招致されたことは知らなかったので、フランスにダヴィンチ?と驚いたのを覚えている。
説明書きには、IBMのコンピューターはダヴィンチの発明に基づきつくられた、とあった。

丁度アンボワーズ城見物の帰りに見つけたのだけど、
この時はお城のホテルに泊まったので、ゆったりとステイを愉しみたくて、中には入らなかった。

まさか日本でお目にかかれるとは。



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手稿は夥しい数あって、
細かい字で、しかも鏡文字になっている。
鳥の挙動などを分析し、飛行機につなげる創意がびっしり。
やっぱりマニアックの極致というか、そのエネルギーたるや、並大抵ではない。

全般に執着心の塊のような人、相当変人だったのでは、と思わせた。

時代を経てもなお残るダヴィンチという人のバイタリティに溢れた展覧会であったことは
間違いない。


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2016.02.27 Sat | Art| 0 track backs,
ボッティチェリ 東方三博士 に出てくる歴史上の人物たち
去年ウフィツィ美術館に行った時、熟視した絵のひとつがボッティチェリの『東方三博士』だった。


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3度目の訪問だったけど、以前2回は、余りこの絵を気に留めなかった。
パッと見た感じ、群像画で、朽ちた建屋に聖母子画一段高く鎮座し、
特色ある絵だなぁとは思ったけれど、
東方三博士の絵は様々な画家が描いており、麻痺していたせいもある。

なによりヴィーナスの誕生や、プリマヴェーラ、その他聖母子が軒並み展示されている
壮観な部屋で、この絵はどちらかというと地味というか鈍い輝きを放つ感じで、
人々が熱心に食いついていたのは、もっぱら美女画の方だった。


けれど、この絵にはイタリア・ルネッサンスを開花させたフィレンツェのパトロンたちが描かれていると知り
去年の再訪の折りには、ひとりひとり登場人物たちをきちんと目視したいと思ったのだ。

本作品は東京都美術館で開催中のボッティチェリ展で来日しており、
会場内にも人物対照表が出ていた。

まず、自画像として画中に描かれたボッティチェリはこの人。
一番右、我々を凝視している。


左手、髭の人は、Joannis Argiropulos 。
ギリシャ人哲学者のアンギロプロス。


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キリストをいとおしそうに眺めるこちらの老人も人物が特定されている中では特に有名な
コジモ・ディ・メディチ、ことイル・ヴェッキオ( Cosimo il Vecchio )。

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水色の服を着て自分を指さしているのは、発注主のデル・ラーマと思っていたのだが、
イタリアのサイトでは、有力一族ストロッツィ家の Filippo Strozzi  フィリッポ・ストロッツィとなっていた。

ボッティチェリの頭上、帽子頭のプロファイルが見えているのはLorenzo Tornabuoni、
ロレンツォ・トマブオーリ。

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中央のいかめしい横顔は、 Giovanni de 'Medici ジョヴァンニ・ディ・メディチ。

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左の赤がピエロ・ディ・ロレンツォ・ゴットーゾ。
右の白がジュリアーノ・ディ・メディチ。

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左から、ロレンツォ・イル・マニーフィコ、
ポリツィアーノ、ピコ・デッラ・ミランドーラ。

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ぼけたけど、こちらを見ているこの人が Gaspare Lami  ガスパーレ・ラーミという説が採用されていた。

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参照したのはこちらのイタリアサイト。↓

http://freeforumzone.leonardo.it/discussione.aspx?idd=9499263
2016.02.25 Thu | Art| 0 track backs,
アクセサリーミュージアム
目黒区・祐天寺に、アクセサリーミュージアムなるものがある。

「ぐるっとパス」に含まれていて、先日のぞいてきたのだけれど、
アールデコ、アールヌーヴォー、アーツ&クラフツ運動など、西洋のアートムーブメントに沿った内容で
ただ雑然と貴金属が並んでいるイメージとはかけ離れ、
アクセサリーの歴史をひもとくことができるのだった。

後半は、日本のヒッピー文化などを反映した、やたら大きくてグロテスクなアクセサリーへと変化し、
近現代のものまでそろっている。

特にアールヌーヴォー、アールデコの時代のものについては
花瓶や装飾品も豊富にあり、エミール・ガレやドーム兄弟の花瓶を展示する棚も発見。

先日庭園美術館で見たばかりのガレの作品に類似した花瓶もあった。

庭園美術館にあったのはエメラルドグリーンの半透明・エナメル彩の野草をあしらった花瓶で、
私がガレ展の中で一番気に入ったもの。
細身の一輪挿しだったのだけれど、こちらアクセサリーミュージアムにあったのは
それよりもがっしりした幅の広い花瓶だった。

並べて展示したら面白いだろうな、と思わせた。

目に留まったのは、モーニングジュエリーの類。
亡くなった人の髪の毛を花のように整形したり、編んだりしてジュエリーの中に埋め込むもの。

金髪がいまだに光沢を放っていて、生きているジュエリーといった様相だった。

住宅地の一角に突如現れるアクセサリーミュージアム。

アクセサリーというよりも時代の美意識を反映した内容だった。


http://acce-museum.main.jp/
2016.02.24 Wed | Art| 0 track backs,
カラヴァッジョの真筆「法悦のマグダラのマリア」、東京で世界初公開 : 注目は「恍惚度」
◆ イタリアの3大恍惚・法悦表情となるか、カラヴァッジョ


==> 実際に見た感想と、この絵のトリビアはこちら


今朝、NHKニュースの見出しの最後の方に出ていた報道に驚く:「カラヴァッジョの真筆 東京で世界初公開へ」

ヨーロッパの収集家が所有していた「法悦のマグダラのマリア」がカラヴァッジョの真筆と証明されたという。
そればかりでなく、本作は3月4日から西洋美術館で開始となるカラヴァッジョ展に出展されるそうだ。

これはたいそう楽しみ。
カラヴァッジョなら、法悦ぶりをたいそう生き生きとえがいてくれるに違いない。


今現在、聖書・聖人・福者がらみの2大法悦(妖艶な)といえばバロックの彫刻家、ベルニーニの2作品ではないだろうか。
それらとの対比において、さて恍惚度はどんなものだろう。


一般的によく知られる恍惚の法悦は、ローマ サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会コルナロ礼拝堂
にある『聖テレジアの法悦』。

P1170415.jpg


雨のように降り注ぐ黄金の光を受けた聖テレジア。
もっとアップにしてみる。

P1340207.jpg


法悦というより恍惚ではないか、と議論を呼ぶほど知られた名作だ。

P1340206.jpg

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でも、私が一押しなのは、
ローマ、トラステヴェレ地区にある サン・フランチェスコ・ア・リーバ教会のベルニーニ作
「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」 だ。


こちらの恍惚の表情(及び仕草)は、聖テレジアを上回る。

* 注意、こちらの サン・フランチェスコ・ア・リーバ教会は堂内写真撮影禁止です。(2014年時点で)
この写真は、僧侶の方に許可を頂いて、開いていた扉の”外”から一眼レフで望遠撮影。
ただ、その僧侶の方とは、その前にこのルドヴィカ像のことであれこれ楽しくおしゃべりさせていただき、
先方も超ご機嫌だったので、緩いイタリアならでは許可がたまたま出た可能性あり。
扉が開いていても、毎回許可されるとは限りませんので注意。(*)



P1330951.jpg


部分を切り取ってみる。

P1330952_20160222100836984.jpg


さらに細部。
望遠なのでここまでくるとかなりボケボケ。コントラストとシャープをマックスにして加工。

これは・・・悶えというしかないほどの表情。

先ほどの聖テレジアは最盛期の作品で、こちらは晩年70歳を過ぎてからのもの
というからびっくりだ。


P1330952a.jpg



なお、このサン・フランチェスコ・ア・リーバ教会は全体的には地味。

前出のサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会の方は写真撮影OKで、
意外に小ぶりながら、堂内全体も麗しいです。


P1340226.jpg


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160222/k10010417391000.html
2016.02.22 Mon | Art| 0 track backs,
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