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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」三菱一号館美術館
2018年6月28日からスタートした
三菱一号館美術館の「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展。

ジュエリーづくしのキラキラきれいな展覧会とは一味も二味も異なる内容のようだ。

そもそもフランスのジュエラー、ショーメは、ナポレオンの御用達として発展し、
世界中の上澄みの層=上流社会を相手に栄えてきたブランドなだけあって、
数々の宝石に歴史あり。
つまり、ジュエリーの裏にまつわる逸話が数々残っているようだ。

まだ訪問していないけれど、歴史の証言者としての品々を
じっくり眺めてみたいと思っている。


2018.06.30 Sat | Art| 0 track backs,
うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界 住友コレクション 泉屋博古館分館 
住友コレクション 泉屋博古館分館は、なかなか地味な美術館。
以前はお客さんも本当に少なくて、それでも がつがつせず、
住友家に伝わるお宝を小出しに展示していた。

私は以前から時折足を運んでいて、
この静かな雰囲気のなか、ロビーでボタン茶(ボタンの自動マシンから出るお茶)を
すすりながら、
のんびりするのも悪くないな、なんて思ったものだ。

しかし昨今ではPR上手になり(館長さん変更に伴うもの?)
集客量はぐっと増えた気がする。

なにより展示内容がよくなった。
以前は別子銅山で財を成した住友らしく青銅器ばかり目にした気がするけど、
意外にバラエティがあることも、つい最近知った次第。

(ただ、印象派期の絵画についてはフランスでの購入を依頼された画家の鹿子木孟郎が
大原美術館の児島虎次郎のように機能しなかったため、さしたる名品はない。
モネの古い絵も、あまりぱっとしない。)


そして昨今イベントも充実した。
以前のイメージで足を運ぶとすごく混んでいたりして
面食らうことすらある。

それなりに若い層をつかんでいるようでもあり、
今後の発展をさらに期待します。

ということで、先日行った泉屋博古館分館での内覧会レポートは以下:
2018.06.11 Mon | Art| 0 track backs,
文学ーフランス語ーキリスト教
土曜日は、ヨーロッパの文学と題した討論会@東大本郷へ。
進行役はおなじみの柴田元幸氏。
ほかに、ドイツ文学、古典などを専門とする教授陣3名。


東京大学名誉教授で、つい先日坪内逍遥大賞を受賞。
翻訳でお名前を拝見することも多々。

浮世離れしたようにも見える文学が困難な社会情勢にどう資することができるのか、
人は書を読むことで社会をどう生き抜いていけるのか、
などを、各種文学の流れを読み解くことで、間接的に探っていくというもの。

東大の講座らしく学術的・哲学的な内容で、活発な議論がかわされた。


とはいえ、柴田先生が文学に開眼した作品が「吾輩は猫である」だった、という締めくくりで
講演会の内容は、最終的に民衆レベルにソフトランディング。

今回は集英社無料連続講座の最終回だったけど、次回はフランス文学者もまじえて、さらに議論を深めてほしいなぁ。
最終回というのがなんとも残念。


16:10に終了後、日仏学院に駆け参じ、在日フランス大使との懇談会へ。
18時、終了後にレセプションがあり、シャンパンを一気飲みして、
東京国立博物館へ。

親指の聖母が再び展示になっているので、土曜日の夜間開館を狙って入館。

夜19~20時の博物館。
さびしい!と思うぐらい訪問者は少なかった。
特別展の運慶展も終わってしまったし。

見渡す限り、奥の部屋すべてに人影がない。

休息室など窓のある部屋を通過すると、外は漆黒の闇で、なんだかむしょうに心細いぞ。


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ひとり歩く足音がこだまする中、どこかの館にまよいんこんでしまったかのよう。
人込みはいやだけど、人がいないのも考え物だ、とつくづく。

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夜の博物館、行くなら夏がいい、そう思った。


2017.12.11 Mon | Art| 0 track backs,
ステンドグラスふたたび
友人が綱町三井倶楽部で見たステンドグラスの写真を送ってくれた。

一般では入れない場所なので、私は未見だけど、
花嫁になってあの階段から降りていくシーンにあこがれてた友人が、
ここで挙式を挙げたと聞いた。
旦那様が三井系企業勤務だったからこそのお話。


友人が言っていたとおりアールデコ調で、
さわやかな印象。

建物自体の目的が教会機能というわけではないので、
採光重視で色合いは全体に薄く、黒い縁取りも最小限。

ステンドグラスのどこかに三井家の家紋(四ツ目結)がどこかに隠されていやしないか
画像をつぶさに眺めててみたけど、それはなさそう。


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丁度今しがた以前サレジオ教会で撮影した写真を眺めていたら、
(アメブロの方に、イエズス会の話のついでにサレジオ会の話を書くつもりで)
見つけた、ステンドグラスの写真。

こちらのステンドグラスは当然ながら聖書をモチーフにした内容で、
ああ、これはあのシーンだなとわかる。


例えばこちら。
マリアのエリザベト訪問に違いない。
イタリアの教会にある「マリアの一生」を描いた壁画でよく見かける。


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受胎告知を受けたマリアは、目上のいとこエリザベトも時を同じくして懐妊したと知る。
長年 子を授からなかったエリザベトの朗報を喜びすぐさま遠く離れたエリザベトのもとへ駆け参じ、そして再会を喜ぶシーン。


マリアが身ごもったのはイエス、
エリザベトの子供は洗礼者ヨハネ。
イエスとヨハネの2人が聖母を中心に一緒に描かれる絵画も数多い。


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ちなみにエリザベートの子ヨハネの一生は残酷だ。
宴会の席で斬首される。
妖艶な舞いを踊っていた美しいサロメが父のヘロデ王に、ヨハネの首を所望したのだ。

この「サロメ」も絵の主題に頻繁に用いられてきた。
ギュスターヴ・モローが描いた、お皿の上にヨハネの首を載せた絵も有名。
(ただ福音書によって、ヨハネの死のくだりのニュアンスは異なる模様。)


もう一つ付け加えると、女性+斬り落とされた男の首が描かれた絵としては、
『ホロフェルネスの首を斬るユディト』も有名。

ルーカス・クラーナハの同名の絵画が日本に来日したのは記憶に新しい。
私のチケットホルダーは、この絵だ。

外見はあでやかな女性。
中を開けると・・・まぎれもなくユディット。

きれいな印象派のチケットホルダーでもよかったのだけど、
ポケットがいくつかあって、さらにチケットを入れる部分は3方が
閉じているもの(2方だけだとチケットがよく滑り落ちるので)
と思って探すとなかなかピッタリなものがなく、
まあ柄はなんだけど、これに落ち着いた。

それに少なくとも表面は、表情、衣装や装飾品が細密で、見ていて飽きない。


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話はもどってサレジオ教会のステンドグラス。
こちらはキリストの洗礼に間違いない。
ピエロ・デッラフランチェスカが有名なキリストの洗礼の絵を描いているけれど、
(ロンドンナショナルギャラリー収蔵)
ラヴェンナでも、この題材はモザイクでずいぶん見た。
中世からルネサンス初頭にかけてはポピュラーなモチーフだったのだろう。


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聖書をフルに読んだことはないけれど、絵画に親しんでいると
徐々に絵が意味するところが少しずつわかっていき、
いつかどこかでバラバラに見た様々な絵のモチーフが
ひとつのイエスやマリアのお話の中に落とし込まれていく、
そのプロセスが楽しい。


過去のステンドグラス関連エントリー:

・ 魅惑のステンドグラス 小笠原伯爵邸

・ ステンドグラスと琳派風板絵のあるカフェ

・ 無料のパブリックアート 飯田橋編+ステンドグラス編

・ ステンドグラス私のお勧め:日経プラス1 「秋にきらめくステンドグラス」に関連して

・ ステンドグラスの名匠の作品が見られる都内の穴場

・ 国立科学博物館でステンドグラスを堪能する

・ 穴場のステンドグラス情報(成城の旧山田家住宅)

 

2017.12.09 Sat | Art| 0 track backs,
再び辻邦夫先展にて:篠沢秀夫教授との相関図、パリの地図、プルーストの落書き
先月日仏会館で開催された辻邦生展が秀逸で、
まだ自分の中で余韻が残っている。


前回のエントリーで書ききれなかったことを、つらつら書いてみようと思う。

まずは展示会場でちょっと意外だったもの:

それは、辻先生の人物相関図。
その中に、先日亡くなった篠沢秀夫教授が含まれていた。
(写真右下)
そうか、おふたりとも学習院大学仏文科だから、この図に不思議はない。
だけどテレビ番組「クイズダービー」と文学者をいきなり結び付ける発想がなくて、
しばしきょとんとしてしまった。


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改めてすごいなぁと思ったのは、辻さんの手仕事ぶりだ。
先日エントリーしたカレンダーなど、さまざまな手作りの小作品が並べられていて、
まめだなぁ、と実感したのだけど、とりわけ感心したのがこの地図だった。

一見何の変哲もない1枚のパリの市街図。
だけどそこには、自分たちが暮らしたパリの界隈図が手書きで加えられていた。


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こんなふうに。
住まいは地図の外にあったらしい。
はみ出して、三角形の街並みを追加している。
でもその書き込み具合いがほかの細密図とたがわないので、まったく気が付かなかった。
地図に添えられていた解説を読むまでは。

きまじめさ、実直さだけでなく、なんとなくお茶目な感じもうかがわれ、
私の中の人物像がどんどん膨らんでいく。


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あー、そしてそして、図書館の貸し出しカードやリクエストシート他に書かれた2人の落書きのやりとりは、見れば見るほど面白かった。
(静粛が求められる図書館で、2人は、落書きで対話していたという。)


その落書きたるや膨大な数に及ぶので、全部読むことはままならなかったけれど。
こんな所帯じみた?やり取りも見つけた。

「カギはいつものとこにかくしてある。 アバヨ」

いたずら書きは、邦生さんと佐保子さんの分が混じっていて
かなり似ているので書き手はわからないのだけど、
これは奥様が書いたんじゃないかなぁ、なんて思った。

生活感あふれるこんなやりとり。
今この世に残っていることが奇跡。


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そしてもうひとつ発見。
プルーストの似顔絵の落書き。
辻邦生さんの手によるものだろう。
「夏の砦」には特にプルーストの影響が強く感じられるけれど、私は辻さんのプルースト信仰は、その構築手法や比喩表現など、もっぱら「書く」という作業に基づくものだと思っていた。


けれど先日拝聴したフランス文学者保苅瑞穂先生のお話では、プルーストの「失われた時を求めて」に書かれた主人公(Le Narrateur)が、もがきながらも最後に天職を見出すさまに共感を覚え、それと自身を重ねたのではないか、とのことだった。

保苅先生は辻先生とは面識がなく、辻作品を長年読んできたわけではないものの、講演会前にまとめて辻先生のパリ日記を読まれたそうで、その文献を紐解いた末の感触だったという。

つまり、それだけパリの日記には、作家という得体のしれないものに向かう戸惑いや揺れが多く語られていたということらしい。

保苅先生の切り口は、感覚的なプルーストとの比較ではなく、ひたすら文献にあたって証拠や傍証を重ねつつ答えを導き出す手法で、いかにも研究者だなぁと思った。


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こちらはトーマスクックの時刻表と携帯していたカメラ。
そのほか船の時刻を丹念に書きだしたメモもあった。

ネットで一発乗り継ぎ検索なんてできない時代だからこそ、手作業が必要となり、こうして旅の軌跡が残る。
ネット検索の時代には確実に失われるであろう、大事な記憶の断片だ。


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2017.12.01 Fri | Art| 0 track backs,
日本郵便のオリジナル切手作成サービス
今年のGW中、パナソニック汐留ミュージアムでこんなお宝をいただいた。

ジョルジュ・ルオーの絵画の図柄入り切手だ。
それぞれ「マドレーヌ」と「古きヴェルサイユ」と呼ばれる作品。

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左がその時にいただいたもので、右はそのあと、
再度配布キャンペーンの時にいただいたもの。

もともと来館者100万人突破記念で作られ、
カラフルでシール式になっている。

本当にこれ使えるの?と思ってしまうけれど
れっきとした52円切手が2枚。
(葉書の値段が62円に値上がりしてしまったので、追加10円が必要だ。)


頂いたときは、わあ嬉しい、とありがたく受け取ったものの、
疑問がむくむく沸いてきた。

法人単体で切手を作ることができるの?
そう思って調べてみたら、これは日本郵便のサービス事業の一環のよう。

このような2枚ペアのシートは特注品なのかもしれないけれど、
個人でも大型のシートなどを発注できるようになっていた。

家族やペットの写真などがそのまま切手になるようで
例えば:

62円郵便切手×10枚タイプ
1シート1,030円(62円郵便切手×10枚・シール式)

といったかたちでオーダーできるらしい。
2017.11.28 Tue | Art| 0 track backs,
ロイヤルコペンハーゲンの展示
「デンマーク・デザイン」展 @損保ジャパン日本興亜美術館 で
20世紀後半あたりのロイヤルコペンハーゲンの食器を見てきた。

*写真撮影は内覧会の折りに主催者から許可を得ています。

縁取りが透かしになっていて、細部まで神経が行き届いている。

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ブルーフルーテッドと呼ばれるシリーズ。
非常にモダンで、100年前のものとはびっくり。

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ライティングが白い下地に影を落としているのだけど、
影にも透かし部分がくっきり浮かび上がってきれい。

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そして記念プレート。
これぞロイヤルコペンハーゲン。
主力デザイナー・アーノル・クローウの作だ。

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こちらはロイヤルコペンではなく、ビングオーグレンダール。
ジャポニズムの影響?と思われるトンボの柄も。

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スワンの首が把手になっている。
ソーサ―の形も水飲み場のようなくぼみになっていて、なんとも優美。

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本展覧会は家具が中心、と思っていたけれど、
第一室にはこのように食器が並んでいて、
後半の展示室には昔のレゴも登場。
弟が好きだったので、私もレゴで遊んだくちだ。

自分の身近な生活とだぶるものも多々あり、
絵画の展示とは一味違う、親近感ある展覧会だった。


*****

 

展覧会名: 「日本・デンマーク国交樹立150周年記念 デンマーク・デザイン」展

会   期: 2017年11月23日(木・祝)~12月27日(水)
休 館 日: 月曜日(ただし12月25日は開館)
会   場: 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
開館時間: 午前10時-午後6時、金曜日は午後7時まで(入館は閉館30分前まで)

HP: http://www.sjnk-museum.org/program/current/5062.html

2017.11.25 Sat | Art| 0 track backs,
三菱一号館美術館「パリ♥グラフィック」展 ブロガー内覧会レポ
三菱一号館美術館「パリ♥グラフィック」展の内覧会に出席させていただきました。


これまでロートレックはある程度見てきたし、新婚旅行ではパリ~オーヴェールシュルオワーズ~バルビゾン~アンボワーズをまわった後アルビに行き、ロートレック美術館にも足を運んでいるので、期待値はそれほど高くはなかった、というのが正直なところでした。

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ところが行ってみると、想像していたような単なるポスター羅列の展覧会などではなく、
関連作品や付随資料がとっても豊富。
それにより、当時の世相が鮮やかに浮かび上がり、多面的で良質の展覧会になっていました。


展示の最後にはゴッホが実際に所有していた浮世絵の展示などという稀有なコーナーもありましたけれど、こちらは今回の協力先アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館ならではのサービス展示といった様相で、西洋版画におけるジャポニズムの影響に力点を置いた展覧会ではありません。

むしろ社会の中におけるリトグラフの立ち位置がくっきり見える内容で、先の日経新聞の評は的を得ていないのでは?、などと感じた次第です。


多面的な展覧会、の証拠は以下のとおり:
(写真は内覧会の折りに美術館の許可を得て撮影。)


1) 画中画により、当時の版画作品の扱われ方が如実に伝わります:

広告が貼られた街中の壁やカフェ・コンセールの様子、版画家の肖像、版画愛好家の肖像、印刷所の様子、印刷をチェックする人の様子、などを描いた作品が豊富で、ビジュアルで世相を伝えます。

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2) パリの街並みの再現コーナーも見どころのひとつ。圧巻の臨場感です。
ここはいにしえのパリ。キオスク、洋裁屋などが立ち並ぶ中、大判ポスターが街の壁に貼られていた様子を、パリの空気の中でじんわりと体感。(こちらは通常写真撮影OK)

実は私、コロン・モリス(パリの円柱広告塔)を中心に大判ポスター広告は展開していた、と思い込んでいたので、認識を正す いい機会でした。


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3) 当時、大衆向けの商品としてのポスターと、上流階級がひそやかに自室で覗き見るような個人向けのもの=ややセンシュアルな内容のもの=という2方向のベクトルがあったことが明確に示されています。

内覧会トークでは、この点に関する同美術館学芸グループ長の野口玲一さんと青い日記帖のTakさんの掛け合いが見事でした。


なるほど、ヴァロットンのあの意味深な絵も、そういう社会のコンテクストの中でとらえるべきだったのですね。
まるで浮世絵の2つの側面=浮世絵と春画の構図のよう。浮世絵コレクターの斎藤氏は「春画を集めないこと」、を条件に浮世絵収集を許された、と本美術館のトークで聞いたのを思い出します。



4) ポスター芸術にかかわった画家の層の厚さにびっくりでした。

中でもナビ派は精力的に取り組んでいた様子。
ヴュイヤールなどは油絵作品と版画を見比べても、アンビエントが変わりません。

(右が油絵)
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一方でゴーガンの作品も3点ありました。
ブルターニュの女性の版画はいかにもゴーガンですが後の2作品はちょっと意外でした。

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ムンクの版画作品も嬉しいサプライズ。
イプセン作「ペール・ギュント」のための劇場プログラムが出ていました。
ノルウェー人2人のコラボというわけですね。

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アンリ・リヴィエールとえば以前三越で見た『エッフェル塔三十六景』のイメージが強いけれど、シャ・ノワールで影絵芝居のプロデュースを行い、そのポスターも手掛けていたのですね。
その上演ポスターがありました。
エッフェル塔とは全然違うモノクロームのリヴィエールが新鮮です。

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5) 制作の媒体にも目を向けさせてくれます。
下絵+木版+リトグラフ作品の3点セットがそろっている珍しい例や、石板の展示も。
油彩の下絵としての版画から、リトグラフが独立する様子も述べられていました。


ジャン=エミール・ラブルールの洗濯(『化粧』より)のリトグラフ(右)、
下絵と木版の3点セット。これらがそろった稀有な例。
左の写真下には、別作品の石版があり、その繊細なタッチは木版とは大違いです。

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6) ロートレック作ロイ・フラー嬢の多色刷りリトグラフでは、色違いでグラデーションの美を堪能できます。
商業的にもなかなかのアイディアですね。

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7)質の違いにも目を向けさせてくれます。
ポスターは後から別の人の手で文字が書き足されることが多く、そうした書き込みの有無もコレクターにとっては重要なポイントなのだとか。
三菱一号館美術館は他人の文字入れがない良質のロートレック作品を所有しており、なかなか自慢のコレクションのようですのでお見逃しなく。==>ロートレックの『ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ』です。写真可能な部屋にあります。
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8) その他にも:
ロートレック3段階の版画からは、制作過程がわかりますし、ボナールが描いた挿絵入りのヴェルレーヌの『並行して』という本のファクシリミリ版を実際に手に取ることもできます・・・


といった具合に、多くのビジュアル素材を通して版画に対する視野も広がり、当時の世相も透けて見え、多角的にリトグラフを堪能できる展覧会だったなぁ、とつくづく思いました。


内覧会の機会を頂きありがとうございました。

******

 
展覧会名 : 「パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画 展」
会場 :三菱一号館美術館
会期 : 2017年10月18日(水)~2018年1月8日(月・祝)
開館時間 :10:00~18:00(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 :月曜休館(但し、1月8日と、「トークフリーデー」の10月30日(月)、11月27日(月)、12月25日(月)は開館)
年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日

2017.11.14 Tue | Art| 0 track backs,
ホテル雅叙園東京・百段階段の「いけばな×百段階段2017」 再び
ホテル雅叙園東京の会員になり、百段階段の催しが年中無料になった。
とはいえ、意外に行く暇を見つけられず、
特典の有効活用はままならない。


特に今回のイベントは生け花なので、週替わりで流派と展示される花が入れ替わる。

毎週行ければその都度バリエーションが楽しめるのだけど
今回なんとか2度目の展示に行くのがやっと。


そもそも目黒というロケーション微妙なのだ。
銀座あたりならつぶしが効くのだけど。


というわけで、今回も用事の合間に百段階段をまるで1段飛びするかのごとく
駆け上がり、ざざーっと見てきた。

特に前回とは違い、障子をあけて、外とのインターフェースを試みるものがあり、
一味違う風景になっていた。

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いつもは締め切っているので、障子をあけ放ったこの景色が新鮮だ。

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曼荼羅風掛け軸とともに、、というのも初めて。

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流派ごとに工夫を凝らしている。
対抗戦の様相だ。

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装飾が特に強い部屋では、花が負けてしまうのでみなさん苦労している。
前回見た展示では、強い色の花が使用されていた。

今回はあえて絵に勝とうとせず、なじむかたちにしたこのスタイル。
好ましかった。

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「いけばな×百段階段2017」は11月26日(日) まで。


2017.11.12 Sun | Art| 0 track backs,
イブは肋骨、釈迦は右脇から生まれた話
アダムとイブのイブは、アダムの肋骨から生まれた。

その様子を描いた絵画はこれまで見た記憶がないのだけど、
(アダムとイブの楽園追放は絵画のテーマとしてマザッチョをはじめ
名だたる画家たちが描いてきた)
浮彫では見たことがある。

以前「モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ」の記事に書いたとおり。

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この登場人物のプリミティブっぷりや
イブの原始人的アンニュイの表情がもうたまらない。

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一方釈迦は摩耶夫人の右脇から生まれたとされている。
東京国立博物館の常設展(東洋館)には、その様子を浮き彫りにした
作品が展示されている。

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おそらく2-3世紀頃に作られたものとされ、
上記の中世のアダムとイブよりも古いはずなのだけど、
こちらの方が精巧な出来栄えだ。

パキスタンあたりから出土されたものなのだけど、
表情も衣服表現も繊細だ。
肋骨から生まれる、などという難しい情景を
絶妙に表している。

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東京国立博物館の法隆寺館の方にも脇から生まれる釈迦の像がある。

このモチーフ、なかなかお茶目なので好きなのだけど、
これまで目にした造形表現はその2つのみにとどまっている。
2017.10.26 Thu | Art| 0 track backs,
アンリ・カルティエ=ブレッソンの映画が素晴らしかった
昨日土曜日は、富士フィルムスクエアで開催中のマグナム写真展の関連イベントとして
アンリ・カルティエ=ブレッソンの映画鑑賞会が開催された。(*)

ブレッソンといえば、ロバート・キャパとともにマグナム創始者4羽ガラスのうちのひとり。

画家を目指したことがあったそうなので、構図がとても絵画的。
ジャーナリズムのキャパ、アートなブレッソンの2本柱が
マグナムの多様性を支え、写真界において確固たる地位を築くに至ったのだった。


さてこの映画だけれど、原題は、「Biographie d'un regard」、
邦題は「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」。

晩年のブレッソンや、彼の絵の心酔者たちの口から作品が語られる。


中でも驚いたのは、イザベル・ユペールの登場。
彼女もブレッソンファンのひとりなのだとか。

ポートレートを撮影してもらった際、
「ブレッソンは自分でも知らなかった自分をとらえてくれた」と称賛。
「とらえてくれた」、にはSaisirという単語を使っていた。


本映画では、様々な人たちが写真集を見ながら思いを語っていく。
むろんブレッソンの語りがメインで、思い入れの強い写真が次々ピックアップされ
逸話が披露される。

見ていて私が一番心を打たれた作品は、
(これまでの写真展で一度もみたことのないものだった)
ベルリンの壁の手前でドラム缶に乗った男3人の写真。

単にこれだけでは状況はわからないのだが、壁の向こうにある団地には、
彼らの母親が住んでおり、定刻にいなると、母が窓を開けて息子たちに
合図を送るのだそうだ。

東と西に分断された親子の悲劇を、背広姿の男3人の背中で表現している。
Silentだけど多弁で心を打つ作品。


ブレッソンは写真撮影するときのコツも語っていた。
「ご自由にお入りください」と書かれたドアを開けて
入室したとたんに挨拶もせずにいきなり2人を撮ったものだった。
だからこそ、あそこまで嫌悪感が露わな表情になった。

サミュエル・ベケットの写真もそうだけど、
ブレッソンのポートレートを見るにつけ
これまで私が見てきた有名人の写真は、
このブレッソンによって撮影されたものだったのだ、と改めて感じた。


来日も果たして様々な写真を撮ったはずなのに、ほとんど日本の写真は
世に出ていない。
気に入ったものがなかったのだろうか。
彼の選択対象にはならなかったようで、これらの没写真は、今後日の目を見ることはない。
彼は生前、自分が公表した作品以外を新たにプリントすることを禁じているのだ。


また、映画上映前には、マグナム日本支社の小川潤子さんの
簡単な解説があった。

(先日 日経新聞にも小川さんによるマグナムの話が掲載されていた)。
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マグナムという写真家集団ができる前は、著作権は新聞・雑誌社に帰属し、
フィルムをいったん社に渡したら、写真家はそれを二度と手にすることは
できなかった。
そうした状況を改善し、写真家自身が著作権を抑え、自主性を広げたことが
成功のきっかけであり、70年もの長きにわたり、存続している理由でもある。

さらに、媒体も時代の変化に合わせてしなやかに変えていき、
今ではインターネットも活用しつつ活動している。


今年はマグナム創立70周年。
10周年を迎えた富士フィルムスクエアにおけるマグナム写真展は、
なかなか力がこもった内容となっている。


(*) 写真展に付随した映画上映は、おそらく富士フィルムでは非常にレアなことだと思われ、
どんな映画だか何も知らずに、先日の講演会の折りについでに申し込んでおいた。
驚いたことにあっという間に定員締め切りになり、不思議に思っていたら、
デザイン21とのコラボ開催だったことが判明。
富士フィルムで申し込みと、デザイン21からの応募の2方向から応募がかかったため、
あっという間に定員になったみたい。

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マグナム写真展関連エントリー
2017.10.15 Sun | Art| 0 track backs,
緊急告知) 本日無料 戸栗美術館
伊万里焼の型物など、有数の焼き物を有する戸栗美術館は
本日無料観覧日。
事前告知をすべきところを私も今朝気が付いて午後の予定にかからないよう
朝一番で行ってきた。


同美術館では無料日を大々的に宣伝していないけれど、
それでもなかなか大勢の人がご来場。

本日無料のわけは、創設者の戸栗亨氏の命日なのだとか。
蘭の花束などが運び入れられていた。

以前何度かこちらにうかがって、
陶芸の見方を少しずつ習得中。

解説が丁寧なのがポイントだ。

そして今日は無料観覧美にもかかわらず、11時から
ギャラリートークがあってびっくり。

上野動物園などは、無料開放日だとガイドツアーはキャンセルになるのに。

場所は渋谷区松濤。
落ち着いた場所にあり、細かい柄などは、見れば見るほど発見があり、
のんびり陶器の名品を眺めるのも悪くないなぁと実感中。


2017.10.14 Sat | Art| 0 track backs,
見ていて涙が出そうになった絵
社会人になってからフランス語を習い始めて、
上のクラスに進んだ時、原書で美術評論を読む機会があった。

ダニエル・アラスという一流の美術評論家のもので、
主に古典絵画との精神的対話がつづられていた。


特に印象深かったのは、ラファエロの「システィーナの聖母」の絵の章だ。
1時間絵の前に立ち尽くして、ようやくこの絵の意味がわかってきた、
ラファエルの心情に重なることができた、と述べている。


旧来の神という天上の存在が、キリストという生身の人間の形になって
立ち現れた時、これまでのひとつの常識がひっくり返った。
そのドラマティックな瞬間を
カーテンという小道具を使って表したのである、と。


Rafa.jpg 


ここで印象的だったのは、ラファエロの絵の読み解きだけでなく、
アラスが絵に向き合う時の態度だ。


1時間しげしげ眺めて、ある瞬間何かが自分に降りてくる。
そこまでしないと、絵を理解するには至らない。
アラスほどの人でも・・


インスタグラム流行りでレンズ越しに見て
アップして終わり、そんな現代人が多数ではあるけれど、
時々絵の前でまんじりともしない人を見かけることがある。


私はといえば、いつも割と慌ただしいな、
なかなかゆっくり絵と対話できないな、
と常々思っていたのだけど、
今日改めて東山魁夷の「道」の前に立ってみたら、
ずっと眺めていたくなった。
そして、ちょっと泣きそうになった。


IMG_0217.jpg


目の前にあるのはまっすぐに続く道。
すべてを見渡せそうだけど、実はよくみると奥の方で道は右に折れている。

その先は起伏になっていて、遠くの道はほんのり霞んで見えるだけ。

どんな未来が待っているのか、誰にもわからない。
けれど、まっすぐに続く白い道のようにたおやかに歩んでいくことができれば、
穏やかな道が待っている・・・

そう信じることが許されるような気持ちがした。
この絵から包容力や優しさを感じたのは、初めてのことかもしれない。


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2017.10.02 Mon | Art| 0 track backs,
国立公文書館で見た めくるめく百人一首展の世界
藤原定家は『小倉百人一首』の選者として知られているが
実は確たる証拠はないらしい。

・・・そんな事実を知ったのは、
国立公文書館で開催中の「ふしぎなふしぎな百人一首」展でのこと。


IMG_7258.jpg 


さまざまな百人一首関連の資料が公開される中、
藤原定家の日記「明月記」も並んでいた。


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それによると、百人一首という言葉は出てこないながら、
ある一時期、歌の選定をしたことが書かれており、
そこに挙げられている歌が、百人一首中の作品と重なっているらしい。

これが根拠となり、藤原定家が選者ということになっている。

ところが、一部合致しない歌も列挙されており、
この説を100%裏付ける証拠は存在しない。


一般的によく言われているとおり、
百人一首に盛り込まれている歌には首をかしげるような陳腐なものも多く、
冴えわたった選出とは言えない。

こちらの公文書館の展示では、歌の優劣より
歌人の個性・性格を一番表しているものが優先された、という指摘していた。


一方で、先日後輩が送ってくれた資料では、
定家は100首が合わせ歌になるように選んだ、とされていた。

つまり:
hyaku.jpg 


このように、すべての歌がキーワードで数珠繋ぎになる
というのだ。

検証してはいないけれど、もし本当なら
すごい巧みな技と言わざるを得ない。


2017.08.29 Tue | Art| 0 track backs,
フランス映画の中のFukushimaの言葉
くだらないフランス映画を見た。

陳腐な内容と知りつつ、フランス語のスラングを聞くことが余りないので
トレーニングのつもりで。

その中で、プチ整形手術に失敗した女性が、
「私の顔がぐしゃぐしゃになってしまった」
というくだりがあり、
どんな言葉が使われていたかというとー

「顔がFukushimaみたいになっている」
だった。

むろん字幕には福島という言葉は避けて
訳されていた。

ストーリーがアホらしいのは気にならなかったのだけど、
これはちょっと・・
一瞬絶句した。

2017.08.22 Tue | Art| 0 track backs,
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